2015/03/08

退職したら、後が大変

「退職したら、やらなければならない手続きが、いっぱい」

  ・・・というのは、最後に会社へ行った時に渡された書類に、弱った顔のオジサンのイラストと共に、書かれていた文句ですが、「たぶん、その通りなんだろうなあ」と思っていたら、本当に、その通りでした。 洒落にならないくらいに・・・。

  というわけで、日記の方から、関係する記述を抜き出し、その怒涛の波乱ぶりを、垣間見ていただこうと思います。 岩手での退職手続きについては、過去の記事にあるので、2014年の6月辺りを探してみて下さい。 帰って来たのが、6月24日ですから、以下は、沼津へ戻ってからの記録になります。

  ちょちょちょちょっと待った! 読む前の注意ですが、退職手続きをした事がない人には、細かい用語が、全く理解できないと思うので、深く考えずに、テキトーに、読み飛ばしてください。 後々の参考くらいにはなるかもしれませんが、同じ境遇にならないと、必要にならない知識ばかりなので、すぐに、忘れてしまって、結局は、自分がそうなった時に、一から覚え直す事になるからです。 いかに、ややこしいかを、分かっていただければ、それで、充分。



≪2014年 6月30日(月)≫
  午前中に、市役所へ行ってきました。 退職すると、健康保険の扱いが変わるのですが、国民健康保険に乗り換える以外に、社会保険の任意継続というのが選べるのだそうで、どちらか、払い込み金額が安い方を選ぶのだとか。 で、最終的な退職手続きをする前に、役場へ行って、国民健康保険に乗り換えた場合の、払い込み金額を試算してもらえと言われ、行って来たという次第。 同じ用向きで来る人間は多いようで、すぐに計算してもらえました。

  結果は、1ヵ月あたり、大体、5万円くらい。 高いな、結構。 つまり、収入が全くなくても、健康保険と国民年金の払い込みで、月々10万円くらいは、取られるわけだ。 うーむ・・・、年金不払いの若者が激増している理由が、実感として分かりました。 バイトや派遣社員の収入では、役所に10万円払って、更に、生活費を残すのは、相当、厳しいでしょう。 貯金に至っては、まず、不可能ではありますまいか。



≪2014年 7月11日(金)≫
  今日は、会社に行き、最後の退職手続きをして来ました。 岩手ではなく、裾野市の工場と同じ所にある事務棟へ行ったのです。 25年通った、この工場へ来るのは、2ヵ月半ぶりにして、これが最後です。 久しぶりに通勤路を走ると、長く感じられます。 また、今日が暑かったんだわ。 手続きは、ほとんど、お金の話です。 健康保険は、任意継続だと、月に4万円ちょっとになるそうで、国民健保より安いので、そちらにしておきました。

  他にも、年金、退職金、労金、持株、福利関係と、一遍にどかっと説明されたので、頭が混乱してしまいました。 もしかしたら、今日の話を、しっかり理解していなかったために、後々、かなりの金額を損する事になるかもしれませんが、もはや、その種の話に、執着を感じなくなってしまいました。 恐らく、私は、年金を貰う年齢を待たずに、この世を去るでしょう。 もう、やりたい事が、何もないのです。 この分では、あと10年生きるかどうかも、怪しい。 自分の貯金も使いきれない人間が、退職手続きに完璧を期し、一円でも多くのお金を手にしたがるなど、滑稽至極ではありませんか。

  情けない事を書いているような気もしますが、その実、今の私は、かつてなく、幸福な日々を送っているのです。 何もしなくていい、働きに行かなくてもいい、子供の時と同じように、母親が作った飯を食べて、ぐだぐだ暮らせる毎日を、幸せの歯応えを確かめるような気持ちで生きています。 本当に、きっぱり退職して、家へ帰って来て、良かったです。 こんな生活は、長くは続かないと思っているからこそ、輝いて見えるのでしょうか。



