父の部屋にエアコン
クソ暑い・・・。 汚い言葉で恐縮至極ですが、それが分っていて、尚、「クソ暑い・・・」と言いたくなるから、どれだけ暑いか、分かっていただけようというもの。 夏は、元々、暑いものですが、生命の維持に関わるほど暑くなったのは、ここ5・6年の事です。 私の記憶では、確か、2010年から、猛烈な暑さになったような気がします。
ほんのちょっと前までは、夏と言ったら、若者の季節で、「今年の夏こそ、素敵な出逢いと、めくるめく恋を・・・」などと、気合いを入れて、水着や下着を買い直す人も多かったわけですが、こうと暑くなっては、発情どころではありますまい。 もっと前だと、「夏だ! サザンだ! チューブだ!」なんて、萌え上がっていたわけですが、今では、隔世の感あり。 夏で、はしゃぐ神経が信じられません。 「この暑いのに、何を喜んでるんだ? アホちゃうか?」と思ってしまいます。
そういや、「世界でいちばん熱い夏」なんて歌もありましたが、ありゃ、命に関わる暑さというのが、どういうものなのか分からなかったからこそ、作れた歌なんでしょうなあ。 ここ5・6年のように、熱中症で倒れ、お陀仏する人が増えてしまっては、あの曲をかける事自体が憚られるようになりました。
わざわざ、浴衣を着て、花火を見に行く奴らも、気が知れない。 夜になったって、気温なんて、なんぼも下がらないんだから、浴衣なんか着たら、暑さを増幅するだけです。 浴衣というのは、一見、涼しそうに見えますが、その実、そう見えるだけでして、首から足首まで、すっぽり覆ってしまうから、風が通りませんし、前側は、布が合わさって、二重になるから、ますます熱が籠ります。 何も、理由もなしに、着物を着る人がいなくなったわけじゃないんだよ。 今の服というのは、それだけ、合理的に出来ているわけだ。
暑いのに、花火というのが、また分からん。 だって、「火」だよ。 ますます、暑いわ。 大体、花火大会なんてーのは、子供の頃に一回見にいけば、それで充分で、何度も行くような面白いもんじゃないですよ。 私なんか、尺玉以外は、何を見ても感動しなくなって久しく、いつ上がるか分からない尺玉を待ってられないので、端から行かなくなってしまいました。 スター・マインなんて、何が面白いのか、全く分からん。 型物に至っては、子供騙しとしか思えない始末。
人混みも、嫌ですねえ。 一人でいても、暑くて仕方ないのに、他人と肩を擦り合わせて歩くなんて、ぞーっとします。 祭りの露店に興奮している諸兄よ、少しは大人になりなさい。 あれは、子供向けの店だ。 見りゃ、分かるだろうに。 いい歳こいて、チョコバナナなんて買って、喜んでんじゃないよ。 ついでに、露店の売り上げの一部が、暴力団の資金源になっている事も、大人だったら、知っていてしかるべきでしょう。 私は、高校時代に、そういうシステムになっている事を知って以来、露店に全く近づかなくなりました。 なんで、一般市民が、ヤクザを儲けさせねばならんのよ?
なんだか、書いている当人ですら見過ごせないくらい、著しく脱線していますな。 つまりその、「昨今の夏は、耐え切れないほど、暑い」という事が言いたかったのです。 この暑さで、マジで、5年後に、オリンピック、やるんですかね? 想像もつきません。 選手、スタッフ、観客を問わず、熱中症患者が、続々と救急車で運ばれる様子だけは、いとも容易に想像できます。 医療関係者は、トリアージの訓練が必要ですな。 どちらか一人しか助けられないという場合、やっぱ、選手が優先になるんですかね?
