2010/08/22

自転車病その後

  一週間経ちましたが、まだ、ロード・バイクは買っていません。 なにせ、ケチなので、高い買い物には慎重になるのは当然の事、買っても買わなくてもいいような物だと思うと、尚更、踏ん切りが付かないのです。

  ・・・、おっと、今気づきましたが、私は長い間、≪ふんぎり≫の事を、≪糞切り≫だとばかり思っていました。 「よく使う言葉だけど、何とも、汚らしい語源であることよ・・・」 と、呆れておったのですが、さっき変換してみて、≪踏ん切り≫と出て来たので、「おお、そうだったのか! そういう事なら、心置きなく使えるではないか」 と、喜んだ次第。 しかし、そんな事は、今回の話とは、何の関係もありません。

  実は、私の頭の中は、ロード・バイクを買うか、クロス・バイクを買うか、どちらも買わぬか、買うとしたら、どの製品にするか、どこで買うか、どこに置くか、いつ乗るか、といった事で満杯状態でして、こんな中間報告を書いている余裕は無いのです。 だから、今回は、かなり短いです。 これを読んでいる人の9割くらいは、ロード・バイクなんぞに全く興味は無いでしょうから、「短いくらいで、ちょうどよかろう」 という気がするのは、せめてもの慰め。

  歳を取ったせいか、元々極端だった性格が、ますます極端化しつつあり、一つの問題にぶち当たると、全力を挙げてそれを解決してしまわないと、他の事に手がつけられないような切迫した気分になります。 問題を一つ解決しても、すぐにまた次の新しい問題が浮上して来て、永遠に解放されないような気もするのですが、だからといって、問題を放置しておいてよいという事にはなりません。 嘆くべきは、その問題というのが、実に下らない個人的欲望に過ぎないという事ですな。

  この一週間で検討がどこまで進んだかというと、ほとんど進んでいません。 未だに、置き場所に悩んでいますし、ロードにするかクロスにするかすら、はっきり決まっていません。 置き場所なら置き場所、車種なら車種と、一つ一つ決めて行けば良いようなものですが、この二つの問題は密接に絡んでいまして、一筋縄ではいかない難問なのです。

  まず、ロードにする場合は、盗難対策として、起き場所は屋内が必須になります。 しかし、私は、家の中で、自転車を置ける場所を持っていません。 リコーダーを吹くのに使っている半間幅の押入れの下段なら、空けようと思えば空けられますが、そこに自転車を納めるためには、そのつど、前後輪を外してバラバラにしなければならず、乗る時は乗る時で組み立てなければならないので、面倒この上ないです。

  前回も書きましたが、うちの物置は、見れは見るほど汚らしい所で、5万円以上するような自転車を入れる気には毛頭なりません。 父のプレハブは、綺麗は綺麗なのですが、なにせ、父の占有している場所なので、頼んでOKして貰えたとしても、何となく気が引けます。 父ももう年寄りですから、私としては、その生活をあまり掻き乱したくないのです。

  残るは私の部屋で、音楽キーボードを片付ければ、自転車を立てて置くくらいのスペースは作れます。 しかし、二階ですから、自転車を上げ下ろしせねばならず、これが腰に来そうです。 腰痛対策に買った自転車で、却って腰を痛めていたのでは、本末転倒も極まるというもの。 前輪だけでも外せば、かなり軽くなりますが、それでも、あんな大物を担いで、階段を上り下りするのは、気が進みませんなあ。

  ちなみに、ロード・バイクや、クロス・バイクの車軸には、≪クイック・レリーズ・レバー≫というのがついていて、工具無しでも、簡単に車輪を外せるようになっています。 ただ、前輪に比べると、後輪はチェーンがかかっている分、始末が悪く、いつでもどこでもホイホイ気軽に外せるというほど、簡単ではないようです。 チェーンには当然、グリスがついているわけで、そんな物が、服やら壁やらにべたべたついた日には、自転車に乗ろうなどという気も無くします。

  二階に運び上げる場合、重量も大きな問題になります。 最も軽い物だと、ロードで、6.5キロなどという物もありますが、それは100万円近い高級品の話でして、私の想定予算である10万円以内で買えるものだと、10キロ前後くらい。 15万円まで範囲を広げると、8.5キロくらいのが出て来ます。 2キロ差があると、相当違うのであって、8.5キロなら、前輪を外さなくても、担げるかもしれません。 もっとも、値段の差が5万円もあると、「前輪くらい外せよ。 そうすりゃ、安い方で済むじゃないか」 と、逆に思わんでもないですが。

  軽ければ軽いほどいいとはいうものの、本来、その軽さは、レースなどで、少しでも速く走れるように盛り込まれた性能でして、二階に運び上げるために軽く作ってあるわけではありません。 正直のところ、私の事ですから、半年もすれば飽きるに決まっているのであって、そんなミーハーな趣味のために、15万円もする自転車を買うのは、私にとっても不幸、自転車にとっても不幸という気がするのです。

