2013/02/24

ボトム・ブラケットから異音



  ボトム・ブラケットとは何ぞや? 普通は知りませんわな。 私も、自転車に興味を持つまでは、全く知りませんでした。 簡単に言うと、ペダルのクランクの、軸受けの部分の部品を全体的に指す場合の名称です。

  なに? そんな説明じゃ分からん? そうでしょうねえ・・・。 写真を見せろ? いや、写真を見ても、分からんと思います。 ほとんどの部分が、フレームの中に隠れているし、取り出すと、バラバラになってしまいますから。

  「bottom」は、「下部」の意で、これは、問題無いとして、「bracket」は「腕木」の意ですが、腕木自体が分からん。 腕木というのは、たとえば、棚の下にある支えの部分の事を言うそうです。 総合するに、「自転車の下部にある、クランク軸を支える部分」という意味ですかねえ。 ・・・自信、無し。

  ボトム・ブラケットは、頭文字を取って、「BB」と略されますが、「ビービー」と言って、通じるかどうかは分かりません。 口で言う分には、「ボトム・ブラケット」と言っても、大して負担が大きくないので、確実に伝えたかったら、フルネームで言った方が無難ですかね。 いずれにせよ、専門用語・業界用語なので、略称でも、フルネームでも、知らない人には通じませんが。


  自転車なんて、超が付くような単純な機械だと思っていたんですが、結構、ややこしく出来ている部分もあり、そういう所は、素人にはブラック・ボックスになっていて、故障しても、自力修理が難しいです。 ボトム・ブラケットもその内の一つ。

  どんな故障が起こるかというと、ペダルを漕ぐ時に、「ゴリゴリッ!」という異音が出て来ます。 漕げないわけではないのですが、非常に気持ちが悪い。 ネットで調べたところ、ボトム・ブラケット内の、ベアリングの球が潰れるか、球を収めているリテーナーという部品が破損しているかの、どちらかが原因だとの事。

  故障と言っても、過負荷や、経年劣化が原因なので、普通に使っている分には、全く起こらない事もあります。 通学や通勤で乗っている場合、よほどの長距離でもない限り、経験せずじまいで終わるかもしれません。 一方、スポーツ自転車では、割とよく発生する故障のようで、「ボトム・ブラケットは、消耗品」などと言われているのだとか。

  1万円そこらの軽快車では起こらないのに、5万、10万するスポーツ自転車で、よく起こるというのは、皮肉な話ですな。 スポ自に乗っている人達だって、毎度毎回、全力疾走や、峠越えをしているわけではないんでしょうにねえ。

  私は、現在、折り畳み自転車と、買い物用の軽快車の、二台を使っていますが、ボトム・ブラケットから異音が出て来たのは、折り畳み自転車の方です。 車種は、レイチェルの≪OF-20R≫。 買ったのは、2007年の1月で、今現在、6年経っています。 2011年の5月に、シート・ポストを延長した時や、同年11月に、後輪タイヤを交換した時の記録は、このブログでもアップしました。 その折自が、壊れたというわけですよ。

  最初に、「ゴリッ!」と来たのは、2011年の9月16日です。 なんで、そんなに細かい日付まで覚えているかというと、長泉町にある、≪米山梅吉記念館≫という所まで、折自で行った、その帰りに発生したからです。 沼津市から長泉町に向かう場合、緩~い登り坂になる上、距離が片道10キロくらいあるので、「ちょっと、負担をかけ過ぎたかな?」と思ったものの、その時は、ボトム・ブラケットの構造など全く知らなかったので、何の対策も取りませんでした。

  実際、その後、平地での使用に戻ると、時々しか、異音がしなくなり、「このくらいなら、どうって事はないだろう」と思って、気にしなくなってしまったのです。 しかし、今にして思うと、生物じゃあるまいし、自然治癒能力など望むべくもない機械なのですから、一度壊れたものが、自然に直るはずはないんですな。 ただ、面倒な事から、目を背けたかっただけなのでしょう。

  呆れた事に、その壊れたボトム・ブラケットのまま、2012年の1月には、南箱根の≪十国峠≫に登ったりしていました。 もっとも、その時には、上り坂は押して歩き、平らな所と、下り坂しか乗らなかったので、ペダルを漕ぐ際の負担が、さほど大きくなかったから、何も起きなかったのだと思います。

  後は、そんなに遠出はせず、沼津市内や、清水町、三島市など、近場をうろうろポタリングしていただけなので、1年以上、ごまかせて来たわけです。 ところが、今年に入ってから、沼津の北東部にある、≪門池公園≫まで行った帰り、いよいよ、異音が本格化し、漕げば必ず、「ゴリゴリ」鳴き始めるようになりました。 これはいかん・・・、いよいよ、直さねばならんか。


  ところがねー・・・、気乗りがしないんですわ。 折自を直すという、モチベーションが上がらんのです。 なぜというに、私はこの6年の間に、折自で行ける範囲内は、全て行き尽くしており、もはや、折自に乗っても、新鮮な刺激を得られる可能性が、非常に少なくなっているのです。 実用品でない、趣味の品に於ける、必要性の限界ですな。 壁にぶち当たっていてるわけです。