以上は、話の枕。 ここから、本題に入ります。 7月11日にシュンが死に、家の中に死の気配が濃厚に漂っていた頃、高齢の父が、暑さで参ってしまうのが心配になり、「そろそろ、父の部屋にエアコンを付けた方が良いだろう」と思ったところから、話が始まります。
例年、父は、夏になると、昼間の暑い時間帯は、二階の自室から下りて来て、一階の旧居間で、昼寝をして過ごしていたのですが、今年は、7月半ばになっても、その姿が見られず、「高齢者は、暑さを感じ難くなる」という、テレビ番組で聞いた話が念頭に浮かんで、心配していたのです。
ちなみに、2年前の事ですが、旧居間で昼寝する父の為に、私が探して来て、冷風扇を置いたのですが、これは、全く期待外れの製品で、扇風機よりも、涼しくなりませんでした。 同じ年に、クール・スカーフも用意しましたが、父が着けていたのは、ほんの僅かの期間で、何が気に入らないのか、すぐにやめてしまいました。 アイスノンを枕にして眠れば、だいぶ違うんですが、タオルで包んでも尚、かなり、ゴツゴツするので、誰にでも薦められる方法ではないです。
つまりその、私は、今までにも、エアコン嫌いの父が、無事に夏を乗り切れるように、いろいろと、心を砕いて来たわけです。 その事は、分かっていただきたい。 「エアコンを付けろ」も、もう、十年以上前から、毎年のように言って来たのですよ。 全然、聞き入れてもらえなかっただけで・・・。 以下、日記から、エアコンに関する部分だけ移植して、加筆修正したもの。
≪2015年7月16日(木)≫
夕飯は、やきそばでしたが、父は、半分くらい残しました。 だいぶ、弱っているようです。 エアコンを買ってやりたいのですが、筋金入りのエアコン嫌いだから、使わないかも知れませんなあ。
≪2015年7月17日(金)≫
ネットで、窓用エアコンを調べました。 大体、3万円くらい。 自分で設置できる点はいいのですが、独特の騒音があるらしいです。 これがもし、私の部屋に付けるのであれば、暑ささえ凌げるのなら、多少の騒音は我慢するところですが、父の部屋となると、そうも行きません。 「うるさい」という理由で、スイッチを切られてしまっては、元も子もありませんから。
≪2015年7月18日(土)≫
朝起きるとすぐに、ベランダに出ました。 メジャーを持って行って、父の部屋の、東側の窓の縦幅を計ったら、70センチしかありませんでした。 窓用エアコンの、最小縦幅は、77センチくらいですから、これでは、付けられない事になります。
となると、普通のエアコンという事になります。 父の部屋の外に、室外機を置く場所があるか調べました。 隣の母の部屋は、エアコンが設置済みで、その室外機が父の部屋との境にある関係で、ベランダの上には、他に場所がありません。 父の部屋の東側に、改築して付けた、広さ四畳ほどの物干し台があるのですが、それ自体、一階の屋根の上に乗せてあるだけの不安定な物なので、その上に室外機を置くのは、危ない感じがします。
室外機を、金属製の棚を使って、二階建てにしている家を、たまに見るので、母の部屋の室外機の上に、載せてしまうという手が使えるかもしれません。 棚の代金は、別にかかると思いますが、他に置ける場所がないから、致し方ありませんな。 一応、その線を当てにしておきます。
週末の事とて、ごっそり入って来た、新聞の折り込み広告を見ます。 とある家電量販店で、冷房専用機が、工事費・税込みで、42984円で出ていました。 それより、安い品はないようです。 早速、その機種を、ネットで調べてみたところ、冷房専用機は、夏しか使わないせいで、壊れ易いとの事。 レビューの意見ですから、鵜呑みにはできませんが、エアコンは壊れると、処分が厄介なので、慎重にならざるを得ません。
夕方、父に、エアコンの事を話しに行きました。 お金は、私が出すと言ったのですが、電気代がどうの、関節が痛くなるからこうのと、頑強な抵抗に遭い、最終的には、付けないという事になりました。 うーむ、手強い。 それでも、無理やり、付けてしまった方がいいかも知れません。 父は、「今まで、それでやって来たんだから」と言っていましたが、だーから、昨今の夏は、昔とは暑さが違うんだって。
≪2015年8月3日(月)≫
朝、8時頃ですが、母が私の部屋に来て、父が朝から、旧居間で寝ていると言うので、慌てて、下りて行ったら、父が、畳の上に横になり、冷風扇に吹かれて、ぐったりしていました。 ここ数日、昼も夜も、殺人的な暑さでしたから、もう、熱中症以外に考えられません。 意識は、はっきりしていて、会話は可能。 頭がクラクラするような事はないが、体がだるいと言います。 とにかく、冷やさなければなりません
