文化の減少
地デジが見るに耐えないひどさなので、自然と、BSの番組ばかり見る事になるのですが、BSはBSで、文句無しとは言えない限界が存在していて、気分が晴れる事がありません。
BSで、やたらと多いのが、紀行番組です。 特に、夜7時から9時くらいは、集中しています。 他は、テレビ・ショッピングでなければ、地上波で作ったドラマの再放送ばかりなので、BSのオリジナルといったら、ほぼ全て、紀行番組と言ってもよいくらい。
日本国内のものは、普通の旅番組と違いが見出せないので、最初からパス。 さして人気があるわけでもない俳優やタレントが、地方へ行って、地元の人達と触れ合ったりするわけですが、あまりにも地味なために、とても、つきあっていられません。 旅人自身が面白いと思っていないような事に、視聴者に興味を持てと言う方が無体。
外国物の方が、まだ、見る価値がありますが、これらはどうやら、日本の局が作っているのではなく、外国で製作した番組を買って、放送しているだけの様子。 ただ、番組を選ぶのは、日本の局なので、日本人的感覚の篩がかかっているのも事実。
対象になっている場所ですが、断トツに多いのは、ヨーロッパです。 とりわけ、イタリアが群を抜き、次がフランス、スイスといった所。 この並びには、日本人の嗜好が反映していますな。 文化層が厚いところへ集中してるわけだ。 イタリアが多いのは、ローマ帝国とルネサンスの杵柄でしょう。 するってーと、日本人は、現代文化の源は、南欧系だと思っているわけですかね?
意外と少ないのは、イギリスやドイツで、経済では、ヨーロッパの中心なんですが、文化面は、あまり注目されていない模様。 イギリスは、思想や文学で、世界に大きな影響を与えていますが、そういったものは、ビジュアルで紹介し難いので、紀行番組が作れないのかもしれません。 ロンドンは現代的過ぎる一方、地方は田舎っぽ過ぎて、文化的情緒を感じないんですな。
中東欧は、チョコのプラハだけ、よく出ます。 この街、ロンドン、パリ、ベルリンなどより、遥かにヨーロッパらしい趣きを保存しているというので、西欧からも観光客が押し寄せているところで、その影響が、日本のテレビにも及んでいる様子。
ロシアは広大なだけに、無数の街があるのですが、ほとんど、取り上げられません。 世界最多の多民族国家で、週一で、各民族を紹介するだけでも、数年は続く大シリーズになり得ると思うのですが、なぜ、手をつけないのか、不思議なところ。 宝の山だと思うのですがね。
中央アジアは、もっと注目度が低く、シルク・ロードがテーマにでもならない限り、まず出て来ません。 勿体無いなあ。 というか、中央アジア5カ国の地図が頭に入っている人が、どれだけいる事やら。 民族の十字路で、様々な民族が混交しているので、街を歩く人達の顔を映しているだけでも、面白いと思うんですがね。
南西欧に続いて、よく出るのは、中国と東南アジア。 日本のテレビで、中国関連の情報というと、報道番組では、悪意に満ち満ちた糞味噌な内容が多く、とても見られたものではありませんが、紀行番組では、良識的なものがほとんどです。 ただ、中国情緒を追い求めるあまり、古いものばかり探すため、急速に発展中の経済方面から目を背ける傾向があり、社会の一面しか映していないような、アンバランス感が無いでもなし。
東南アジアは、アンコール遺跡があるカンボジアを除くと、あまり面白くないのですが、これは、歴史について、見る方に詳しい知識が無いためでしょうか。 タイは、大変よく取材される国ですが、大雑把にでも、タイの歴史について知っている日本人は、少ないと思います。 私も、昔、東南アジア諸国の歴史を読んだはずなんですが、印象に残っているエピソードが、あまりありません。 単なる勉強不足か?
次は、中南米の、先住民文化の遺跡。 インカやマヤは、やたらと多いです。 ただ、出る所が決まってしまっていて、インカなら、クスコの石垣とマチュピチュだけ。 マヤなら、チチェン・イッサばっかりという、重度のワン・パターンに陥っています。 暦のピラミッドの、蛇の影に至っては、毎週のように、何らかの番組で見せられているような気がします。 他にも、遺跡は、たくさん、あるんですがね。
日本にとって、重要な国であるにも拘らず、紀行番組が滅多に取り上げないのが、アメリカです。 たまに出ても、全然面白くない。 アメリカ合衆国だけでなく、南北アメリカの現代都市は、一様につまらなくて、ただ人が住んでいるだけの場所という感じがします。 無味乾燥度計の針が、レッド・ゾーンを軽々超えて、振り切ってしまいますな。
アメリカは、ヨーロッパ人による入植が始まってからでも、すでに、500年を経ているわけですが、なぜか、歴史の層の厚さを、まるで感じさせません。 古い建物があっても、それは、当時のヨーロッパの文化をそのまま移植しただけで、アメリカのオリジナリティーが見出せないので、コピー商品的な軽薄さが拭えないのです。 中南米の、カトリックの教会なども、全く同じ。 その国の文化ではなく、スペインやポルトガルの文化としか思えないんですな。
イスラム圏は、アメリカよりは多いですが、これも、出る場所が決まっていて、カサブランカとか、イスタンブールとか、文化的情緒がある街に集中しています。 エジプトとメソポタミアの二つの古代文明を含んでいるのですから、他にも、取材できる街は、いくらでもあると思うのですが、なぜ行かぬ?