≪2014年 9月1日(月)≫
  会社の退職日が、8月25日だったのですが、その日が、北海道旅行の出発日だったので、退職後の各種手続きが、一週間遅れとなりました。 とりあえず、やらなければならないのは、厚生年金から国民年金への切り替えで、今日、市役所に行って来ました。 手続きは、用紙一枚書くだけでしたが、振り込み票が送られて来るのは、一ヵ月先になるとの事で、簡単には片付きません。

  その後、銀行に行ったら、退職金の一部が、口座に振り込まれていました。 家に帰ってから、書類を読み直してみたところ、退職金は、三分割されていて、この日入ったのは、「退職一時金」。 あとの二つは、「キャッシュ・バランス」と、「新確定給付年金」で、それらは、60歳まで待てば、もっと額が多くなるのですが、10年先の事など、どうなるか分かりませんから、最後に会社に行った時に、「退職時一括」で貰う方を選んで来たのです。 で、書類によると、それらの入金は、3週間、先になるとの事。

  それ以外の退職後手続きは、健康保険も、確定拠出年金も、向こうからの通知待ちです。 なかなか、思い通りには進まないものですな。 まあ、他にやる事もない事だし、ぼちぼち、片付けて行く事にします。



≪2014年 9月4日(木)≫
  昨日、会社が契約している銀行から、退職金の残り分を振り込んだという通知が届きました。 3週間もかかりませんでした。 今日、銀行へ行って、入金を確認して来ました。

  これで、退職金は、確定拠出年金の分を除けば、全て受け取った事になります。 退職金と言っても、私の場合、定年の10年も前に退職したので、世間一般で思われているほどの額ではありませんでした。 聞かされたら、大抵の人が、「え! 25年も働いたのに、そんなに少ないの?」と、感じるくらいの額です。

  辞める前に、上の人から説明された話では、55歳以降なら、「早期退職」という扱いになって、額が上がるのだそうです。 私は、それ以前だったから、ただの、「中途退職」なわけです。 だけど、退職金を、倍額くれると言われても、岩手工場で、10年働くのは、御免被ります。 その点の後悔は、一切ないです。 ほんと、思い切って、退職して、良かったわ。

  夕方、会社から小型封筒で、持株の換金した分を、振り込んだとの通知。 9万円ちょい。 通知より、入金の方が先になり、口座に入った事は、昼間、銀行で確認済みでした。 持株会は、入ってから、退会するまで、間がなかったので、株数は僅かでした。 そのまま、持っている事もできたんですが、早々に会社と縁を切りたかったので、退職時に、全部、換金してしまったのです。

  退職後、いつまでも、会社との繋がりを保ち続けようとする人もいるようですが、ほとほと、気が知れません。 嫌な記憶とか、ないんですかね? 私なんか、嫌な記憶しか思い出さないといっても過言でないくらいです。 いい記憶もありますが、そちらは、少し努力しないと、思い浮かべる事ができません。

  ちなみに、同僚からは、退職後、一人から、一回、電話がかかって来ただけで、それっきりになっています。 いや、それで、いいのです。 そもそも、私は、在職中も、現在も、携帯・スマホを持っていませんから、私の家の電話番号を知っているのは、職制だけでして、わざわざ調べてまで、かけようとする同僚など、いないわけです。 実に、都合が良かった。

  なまじ、自分の電話番号を知っている同僚が多いと、退職してから、「なんで、誰もかけて来ないんだろう?」と、泣きそうな顔になって暮らしている人も多いでしょうねえ。 気持ちは分かりますが、それが、「同僚」と、「友人」の違いなのです。 同僚というのは、仕事だから、やむなく、付き合っているだけなのです。 たとえ、私生活で一緒に遊びに行くような相手でも、それは、あくまで、仕事上の人間関係の延長に過ぎないんですな。