幸い、旧居間は、床の間と続きで、人寄せ用の部屋として作られたので、家を建てた時に、エアコンを付けてありました。 このエアコン、年に一度、お盆に、お寺の住職がお経を上げに来る時だけ使われて来たのですが、なぜか、37・8年も、故障知らず。 今日も、スイッチを入れたら、ちゃんと、動きました。 父が、「寒い」というので、温度を調節し、最終的に、29℃くらいで、安定しました。 29℃というと、ほとんど、涼しさを感じませんが、部屋の外は、33℃以上あるわけで、体への負担は、かなり違います。
旧居間にある、年代物のエアコン、「National 1000DX」。 家具調の木目柄になっています。 本体に主電源スイッチがあり、それを入れてから、リモコンの方の電源を入れるのですが、リモコンと言っても、太いコードで本体と繋がっています。 そういえば、これは、冷房専用機ですな。
ちなみに、二階にある父の部屋は、昼間は、35℃を超え、夜でも、30℃以下にはなりません。 私の部屋は、西側なので、若干、気温が低いですが、まあ、大差ありません。 母の部屋だけは、エアコンが付けてあり、母は、昼は居間でエアコンを使い、夜は自室でエアコンを使い、少なくとも、寛いでいる時には、暑い思いをしていない事になります。
とりあえず、父を涼しい部屋で寝かせておいて、万一の場合を考えて、兄の家に電話をしました。 兄嫁が出て、兄は仕事中で、午後2時か3時に帰って来るとの事。 兄と直截話す必要もないので、父の調子が悪いから、なるべく早く、会いに来てくれるようにと、伝言を頼みました。 ちなみに、兄は現在、ルート配送の仕事をしていて、休みの日とか、勤務時間とかは、こちらには、全く分かりません。
私は、何度も、父の部屋にエアコンを付けるように主張して来たのですが、「エアコンは、体に悪い」と信じ込んでいる父を説得できず、毎回、失敗して来ました。 しかし、今日のような事態になっては、もう、父の許可など待っていられないので、私が自腹を切って、エアコンを付けてしまう事にしました。
言うまでもなく、エアコンが、どんなに体に悪かろうが、それを使わずに、暑さで死ぬよりは、一億倍、体にいいです。 馬鹿馬鹿しい。 「石田光成の柿」ではありませんか。 いやね、石田光成には、関が原の戦いで負けた後、捕らえられて、刑場に引かれて行く道すがら、「喉が渇いただろう」と、柿を勧められたのに、「柿は体に悪い」と言って、断った逸話があるのです。 これから死ぬというのに、健康を心配していて、どうする?
近所の電気屋さんに電話したところ、夕方には部屋を見に来ました。 水曜日には、工事ができるとの事。 私もそうしたかったし、向こうにも薦められたので、一番安いタイプにしました。 高いタイプというのは、自動掃除機能が付いている奴で、うちにも、居間にあるのが、それなのですが、掃除時間が異様に長く、どう考えても、年に一度、手動でフィルターを洗った方が、得だと思わせてくれます。 そんなの、いらんいらん。 ちなみに、そのメーカーには、冷房専用機はなくて、迷う必要もなく、冷暖房機になりました。
しかし、一番安いタイプであっても、総費用は、10万円だとの事。 室外機を、母の部屋のと二階建てにする関係で、その棚の代金も加算されているのですが、それにしても高い。 冷暖房機であっても、家電量販店なら、工事費込みで、6万円くらいなんですがねえ。 だけど、家電量販店に頼むと、どんな人が工事に来るか分からないから、不安なのです。 その点、近所の電気屋さんなら、私が生まれる前から、私の家を知っているわけで、中に入られても、抵抗感がありません。
なーに、それで、父の寿命が何年か延びると思えば、10万円くらい安いものです。 今日の一件で、父も、エアコンは使い方次第で、大変な利器になる事が分かったのではないでしょうか。 命を救ってくれるのですから、電気代には代えられません。 水曜に、エアコン工事が終わるまで、父には、旧居間で寝起きしてもらう事になりました。 その間、旧居間のエアコンは、設定温度29℃で、点けっ放しになります。