アメリカ以上に無視されているのが、インド。 ここも、歴史や文化の層は分厚いのですが、なぜか、敬遠されています。 ある意味、日本人に最も理解しにくいのが、インド文化なのかもしれませんな。 仏教を媒介にして、インド文化を理解しようとするのは、現代では、ナンセンスとしか言えません。
アメリカの街は、古い物が無いせいで、取材対象にならないわけですが、インドの場合、事情は正反対で、覗き込んだら、どんな凄い世界が出てくるか分からないため、怖くて入って行けないのかもしれません。 カースト制に比べたら、イスラム文化の方が、遥かに分かり易いです。 インドは、日本人にとって、≪残された最後の異文化≫になる可能性が大。
アフリカのウエイトも、少ないですねえ。 あれだけ広大で、国の数も、民族の数も多いのですから、文化は多種多様なはずなのですが、なぜ、その辺に興味を持たないんでしょう? みんな同じに見える? そりゃ、興味が無ければ、そうでしょうよ。 アフリカから見れば、日本と韓国は言うに及ばず、日本とブータンですら、区別がつかないようにね。
動物がテーマのドキュメンタリーだと、よく出ますが、野生動物ばかりに注目して、そこに住む人間の生活を無視するのは、偏見といわれても致し方ありますまい。 ボビー・オロゴンさんの実家一軒だけでも、あれだけ面白いんだから、他が面白くないわけがない。
どの国も、みんな同じように見えるのが、南太平洋の国々。 ただ、これらの島々は、元々、同じ民族が、広まって行った地域なので、互いの文化が似ていても、不思議はありません。 紀行番組として面白くないのは、やむを得ないところ。
そういえば、アメリカ国内でありながら、異様に取り上げられる頻度が高い場所に、ハワイがありました。 ハワイ専門の番組があるくらい。 毎日やっているから、一体、何をそんなにありがる事があるのか、首を傾げてしまいます。 日本人の海外旅行先でトップなので、興味がある人が多いんでしょうか。 私は、全然、面白くないのですが。
こうして見てみると、人類文明というのは、本当に、有限なものなんですねえ。 文化のバリエーションが、有限というべきか。 大雑把に見ると、これだけしか無いのですよ。 細かく分けていけば、もっと数が増えますが、それは、≪秘密のケンミンSHOW≫的な分類趣味に過ぎず、世界の趨勢は、グローバル化なのですから、むしろ、数は減っている、そして、今後も、どんどん減って行くと見るべきでしょう。
≪多文化主義≫という考え方がありますが、今現在、凄まじい勢いで、地球上を多い尽くそうとしているグローバリズムに対抗できるかというと、大いに疑問です。 学者が語る、「多文化を保存する事の、人類規模の利点」よりも、「スマホが欲しい」といった、一人一人のベタな欲求の総合の方が、遥かに強いと思われるからです。
果てしなく広い宇宙に、確認されている知的生命体は、今のところ、地球に住む人類だけ。 そして、人類の文化の種類は、急激に減少中。 この傾向が、このまま進行すれば、その内、自分が他者と、どう違うのかも分からなくなってしまうでしょう。 しかし、問題は、その事ではなく、果たして、自分と他者の違いが無くなっていく事が、悪い事なのか、良い事なのか、それすらも分からないという事です。
もし、二人の人間が、全く同じ特性を持つのであれば、二人いる必要は無いのであって、一人で充分という事になります。 かつて、生まれた双子の一人を養子に出していたように・・・。 同様に、70億人が、全員、同じ特性を持つのであれば、70億人いる必要は無いのであって、一人で充分という事に・・・。
価値観が一つになり、考え方も一つになれば、人類全体が未曾有の危機に襲われたような時に、変わった考え方が出来る人間がおらず、一つの対処法しか思いつかないために、全滅する可能性が高くなるわけですが、それも、自然の摂理と見るべきなのか。
単一文化の弊害というのは、極端に言うと、こういう事なのですが、こんな事を言っても、結局、単一化の流れは止められないでしょうなあ。 「スマホが欲しい」を、「人類のために、我慢しろ」と言っても、説得力ゼロですけんのう。
BSで、やたらと多いのが、紀行番組です。 特に、夜7時から9時くらいは、集中しています。 他は、テレビ・ショッピングでなければ、地上波で作ったドラマの再放送ばかりなので、BSのオリジナルといったら、ほぼ全て、紀行番組と言ってもよいくらい。
日本国内のものは、普通の旅番組と違いが見出せないので、最初からパス。 さして人気があるわけでもない俳優やタレントが、地方へ行って、地元の人達と触れ合ったりするわけですが、あまりにも地味なために、とても、つきあっていられません。 旅人自身が面白いと思っていないような事に、視聴者に興味を持てと言う方が無体。
