2013/01/06

自転車で大荷物

  去年の12月の半ば頃、我が家から車が姿を消しました。 父が高齢の為、車をやめたからです。 ちなみに、私は、バイク通勤なので、車は持っていません。

  父は、廃車を決める前に、一応、私に、車を引き継ぐかどうか訊ねて来ましたが、断りました。 ほとんど使わないのがわかっているのに、駐車場代やら、車検やら、保険やら、税金やらで、年間の維持費が、15万円くらいになってしまうのでは、あまりに無駄というもの。

  私が生まれる前から、我が家には車があったのですが、最多で4台まで増え、その後、私が一番先にやめ、兄が家を出て、兄の車が無くなり、続いて、母がやめ、今回、父がやめて、とうとう、一台も車が無い家になりました。 そこはかとなく、感無量。


  車で出かけられなくなったのは、別に構わないんでが、大きな物を運ぶ時に、載せるものが無いのには、ちと困る事になりました。 近所なら、手押しのL台車でも何とかなりますが、1kmを超えるくらいの距離になると、台車ではねえ・・・。 車輪が壊れてしまいそうです。

  去年、車が無くなる前に、駆け込みで、テレビ二台と、洗濯機、冷蔵庫を、家電リサイクル引き取り所まで運んだのですが、我が家にはまだ、ブラウン管テレビが三台あり、その内二台は、一人では持ち上げられないような大きさで、自転車では運べません。 もし、それらを処分する事になったら、どうやって、運べばよいものか・・・。 

  ちなみに、家電リサイクル対象家電を廃棄する時には、店に頼むより、自分で処分した方が、遥かに安く上がります。 「家電リサイクル」をネットで検索すれば、やり方が分かるので、お試しあれ。 ちょっと書きますと、郵便局で≪家電リサイクル券≫を買い、それと、現物を持って、自治体が指定している引き取り所へ運ぶだけです。


  さて、本題の、車が無い場合の、大荷物の運び方です。

  一番簡単なのは、自転車の荷台を大きくする方法。 荷台の上に大きなベニヤ板を置いて固定すれば、その上にテレビくらいは載せられます。 しかし、荷台はかなり高い位置にあるので、バランスは極悪になります。 テレビの重さによっては、支えきれずに、倒れる危険性が大。 ジャイロ効果くらいでは、とても追いつきますまい。

  補助輪を左右につければ、倒れませんが、補助輪は、自転車に乗れない子供が練習用につけるものというイメージがあるので、大人が使うのには、相当な勇気が要ります。 それに、左右には倒れなくなっても、後ろ側は支えられないので、荷物が後ろへ落ちる事も考えられます。

  補助輪のアームを改造して、斜め後ろへ延ばせばいいんですが、その種の改造は、結構大変で、材料や工具を揃えるだけで、ン万円になってしまう恐れあり。 そんなに出すのなら、10分100円のレンタカーを2時間借りる方が、安く上がるような気もするのです。

  お金の問題もさる事ながら、みっともないというのが、最大の敵ですな。 みんながやっていれば、何でもないんですが、一人だけやってると、目立つんですよ。 そして、笑われると・・・。 やだねえ、社会性動物というのは・・・。

「そんな事で悩むのなら、車を買えば?」

  嫌ですよ。 たまーに、大荷物を運ぶ時のためだけに、年に15万円も払ってたまるもんですか。 定年過ぎの夫婦二人暮らしで、無理に車を維持している家を多く見かけますが、思い切って手放してしまえば、家計がぐっと楽になります。 買い物なんか、自転車で充分です。 坂の上や山の上に暮らしている人であっても、電動アシスト自転車があれば、問題無し。

  自転車は何が優れているといって、維持するのに、お金が一円もかからない点が、車とは雲泥の差です。 今後、低収入の家が、どんどん増えると思いますが、自転車をうまく使う事で、車を持たずに済めば、相当助かるでしょう。


  荷台の拡張の次に、簡単に出来るのが、自転車でリヤカーを引く事です。 そもそも、自動車が普及する前には、大荷物は、みんなリヤカーで運んでいたのであって、私が子供の頃には、自転車や原付でリヤカーを牽引している風景は、普通に見られました。

  今でも、リヤカー自体は使われているようですが、野菜の行商など、特定の職業の人が、人力で引いているのがほとんどで、二輪車で牽引する風習が無くなってしまったのは残念な事。 そういう光景が見られなくなったので、やるとなると、非常に目立つ。 「なんだ、あの貧乏人は?」と、周囲の注目を集めてしまうんですな。

  実際には、リヤカーを持っているという事は、リヤカー置き場を持っているという事で、当然、持ち家に住んでいるわけですから、貧乏であるはずがないんですが、車が無いというだけで、貧乏人扱いされてしまうのは、理不尽な話です。

  今のペースで、車を持たない人が増えていけば、いずれ、リヤカーが本格復活して、気にならなくなるかもしれません。 一時期、絶滅していた、藤籠製の乳母車が、幼稚園で散歩用に使われるようになって復活したように。

  ちなみに、今でも、リヤカーは売っています。 大きなホームセンターにもありますが、ネットで検索すれば、いくらでも引っ掛かって来ます。 値段は、安くても、2万円台から。 上は、10万円近い物もあります。 それでも、車に比べれば、比較にならないほど安いです。

  自転車牽引専用というのもあって、シート・ポストや荷台に固定するアタッチメントが付いています。 そういう製品があるという事は、自転車で牽引して使っている人がいるんでしょうねえ。 アルミ製で折り畳み式というから、よく考えてある。 ただし、サイズは小さいです。 テレビは載っても、冷蔵庫や洗濯機は、きついですな。

  恥ずかしいという以外に、リヤカーの問題点というと、車幅があるので、道路上で走る所が無いという重大な欠点があります。 歩道走行は、法律的にはどうなっているのか分かりませんが、たぶん駄目でしょう。 現実的障碍として、リヤカーでは通れないくらい幅が狭い歩道は、いくらもあります。

  では、車道? いやあ、それは、洒落にならんくらい、怖そうでないかえ? スピードは、歩くのとほとんど変わらないくらいになると思いますが、長時間、車に追い越される恐怖に耐えられるかどうか・・・。 まあ、たまーに使うだけなら、我慢できない事はないですが。

  牽引形態になるので、曲がる時には、注意が必要になります。 左折時、内輪差で、縁石にリヤカーが引っかかる恐れ有り。 右折は右折で、大きな交差点では、車と同じように曲がるわけには行きません。 二段階右折で対応するとしても、自転車単独の時と同じ所に停まると、リヤカーが車道に食み出してしまいます。 大回りして、なるべく、道の脇に近づけるようにするしかありませんな。

  というか、交通量が多い道路や時間帯を、極力避ける方が、先ですかね。 大きな交差点で右折しないで済むように、事前に、コースを吟味しておいた方がいいかも知れませんな。 多少、遠回りになっても、交差点の中で車に追い立てられるよりは、遥かにマシ。


  リヤカーの最大の利点は、自転車同様、所有していても、税金も、車検代も、保険料もかからない事です。 最大の欠点は、今のところ、やはり、恥ずかしさでしょうねえ。 私の父でさえ、「今、リヤカーなんて使えんなあ」と言ってますから、若い者では尚の事。 さっさと、時代が変わってくれればいいんですが。


  自転車で大荷物を運ぶ方法については、まだ書きたい事がありますが、長くなってしまったので、続きは、またの機会にします。