  そこのところを錯覚していると、退職後の精神生活は、厳しいものにならざるを得ませんなあ。 「仕事で築いて来た人間関係が、自分の人生の財産だ」と思っている人は、退職と同時に、人生まで失ってしまう事になります。 愚かな・・・。 他人は、結局、他人だって。 私は、退職して、つくづく、私生活に軸足を置いて生きて来た事を、正しい判断だったと痛感しています。

  毎日、ぷらぷらしていても、退屈する事がないのは、高校卒業後、3年間、ひきこもり生活をしていた経験がものを言っているのですが、それと合わせて、友人や同僚に頼らなくても、一人で、楽しみを見つけられる事こそが、私の、「人生の財産」になっているのです。 こういう事は、歳を取ってから、会得できるような事ではないですから、会社人間だった人達は、気の毒ですが、濡れ落ち葉になってもらうしかありません。 誰も、助けられんのよ。



≪2014年 9月8日(月)≫
  任意継続した、会社の健康保険に、来年3月までの、8ヵ月分の保険料、30万円弱を、郵便局で振り込みました。 この後、新しい、保険証が送られて来たら、古い保険証と、会社の社員証と、岩手で入院した時に取り寄せた、「高額療養費限度額適用認定証」などを、返送用封筒で、返送する事になります。



≪2014年 9月9日(火)≫
  銀行に、「退職金定期」という、金利がちょっと高い、預金商品があり、貰った退職金を、そこに全部入れてしまいました。 期間は1年だけで、金利は、0.275。 これでも、普通の定期よりは、随分と高いです。 これからは、預金の取り崩し生活になるので、利息は少しでも高い方が宜しい。



≪2014年 9月11日(木)≫
  健康保険組合から、入院した時の保険料が、6万円弱、8月29日付で、振り込まれたという葉書通知が来ました。 保険料が出るはずだという事は、聞いていたのですが、退院した時に払ったのは、9万円弱だったので、全額ではなかったんですな。 口座への入金は、確認済み。

  健康保険組合から、別の封書で、新しい保険証が届きました。 任意継続したわけですが、会社に在籍している時とは、扱いが異なるので、保険証番号も変わります。 なぜか、「高額療養費適用限度額認定証」も、新しいのが入っていました。 新しいと言っても、保険証番号の変更に伴って、更新されただけで、有効期間は、今年いっぱいです。 たぶん、使わないと思いますが、一応、取っておきます。

  古い保険証、会社の社員証、古い「高額療養費限度額適用認定証」を送り返す為の、返送用封筒が入っていたのですが、その宛て先が、神奈川県にある健保組合になっていました。 退職した時に、会社で貰った返送用封筒もあり、そちらは、宮城県の本社人事部宛てです。 どちらに送ればいいのか、電話で訊いてみようかと思ったものの、宮城県にかけるのでは、電話代が勿体ないです。 「どうせ、返すだけだから、そんなに厳密でなくてもいいか」と思い、一筆、説明を添えて、健保向けの返送用封筒も突っ込んで、本社人事部へ送りつけてしまいました。



≪2014年 9月14日(日)≫
  退職後手続きの一つに、確定拠出年金を、企業型から、個人型へ切り替えるというものがあります。 次の会社にすぐ就職すれば、不要なんですが、私は、再就職する予定がないので、個人型に切り替えざるを得ません。 個人型でも、掛け金を払い続ける事ができますが、私は、貯金を取り崩して暮らすつもりでいるので、それは不可能。 で、運用指図だけをするタイプを選びました。

  確定拠出年金は、自分で運用会社と、運用商品を選ばなければならないのですが、その選択で、この三日ばかり、頭がキリキリする思いをしました。 選べるのは、大雑把に分けると、「定期預金」、「国内株式」、「外国株式」、「国内債券」、「外国債券」、「株式債券の組み合わせ」で、これらを、割合配分して組み合わせる事もできます。

  元本保証は、定期預金だけです。 定期預金は、5年物でも、金利、0.04で、ほとんど増えず、手数料を差し引かれると、むしろ、減ります。 しかし、さんざん考えた末、結局、定期預金という結論になりました。 なぜかというと、株式や債券を信用できなかったからです。