  直しても、その後に楽しみが無いのでは、この寒い時期に、自転車修理などという、「苦しい、汚い、危険」の3K作業なんて、やりたくないでしょう? やりたくないんですよ。 しかも、素人に直せるものなのかどうか、それすら分からず、とりあえず、バラすだけバラしてみるにしても、専用工具を買わなければならんと来た。 あ~、気が進まんな~・・・。


  しかし、暖かくなるまで、乗らずに放置しておくというのも、また、いろいろ、支障があるのです。 まず、乗らないでいると、折自が錆びる。 次に、ちょっと気分転換に出かけてみたくなった時に、折自が使えないと、ストレスが溜まる。 最後に、暖かくなるまで待ったとして、その時に、修理方法を、もう一度調べ直すのが面倒。 結局、さっさとやってしまうに限るのか・・・。


  というわけで、重い腰を上げたわけですが・・・、まずは、修理方法を調べるところから始めなければなりません。 後輪タイヤを交換した時に参考にした、個人サイトがあるのですが、そこに、ボトム・ブラケットの整備方法も出ていたのを思い出し、もう一度探し当てて、閲覧してみました。

  全く以て、ネットの最大のメリットは、この種のハウツー・サイトで情報を得られる事ですな。 昔だったら、「素人じゃ、無理」と決め付けて、高い金払って、プロに頼んでいた事が、今じゃ、最小限の経費で、自力でできるようになったのですから。 逆に言うと、プロにとっては、ネット情報は迷惑な代物であるわけですが。


  とりあえず、ペダルのクランクを軸から外さなければ、何も始まらないとの事。 で、クランクは、シャフトの両端に、ボルト、もしくは、ナットで締まっていて、それを外すのには、14ミリのボックス・レンチが必要との事。

  クランクの軸の部分は、プラスチックの蓋で塞がれていますが、これは、マイナス・ドライバーでこじったら、簡単に外れました。 見ると、私の折自の場合、シャフトの端がボルト状になっていて、それをナットで締めるタイプでした。 今、売られている、軽快車やシティー・サイクルなどは、大抵このタイプのようです。

  まずは、物置にあった14ミリのボックス・レンチを持って来て、試してみましたが、年季の入った工具なので、ボックスの肉が厚過ぎて、クランクの孔に入って行きません。 これはしたり! いきなり、躓いたか。 会社に行けば、14ミリのボックスも、それを取り付けるラチェット・レンチもありますが、会社の備品を私用に使用するのは、私の倫理観に反します。

  とりあえず、、14ミリのボックス・レンチの件は置いておくとして・・・。 ナットを外した後は、クランクを抜かなければならないのですが、しっかり嵌まりこむ構造になっているので、手では抜けず、たったそれだけのための専用工具があるのだそうです。 その名も、「クランク抜き」。 そのまんまのネーミングで、覚え易いのは宜しい。

  宜しくないのは、値段でして、クランクを抜くだけの工具のくせに、1500円もします。 構造的には、外側と内側にネジが切ってある大きなナットの中に、ボルトが通っているだけの単純なもので、せいぜい、300円くらいが適正価格だと思うのですが、5倍もするとは、何たるボッタクリ・・・。

  ネットで買うと、1200円くらいですが、送料がかかるので、結局、1500円より高くなってしまいます。 それなら、店で買った方が早い。 ちなみに、このシマノ製のクランク抜きには、片側に14ミリのボックスが付いていて、モンキー・レンチと組み合わせれば、クランクのナットを外すのにも使えます。

  沼津の≪スポーツ・デポ≫にあるのを見つけ、「買うなら、ここで」と内定しておいて、念の為、少し足を延ばして、≪サイクル・ベースあさひ≫まで行ったら、ここには、あさひの独自ブランドのクランク抜きが置いてありました。 値段を見ると、980円。 お! 安いやんけ!

  ただし、こちらの品には、14ミリのボックスは付いていません。 14ミリのボックスとラチェット・レンチは、100円ショップのダイソーにあるはずで、ボックスは105円ですが、レンチの方は315円です。 これは、前に見た事があるので、知っていました。 合計、1400円。 辛うじて、こちらの方が安いか。

  ボックスとレンチは、他の用途にも使えますから、自転車にしか使えない工具に1500円出すより、安い方の組み合わせを、1400円で買った方が、潰しが利きそうです。 「よし、それで行こう!」 と、方針が決まったのが、2月15日、金曜日の事。 翌土曜は、六日稼動で出勤なので、その帰りに、店に寄って、買って来る事にしました。


  まだ何も手を着けていない段階ですが、修理計画を、ここまで進めた時点で、もう、気分的には、げんなりです。 モチベーションが・・・、あ~、面倒臭い。 よりによって、六日稼動で休みが一日しかない週に、なんで、こんな事をせにゃならんのか・・・。

  世の中には、「乗り物に乗る事よりも、修理したり、改造したりする方が好き」という人達がいますが、私は、そういうタイプの人間ではなく、自分であれこれ直したがるのは、偏に、お金をケチりたいが為なのです。 これが、バイクなら、通勤の必需品なので、否が応でも直しますが、折自ではねえ・・・。 いや、直しますけどね。


  長くなってしまったので、今回はここまでにします。 次回は、いよいよ修理ですが、ゆめゆめ、私のモチベーションが上がる事を期待しないで下さい・・・。