  クロス・バイクの場合、現在、折り畳み自転車を置いている場所に置けないでもないです。 カバーをかけておけば、シルエットはシティー・サイクルと変わりませんから、盗もうという奴もいないでしょう。 自転車の世界だと、ほとんど耳にしませんが、バイクの世界では、盗難対策の第一に挙げられるのは、カバーをかける事です。 見えないと、どんなバイクか分からないので、盗む気にならないというんですな。 嘘みたいだけど、私の経験から言うと、実際にそうです。 たぶん、自転車にも応用が可能だと思います。 しかし、もし盗られてしまった場合、クロスでも、最低2万円くらいはするので、結構には痛いでしょうな。


  最近、急激に高まった円高傾向で、ほとんどが輸入品であるスポーツ自転車は、定価が数割も下落しつつあるようです。 つい昨日も、ネット通販で、5万円を切るアメリカ製のロードというのを見つけました。 そんな物でいいんじゃないかという気もするんですよ。 どうせ、飽きるんだし。 安ければ安いほど、惜し気が無いってもんです。

  スポーツ自転車の場合、乗り手の体格に合ったサイズが重要なので、通販は危なっかしいわけですが、それに関しても、調べている内に、だんだん考え方が変わって来ました。 店で買ったとしても、結構いい加減な扱いを受ける事が多いらしいのです。 まず、買いに行った時に、その店が閑か忙しいかで、応対がまるで違うのだとか。 閑なら、股下を測ったり、実車に乗せたりして、丁寧にサイズを選んでくれますが、忙しいと、身長だけ訊いて、「はい、このサイズね」と、やっつけられるのだとか。 身長だけで選ぶなら、通販と変わりゃしません。

  この一週間の間に、数箇所の自転車量販店に足を運んだのですが、店員は、多くても3人くらいで、お客の数がそれを超えると、殺人的な忙しさになるようです。 ただ売るだけではなく、調整だの修理だの、様々な業務をこなさなければならないからでしょう。 ああいう、生き馬の目を抜くような情況で、「ロード下さい。 素人です。 一度も乗った事がありません。 サイズの事も全然分かりません。 えへらえへら」 などと笑っていた日には、マイナス・ドライバーで刺し殺されるんじゃないかと、想像するだに恐ろしいです。

  量販店は避け、閑そうな街の自転車屋さんを狙うという手も考えましたが、そちらもどうもねえ。 バイク屋や自転車屋には、人当たりの悪いオヤジがいると相場が決まっているのであって、今までの人生で私が知っている自転車屋二軒も、その例外ではありませんでした。 ゴムと油の匂いが漂う狭い店に籠って、こつこつ細かい手作業をしていると、だんだん偏屈になってくるんでしょうかねえ。 何となく、分かるような気もしますが。

  ロード・バイクを置いているような店なら、少しは広々しているし、そんな昔ながらの偏屈オヤジはいないような気もするのですが、それに賭けるのは、冒険になってしまいますなあ。 量販店と違って、気軽に入れんのですわ。 入るからには、そこで買う決心をして行かなければなりません。 また、街の自転車屋さんは、定価販売が基本で、イヤー・モデルはもちろん、型落ちでも値引きしてくれないのだとか。 量販店では、1万円近く引いている所もあるので、その差は大きいです。

  本やネットでは、「一年毎のオーバー・ホールなど、あとあとの事を考えると、自転車屋さんの方が安心」 と書いてあるのですが、私の場合、半年で飽きる可能性が高いわけで、一年先の事など心配しても、鬼に笑われるのがオチです。 そもそも、工賃の高さにはバイク屋で懲りているので、自転車を買ったとしても、整備を店にやってもらうつもりは最初からありません。 オーバー・ホールは、一万円以上かかるようですが、本当に全部分解しているかどうか、実に疑わしい。 汚れが目立つようなところだけバラして、洗浄して、給脂して、それで終わりにしているんじゃないでしょうか。


  おっと、ダラダラ書いている内に、思ったより長くなってしまいましたな。 この辺で打ち切りましょう。

  最後に。 連休中に、バイクで山梨県の甲府市までツーリングに行きましたが、その途上、ロード・バイクに乗っている人達を何人も目にしました。 非常に多かったのは、大きなリュックを背負っている青年達です。 「おいおい、冗談はよせよ・・・」 と思いましたっけ。 バイクですら、リュックを背負って長時間運転していると、肩や背中、腰が痛くなって、耐えられなくなります。 まして、前傾姿勢で乗るロード・バイクにパンパンに膨れ上がった重いリュックを背負って乗ったりしたら、背骨が変形してしまいますぜ。

  荷物を積む所が無いので、やむなく背負っているのでしょうが、根本的なところで間違えていると思います。 ロード・バイクというのは、旅行用の乗り物ではないのです。 彼らも、身に染みて、死ぬほど痛いでしょうから、それは分かっていると思うのですが、分かっていてもやってしまうのは、若気の至りというものでしょうか。 同じスポーツ自転車でも、旅行用には、≪ランドナー≫という特別な車種があります。 どうしても、ロードで旅行に行きたいのなら、キャリアをつけるしかないですな。 わざわざ大枚はたいて軽い製品を選んだ意味は、全く無くなりますが。