  まず、株式・債券の特性として、「永遠に上がり続ける事はない」という、原理的にも経験的にも、確実と言える事実があります。 下がれきれば、また上がり、上がりきれば、また下がるのです。 今、最も高いとしたら、今後は、下がる可能性の方が高い。

  次に、確定拠出年金の運用は、終了時点が決まっていて、私の場合は、10年後です。 もし、株式・債券を選んだ場合、その時に、今よりも上がっていなければ、損になります。 そして、10年後に、株価がどうなっているかは、全く予測できないのです。

  とどめに、今後、日本経済は衰微し、世界経済は混乱に向かって行くと思われ、株・債権には、不利な流れです。 同じ相場商品でも、世の中が混乱するほど価値が上がる、純金などとは、全く違うのです。

  昨日、株にしようと考えていた時には、どの商品にするかで悩んでいたのですが、株式相場が暴落する時には、市場全体で起こるのであって、危険性は、どれでも変わりはない事に、今日、気づきました。 事は単純。 相場頼みの株にするか、元本保証の定期預金にするか、それだけの選択だったわけです。

  「途中で見直せる」というのも、相場商品では、あまり意味がありません。 単に、損害を減らせるというだけの話だからです。 期間が10年もあれば、その間に必ず、暴落は起こると考えた方がいいでしょう。 それを避けられるのは、相場を読める、特殊な能力を持った人達だけです。 私のような素人が、そんな危険な物に、貴重な資産を委ねるわけには行かないではありませんか。

  欲を掻くな・・・。 今までの経験が示しているように、金とは、執着すれば、逃げて行き、執着を捨てれば、向こうから寄って来るものなのです。 確実に手に入る物以外は、追わぬのが賢明というものでしょう。

  定期預金の5年物にして、今から手続きすれば、誕生日までには、運用が始まると思うので、一回、自動継続すれば、ほぼ、ピッタリ、10年になります。 もし、二回目の満期までに、日数が足りず、利息が手に入らなかったとしても、金利0.04ですから、大した損にはなりません。 株で、すってんてんになるよりは、ずっとマシです。



≪2014年 9月22日(月)≫
   市役所から、封書で通知が来て、市民税・県民税の、払っていない分を納めよとの事。 11月に、納付書を送ると書いてあります。 げ! 市民税・県民税なんてーのも、あったのか。 いや、そういう税がある事は、もちろん知っていたのですが、退職後も払う事になるとは、思い至らなかったのです。

  ネットで調べてみたら、どうやら、前年の所得を元に計算されるようです。 退職した8月までの分は、会社の方で払ってあって、その後の第3期・第4期分を、収めなければならないわけです。 合計で、25万円くらいあるらしく、馬鹿にできる金額ではありません。 だけど、所得を元に計算されるのであれば、無収入状態が続けば、いずれは、ゼロになるはず。 その暁を、楽しみに待つしかありますまい。

  ところで、この通知、紙の質が悪く、何となく、偽物っぽいのが気にかかります。 役所の通知というのは、紙の種類を統一していないんでしょうか? 納付書が送られて来たら、払い込む前に、市役所へ持って行って、本物かどうか、確認してみる事にします。 もし、詐欺だったら、25万円の損失は、洒落になりません。



≪2014年 9月30日(火)≫
  昨日、封書で、国民年金の払い込み通知が届きました。 8月から来年3月までの、月毎の納付書と、26年度下期・前納用の納付書、それに、口座振替依頼書が入っていました。 口座振替は、今から申し込むと、来年度からでなくては、できないらしいです。 つまり、今年度分は、全て、用紙で納めるしかないわけだ。