外国物の方が、まだ、見る価値がありますが、これらはどうやら、日本の局が作っているのではなく、外国で製作した番組を買って、放送しているだけの様子。 ただ、番組を選ぶのは、日本の局なので、日本人的感覚の篩がかかっているのも事実。
対象になっている場所ですが、断トツに多いのは、ヨーロッパです。 とりわけ、イタリアが群を抜き、次がフランス、スイスといった所。 この並びには、日本人の嗜好が反映していますな。 文化層が厚いところへ集中してるわけだ。 イタリアが多いのは、ローマ帝国とルネサンスの杵柄でしょう。 するってーと、日本人は、現代文化の源は、南欧系だと思っているわけですかね?
意外と少ないのは、イギリスやドイツで、経済では、ヨーロッパの中心なんですが、文化面は、あまり注目されていない模様。 イギリスは、思想や文学で、世界に大きな影響を与えていますが、そういったものは、ビジュアルで紹介し難いので、紀行番組が作れないのかもしれません。 ロンドンは現代的過ぎる一方、地方は田舎っぽ過ぎて、文化的情緒を感じないんですな。
中東欧は、チョコのプラハだけ、よく出ます。 この街、ロンドン、パリ、ベルリンなどより、遥かにヨーロッパらしい趣きを保存しているというので、西欧からも観光客が押し寄せているところで、その影響が、日本のテレビにも及んでいる様子。
ロシアは広大なだけに、無数の街があるのですが、ほとんど、取り上げられません。 世界最多の多民族国家で、週一で、各民族を紹介するだけでも、数年は続く大シリーズになり得ると思うのですが、なぜ、手をつけないのか、不思議なところ。 宝の山だと思うのですがね。
中央アジアは、もっと注目度が低く、シルク・ロードがテーマにでもならない限り、まず出て来ません。 勿体無いなあ。 というか、中央アジア5カ国の地図が頭に入っている人が、どれだけいる事やら。 民族の十字路で、様々な民族が混交しているので、街を歩く人達の顔を映しているだけでも、面白いと思うんですがね。
南西欧に続いて、よく出るのは、中国と東南アジア。 日本のテレビで、中国関連の情報というと、報道番組では、悪意に満ち満ちた糞味噌な内容が多く、とても見られたものではありませんが、紀行番組では、良識的なものがほとんどです。 ただ、中国情緒を追い求めるあまり、古いものばかり探すため、急速に発展中の経済方面から目を背ける傾向があり、社会の一面しか映していないような、アンバランス感が無いでもなし。
東南アジアは、アンコール遺跡があるカンボジアを除くと、あまり面白くないのですが、これは、歴史について、見る方に詳しい知識が無いためでしょうか。 タイは、大変よく取材される国ですが、大雑把にでも、タイの歴史について知っている日本人は、少ないと思います。 私も、昔、東南アジア諸国の歴史を読んだはずなんですが、印象に残っているエピソードが、あまりありません。 単なる勉強不足か?
次は、中南米の、先住民文化の遺跡。 インカやマヤは、やたらと多いです。 ただ、出る所が決まってしまっていて、インカなら、クスコの石垣とマチュピチュだけ。 マヤなら、チチェン・イッサばっかりという、重度のワン・パターンに陥っています。 暦のピラミッドの、蛇の影に至っては、毎週のように、何らかの番組で見せられているような気がします。 他にも、遺跡は、たくさん、あるんですがね。
日本にとって、重要な国であるにも拘らず、紀行番組が滅多に取り上げないのが、アメリカです。 たまに出ても、全然面白くない。 アメリカ合衆国だけでなく、南北アメリカの現代都市は、一様につまらなくて、ただ人が住んでいるだけの場所という感じがします。 無味乾燥度計の針が、レッド・ゾーンを軽々超えて、振り切ってしまいますな。
アメリカは、ヨーロッパ人による入植が始まってからでも、すでに、500年を経ているわけですが、なぜか、歴史の層の厚さを、まるで感じさせません。 古い建物があっても、それは、当時のヨーロッパの文化をそのまま移植しただけで、アメリカのオリジナリティーが見出せないので、コピー商品的な軽薄さが拭えないのです。 中南米の、カトリックの教会なども、全く同じ。 その国の文化ではなく、スペインやポルトガルの文化としか思えないんですな。
イスラム圏は、アメリカよりは多いですが、これも、出る場所が決まっていて、カサブランカとか、イスタンブールとか、文化的情緒がある街に集中しています。 エジプトとメソポタミアの二つの古代文明を含んでいるのですから、他にも、取材できる街は、いくらでもあると思うのですが、なぜ行かぬ?
