2005/10/19

テレビ低迷期


  まったく、テレビ番組がつまらないです。

  例の不祥事のせいだけとも思えませんが、ここ数年のNHKの衰退ぶりには、呆気に取られる凄まじさがあります。 まず、重厚なドラマを作れなくなってしまいました。 『ハルとナツ』 で、久しぶりに重いテーマの作品に取り組んだかと思ったら、「アイデアを盗用している」 というクレームが付き、いきなり白けました。 姉妹がブラジル移民に絡んで離れ離れになるという基本アイデアを、そっくりパクったらしいのです。 それに対するNHKの反論が凄いです。 「ブラジル移民に絡んで家族が離散するストーリーは、よくある話なので、盗用には当らない」 というのです。 自分でありふれていると言ってしまっているのだから、いいドラマになるわけがありません。

  『NHKスペシャル』 も全然面白くなくなってしまいました。 その昔、『NHK特集』 と呼ばれていた頃には、世界情勢が分かる貴重な情報源だったので、テレビに齧り付いて見ていたものですが、今や見始めても、すぐにチャンネルを変えるほどつまらなくなりました。 最近、『プロジェクトX』 にあやかろうとしているのか、日本企業賛美を始めたから、もうとても見られたものではありません。 以前の 『NHKスペシャル』 は、冷め過ぎるほど冷めた客観姿勢が魅力だったんですが、自分の国を誉め始めたら、もう報道もおしまいです。

  そういえば、『プロジェクトX』 は、今年限りで打ち切りになるようですが、やめるのが遅すぎたというべきでしょう。 あの番組、最初から重大な問題があり、世間に悪影響を及ぼすに違いないと思っていましたが、本当に心配していた通りの内向きな国になってしまいました。 自国の技術開発力を神話のように持ち上げていたら、外に目が行かなくなるのは避けられません。 あの番組を見ていると、まるでこの地球上で技術開発が出来るのは日本人だけのように思えて来ます。 もちろん、そんな事は全然なく、しかも 『プロジェクトX』 で取り上げられたエピソードは、ほとんどが過去の話です。 現在は、主に若い世代の技術者が能力低下を起している為に、日本企業の技術力は衰退傾向が著しく、あんな神話はデッチ上げでもしない限り、拾い出せなくなっています。 もし、世界中の企業を対象にして開発秘話を紹介していたら、もっと良い番組になったでしょう。

  一方、民放ですが、ドラマが腐ってしまっているのは、先日書いたので、繰り返しません。 見るものがなくて困ってしまっているのは、ゴールデンタイムです。 月曜から木曜までは全滅ですな。 『東京フレンドパーク』、『伊東家の食卓』、『笑ってコラえて』・・・・楽しみに見ている方々には余計なお世話ですが、よく同じ物を何年も見ていて飽きませんね。 『いきなり黄金伝説』 の 『芸能人一万円生活』 なんて、ずーーっと同じ事だけやってるんですぜ。 お笑い芸人を中心にしたバラエティーで 最もまともと思われる 『ぐるナイ』 ですら、新企画が出ずに、100% 『ゴチ』 頼み。 『めちゃイケ』 も同じ企画ばかり繰り返しています。

  土曜は、『IQサプリ』 があるのが唯一の救いですが、クイズのネタが無くなって来たのか、ゲームに手を出す気配があり、これは危険な兆候です。 かつて一世を風靡した 『マジカル頭脳パワー』 が、クイズをやっている間は面白かったのに、ゲーム中心に切り替えてから急激につまらなくなった、それと同じ轍を踏むつもりなんでしょうか。 なんで、ゲームが駄目かというと、視聴者が参加できないからです。 出演者だけが大はしゃぎしているのを、ただ眺めているだけでは、面白いはずがありません。 だけど、番組の製作者というのは、クイズとゲームの違いに気付かないようなのです。 違うんですよ、全然。

  全バラエティー番組に共通した事ですが、『若手芸人』 からは、早急に距離を置いた方がいいでしょう。 若手芸人の存在を重宝しているのは、企画が思いつかないバラエティーの製作・監督だけであって、視聴者が望んでいるわけではありません。 同じ視聴者でも、学生は世の中を知らないので、テレビでゴールデンタイムにやっている事が最先端の流行だと思い込んでいますが、ちょっと大人の世代になると、今のバラエティーが若手芸人の頭数だけ揃えてごまかしているゴミ番組ばかりだという事は、あっさり見抜いています。 若手芸人ブームを礼賛している評論家など見ると、「こいつ、ずっと山に篭っていて、ほんの数年前からテレビを見始めたんじゃないか?」 と訝りたくなります。 10年後に誰が残るかなんて議論は、どうでもいいですから、今の番組を面白くしてもらいたいですな。

  職場で、テレビ番組の話題が出なくなってから久しいです。 みんなが見ているような人気番組がないので、話題を出しても話が続かないのです。 デジタルだの衛星だの、局はどんどん増えますが、見る番組はどんどん減っていくのですから、何ともつまらない時代になったものです。