  収入がなかったり、少ない場合、納付額が、全額、もしくは、一部免除になるという制度があり、私も無収入なので、いずれ、該当する事になるのではないかと思っていたのですが、調べてみたら、その制度は、「お金がないのなら、とりあえず、払わなくても、未納扱いにせず、資格上、納めた事にする」という意味で、年金を貰う時に、その分、金額が減るらしいです。 それもそうか。 納めないで、貰うだけ、普通に貰ったのでは、おかしいですからねえ。

  で、今日、銀行へ行き、国民年金、8・9月分と、26年度下期分、合計、12万円あまりを、納付して来ました。 下半期前納の割引額は、現金の場合、740円。 口座振替で、2年分、前納すると、割引額が、どーんと大きくなるそうで、来年度分からは、そうする事にし、口座振替依頼書を提出して来ました。



≪2014年 11月17日(月)≫
  11月15日(土)に、市役所から、封書で、市民税・県民税の払い込み用紙が来ました。 9月に来た通知の方は、偽物っぽかったのに対し、こちらは、本物っぽいです。 25万円くらい。 市役所へ出向いて、確認するつもりでいたのですが、印刷されている担当課の電話番号が、ネットで調べたそれと同じだったので、わざわざ確認するまでもないと判断し、素直に、銀行で払い込みました。



≪2015年 1月9日(金)≫
  「高額療養費適用限度額認定証」の有効期限が切れた事に気づき、神奈川県の健保組合に送り返しました。 切れたのは、去年の12月末日ですが、認定証の裏の説明によると、「5日以内に送り返すように」とあり、青くなりました。 で、また、一筆書いて、詫びておきました。 「拝啓」と、「敬具」なんて、使ったのは、何十年ぶりかな? 今時珍しいほどに、丁寧な文面にしておけば、文句は言って来ないでしょう。



≪2015年 1月29日(木)≫
  ここ半月ばかりの間に、会社や、健保組合、市役所などから、私が払った各種料金の、払い込み証明書が、続々と届いています。 いずれも、「確定申告に使うように」との事。 いよいよ、最大の難関が近づいて来たか。 確定申告さえ乗り切れば、しばらくは、のほほんとして暮らせます。 というか、確定申告に行くのが嫌なばかりに、年明けからこっち、鬱々として、愉しめないのです。



≪2015年 2月18日(水)≫
  25年ぶりに、確定申告に行って来ました。 25年前は、税務署へ行ったのですが、いつのまにか、別会場でやる事に変わっていて、沼津駅の北にある、イベント施設へ向かいました。 もちろん、自転車。 本当は、昨日行くつもりでいたのですが、雨で一日延ばしたのです。 久しぶりに、目覚まし時計をかけて、8時に起き、急いで支度して、会場へ。 9時の開始から、ほとんど遅れていなかったと思うのですが、すでに、50人くらい人がいました。 ただ、二本の流れで、処理しているらしく、待ち人数は、片方、20人くらいでした。

  20分ほど待ったら、順番が来たので、指示された、「事前①」というカウンターへ。 25年前、税務署でやっていた頃には、税務署員の机に呼ばれて、病院での問診のように、椅子にかけて、マン・ツー・マンで話が進められたのですが、今日の会場では、係員も、こちらも立ったままで、流れ作業で、人を捌いていました。

  源泉徴収票は、4枚ありましたが、3枚は、すでに納税されていると言われました。 国民年金の社会保険料控除と、生命保険料の控除は、当然認められたものの、去年、岩手で入院した時の医療費は、出費が少な過ぎて、控除対象になりませんでした。 そこまでは、順調だったのですが、持株の処理で引っかかりました。 退職した時に、持株会から退会し、現金に換えてもらったのですが、それが、株式の譲渡益になる場合、課税対象になるというのです。

  「事前①」のカウンターでは、株式譲渡益を扱えないというので、奥の、対面処理コーナーへ送られました。 壁際に並べられた椅子で、5人くらい待ち、席に呼ばれてから、さらに5分ほど待つと、係の人が来ました。 40歳くらいの男性で、関西方言の、いかにも、頭が切れそうな人物でしたが、私が持って来た持ち株売却の書類に謎があるらしく、睨めっこして、何度も電卓を叩き直すものの、なかなか、解読できません。