アメリカ以上に無視されているのが、インド。 ここも、歴史や文化の層は分厚いのですが、なぜか、敬遠されています。 ある意味、日本人に最も理解しにくいのが、インド文化なのかもしれませんな。 仏教を媒介にして、インド文化を理解しようとするのは、現代では、ナンセンスとしか言えません。
アメリカの街は、古い物が無いせいで、取材対象にならないわけですが、インドの場合、事情は正反対で、覗き込んだら、どんな凄い世界が出てくるか分からないため、怖くて入って行けないのかもしれません。 カースト制に比べたら、イスラム文化の方が、遥かに分かり易いです。 インドは、日本人にとって、≪残された最後の異文化≫になる可能性が大。
アフリカのウエイトも、少ないですねえ。 あれだけ広大で、国の数も、民族の数も多いのですから、文化は多種多様なはずなのですが、なぜ、その辺に興味を持たないんでしょう? みんな同じに見える? そりゃ、興味が無ければ、そうでしょうよ。 アフリカから見れば、日本と韓国は言うに及ばず、日本とブータンですら、区別がつかないようにね。
動物がテーマのドキュメンタリーだと、よく出ますが、野生動物ばかりに注目して、そこに住む人間の生活を無視するのは、偏見といわれても致し方ありますまい。 ボビー・オロゴンさんの実家一軒だけでも、あれだけ面白いんだから、他が面白くないわけがない。
どの国も、みんな同じように見えるのが、南太平洋の国々。 ただ、これらの島々は、元々、同じ民族が、広まって行った地域なので、互いの文化が似ていても、不思議はありません。 紀行番組として面白くないのは、やむを得ないところ。
そういえば、アメリカ国内でありながら、異様に取り上げられる頻度が高い場所に、ハワイがありました。 ハワイ専門の番組があるくらい。 毎日やっているから、一体、何をそんなにありがる事があるのか、首を傾げてしまいます。 日本人の海外旅行先でトップなので、興味がある人が多いんでしょうか。 私は、全然、面白くないのですが。
こうして見てみると、人類文明というのは、本当に、有限なものなんですねえ。 文化のバリエーションが、有限というべきか。 大雑把に見ると、これだけしか無いのですよ。 細かく分けていけば、もっと数が増えますが、それは、≪秘密のケンミンSHOW≫的な分類趣味に過ぎず、世界の趨勢は、グローバル化なのですから、むしろ、数は減っている、そして、今後も、どんどん減って行くと見るべきでしょう。
≪多文化主義≫という考え方がありますが、今現在、凄まじい勢いで、地球上を多い尽くそうとしているグローバリズムに対抗できるかというと、大いに疑問です。 学者が語る、「多文化を保存する事の、人類規模の利点」よりも、「スマホが欲しい」といった、一人一人のベタな欲求の総合の方が、遥かに強いと思われるからです。
果てしなく広い宇宙に、確認されている知的生命体は、今のところ、地球に住む人類だけ。 そして、人類の文化の種類は、急激に減少中。 この傾向が、このまま進行すれば、その内、自分が他者と、どう違うのかも分からなくなってしまうでしょう。 しかし、問題は、その事ではなく、果たして、自分と他者の違いが無くなっていく事が、悪い事なのか、良い事なのか、それすらも分からないという事です。
もし、二人の人間が、全く同じ特性を持つのであれば、二人いる必要は無いのであって、一人で充分という事になります。 かつて、生まれた双子の一人を養子に出していたように・・・。 同様に、70億人が、全員、同じ特性を持つのであれば、70億人いる必要は無いのであって、一人で充分という事に・・・。
価値観が一つになり、考え方も一つになれば、人類全体が未曾有の危機に襲われたような時に、変わった考え方が出来る人間がおらず、一つの対処法しか思いつかないために、全滅する可能性が高くなるわけですが、それも、自然の摂理と見るべきなのか。
単一文化の弊害というのは、極端に言うと、こういう事なのですが、こんな事を言っても、結局、単一化の流れは止められないでしょうなあ。 「スマホが欲しい」を、「人類のために、我慢しろ」と言っても、説得力ゼロですけんのう。
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