  係員一人で、複数を相手にしているので、途中、他の人の所に行きましたが、たぶん、その間にも、考え続けていたのでしょう。 戻って来て、ちょっとで、「分かった」と言って、謎が解けた様子。 説明してくれたところによると、株の購入代金より、売却金額の方が少ないので、申告する必要はないとの事でした。 ほっとしたような、がっかりしたような、複雑な気分・・・。

  しかし、後で考えたら、私は別に、持ち株で損をしていたわけではなかったのです。 そもそも、会社の福利ポイントを有効活用する為に入った持株会だったわけで、購入代金の半額は、福利ポイントから出ていた上、会社の補助もありましたから、むしろ、得をしたのです。 対面処理コーナーでは、待ち時間も含めて、30分くらいかかったでしょうか。

  やっと、パソコン入力コーナーに進み、入力の仕方なんぞ分からないので、係員に任せて、打ち込んでもらいました。 横で見ていましたが、入力画面が何ページも続き、とてもじゃないけど、素人にできるとは思えませんでした。 今は、確定申告は、「e-tax」というシステムで、自宅でもできるらしいですが、こんなに複雑では、やれる人が、ほとんどいないと思います。 たとえ、できるようになったとしても、一年に一回では、毎年、忘れてしまうに決まっています。 パスワードを決め、還付金の振込口座を打ち込んでもらって、終了。

  最後が、プリント・コーナーで、ここで、提出書類と、控え書類をプリントしてもらい、提出書類の方を、出口に置いてあるポストに入れて、おしまいです。 パソコン入力した上に、書類も提出するんですな。 ちょっと、二度手間っぽいですが、ほとんどを、係員にやってもらった手前、文句を言える筋合いではありません。 かかった時間は、全部で、1時間15分くらいでしょうか。 持株で引っかからなかったら、30分早かったと思います。

  外に出たら、まさかの雨。 自転車の所に戻ると、サドルが水玉でいっぱいです。 天気予報で、曇りである事を確認してから、出かけてた来たんですがねえ。 まったく、気象台は当てにならない。 しかし、パラパラ程度だったので、立ち漕ぎして、走り出し、近くのダイソーで、ちょっと買い物をして、後は、家まで、サドルに座る事なく、帰って来ました。 家着が、11時頃。

  ところで、母から、「代わりに、確定申告に行って来て欲しい」と言われていたので、会場から出る前に、係員を捉まえて、「申告は、本人じゃないとできませんよね?」と訊いたところ、「家族なら構わないです」という返事でした。 ちっ・・・、余計な仕事が増えてしまうではないか・・・。 帰ってから、母に、その事を伝えましたが、「今年だけは、自分で行く事にした」との返事。 なんだ、それなら、問題はありません。 母が心配しているのは、今後、体が弱って、自力で出かけられなくなってからの事のようでした。 まあ、その時は、その時ですな。

  母の分はさておき、私の確定申告は、来年からは、ありません。 なぜというに、収入がないからです。 個人の確定申告は、所得税が対象になるわけですが、収入がないという事は、所得がないわけで、納税の必要がなく、納税していなければ、還付もないので、還付申告もできません。 「取られてないのだから、取り返す事もできない」のは、理の当然。

  私の場合、その状態が、年金受給開始まで続きます。 年金は収入なので、所得税がかかり、確定申告する事になります。 年金が、年間400万円以下の場合は、申告しなくてもいいのですが、生命保険に入っていて、還付が期待できる場合は、申告した方が得になります。 母は、そのケース。 父は、生命保険に入っていないので、もう、確定申告はしていません。

  私が年金を受給し始めるまで、今から、ざっと、20年くらいですかね。 今日は、25年ぶりに、確定申告に行ったわけですが、次に行くのは、20年後というわけだ。 うーむ、20年と思うと、長いですなあ。 それまでは、とても、生きていないような気がします。 もし行ったとして、まーた、やり方が、様変わりしている可能性は高いですなあ。



≪2015年 3月6日(金)≫
  2月に確定申告を済ませ、還付金も入り、「やれやれ、これで、退職手続きは、全部、終わったな」と、安心していたら、思わぬ所に伏兵が潜んでいました。 昨日、任意継続していた、会社の健康保険組合から通知が来て、4月からの保険料を振り込めとの事。 「一年分、纏めて払えば、いくら、割引されるのだろう」と、計算をしている時に、ふと、重大な事に気づきました。 健康保険の保険料は、前年の所得金額を元にして決められるのですが、任意継続の場合、退職の前年の所得で計算した保険料が、2年間、そのまま続くのです。 私の場合、年間にして、50万円くらいになります。 2年で、100万円。

  冗談じゃない! こちとら、去年は、8月までしか給料を貰っていませんし、その後は、無所得ですから、国民健康保険に切り替えれば、もっと安くできるはずです。 で、今日、市役所に行って、計算してもらったら、案の定、今年度払う分は、35万円程度で、任意継続の方より、15万円も安くなる事が分かりました。 今年は、完全に無所得ですから、来年度は、もっと安くなり、10万円を切ると思われます。 油断も隙もあったもんじゃない。 なぜ、会社の健保組合の方で、そういう注意をしてくれんのかなあ。 退職後、無所得になるケースが、珍しいからでしょうか。

  で、市役所から戻って、すぐに、会社の健保組合に電話して、退会したいと告げたところ、至って事務的に、3月半ば頃に、「健康保険喪失証明書」と、返送用封筒を送るので、4月になったら、保険証を返却するようにと言われました。 電話にかかった時間は、せいぜい、2分くらいです。 物慣れた応対から察するに、退会希望の電話は、よくかかって来るんでしょうな。 その、「喪失証明書」がないと、国民健康保険の方の入会手続きができないのです。 結局、4月に入るまで、決着しないのか。 なかなか、会社と縁が切れない事よ。

  それにしても、切り換えに気づいてよかったです。 ぼんやりしていたら、50万円以上、損をするところでした。 新品のバイクが買える金額ですわ。 いや、買いはしませんけどね。 ちなみに、任意継続でも、国民健康保険でも、医療費の本人負担割合は、変わりません。



  以上が、これまでの経過です。 整理しますと、この、9ヵ月の間に、私が戦った相手は、

厚生年金から、国民年金への切り替え・払い込み
健康保険の任意継続・保険料の払い込み
市・県民税の払い込み
確定既出年金の切り替え
退職金の処置
持株売却金の処置
確定申告
国民健康保険への切り替え

  実は、細々したものが、他にも、いろいろあったのですが、自分でも把握しきれていないので、敢えて、書きません。

  とりあえず、会社からくれると言われたものは、全て貰い、役所から払えと言われたものは、全て払いました。 そちらが前哨戦で、年が明けた後の、確定申告が、天王山。 申告に行く前には、書類を全部、読み直したのですが、どうしても、漏れはあるものです。 申告後、だいぶ経ってから、控除対象になる書類を、一枚出し忘れていた事に気づきました。 しかし、もう、還付も済んでしまっていて、今更、修正するのも面倒臭いので、そのままにしておこうと思います。 申告漏れではないから、私が、いくらか損をするだけで、税務署から文句を言われる事はありますまい。

  退職金で、そこそこ大きな金額が動いたせいで、金銭感覚が麻痺して、数万程度の差が、ピンと来なくなってしまいました。 ふだん、私は、一円を惜しんで暮らしているのですがねえ。 やっぱり、あんまり、「カネ! カネ!」と目を血走らせるものではありませんな。 「お金と警察には、関わらないに越した事はない」というのは、誰の言葉だったでしょうか。 ・・・私か。