ところで、結局、今日、兄は来ませんでした。 母が、何を勘違いしたのか、兄夫婦が客として訪ねて来ると思い込んで、遅くまで、居間で粘っていました。 「来るとしても、兄貴だけで、嫁さんは来ない」と言ったら、拍子抜けしたような顔をしていました。 危篤ならいざ知らず、ただ体調が悪いくらいで、嫁さんが来ても、仕方ありますまい。 兄は、息子だから、話は別ですが。 それにしても、母は、変な人です。 父の命より、兄夫婦をもてなす事の方が、重大事だと思っているのは、呆れた話。 父が死んだら、どれだけ面倒な事になるか、想像した事もないのでしょう。
≪2015年8月4日(火)≫
父の様子ですが、昨日よりは、幾分、元気になりました。 朝方、兄本人から電話があり、私が事情を説明したところ、それほど、切迫した容態ではないという事で、家に来るのは、お盆という事になりました。 兄は、今日、休みだとの事。 そんなに遠くに住んでいるわけではないのですから、顔を見に来るくらいできると思うのですがね。 しかし、私としては、一応、連絡の責任は果たしたから、否やはありません。
≪2015年8月5日(水)≫
朝、早く起きて、父の部屋で、ベッドを移動し、エアコン工事のスペースを確保しました。 父も立ち会って、少し、手伝ってくれましたが、やはり、力強さはありません。 長い事、掃除していなかったようで、ベッドの下は埃だらけ。 掃除機で吸い取りながら、ベッド下の大きな引き出しを外し、ベッドの位置をずらしました。 六畳間だから、ずらしても、出来る空間は知れているのですが・・・。
8時から、電気屋さんが来て、工事開始。 私が子供の頃、すでに大人だった年配の人ですが、今でも現役で、ピンピンしている感じ。 働いている人は、生気が違うようです。 奥さんも来て、二人で協力して、働いていました。 頻繁に、作業手順について会話して、大変、息が合っています。 こういう夫婦を見ると、結婚している人が羨ましいと感じます。
8時には、すでに、猛暑で、ベランダなんか、灼熱地獄の様相。 父の部屋にあった扇風機を全開にしておきましたが、焼け石に水だったでしょうなあ。 家人が見ていると、作業がやり難いですし、私自身、暑くて仕方がないので、母がエアコンを点けている居間で、待っていました。 父は、旧居間で、年代物のエアコンを点けて、寝ていました。
途中、母が、冷蔵庫で冷やしてあったアクエリアスのペット・ボトルを渡しに行きましたが、あの暑さですから、500ccくらいでは、とても足りないのではないかと思いました。 「電気屋のおじさんが暑さで倒れてしまったら、とりあえず、どの部屋に寝かせよう?」などと、余計な心配をしていましたが、何と言っても、相手はプロでして、そんな事にはなりませんでした。
11時半頃には、工事終了。 リモコンの使い方を教わり、10万円支払って、エアコン設置計画は、無事、完了しました。 電気屋さんが言うには、28℃か、29℃といった、高い温度で、点けっ放しにしておいた方が、健康上も、冷房効率上も良いとの事。 タイマーが付いているものの、夜中に消えたりすると、そこから、気温が上がって、朝までに、熱中症になってしまうのだそうです。
ここ最近の夏場は、夜も昼も、気温が下がる時がないのであって、一日中、エアコンを点けているしかないのかも知れません。 消してもいいのは、せいぜい、朝4時から、7時くらいの間でしょうか。 人間の為というより、エアコンを休ませる為ですが。
とりあえず、これで、父が、暑さで死ぬ危険性は低くなったのですが、それでも尚、ここ半年ばかりの急激な老け込み方を見ると、まだまだ、安心できないと思うのです。 つい、こないだ、シュンで経験したように、生き物は、無限に生きられるわけではないですから。
≪上≫ 父の部屋に取り付けられた新品のエアコン、「Panasonic CS-225CF」。
≪下左≫ 二階建ての室外機。 上が、新しい方。
≪下右≫ リモコン。 エアコンは、室温管理や運転の都合で、マイコン制御されている部分が多く、説明書に従って操作しても、その通りの動作をしてくれない事があります。 高齢者がエアコンを嫌うのには、そういう事情もあるのではないかと思います。
≪2015年8月6日(木)≫
今日は、これと言って、事もなし。 父は、エアコンを最高温度の30℃にして使っていたのですが、まだ、寒いというので、除湿にして、風量を、一番小さくしてみました。 それでも寒いのなら、切ったり点けたりしてもらうしかありません。
≪2015年8月8日(土)≫
父は、エアコンを使っている様子。 点けたり消したりでもいいから、暑いと感じた時だけでも使ってくれれば、全然、違うと思うのです。 そのつど、私が行って、点けろと指図していられませんから。 ちなみに、父がエアコンを使っているかどうかは、ベランダで、水が出ているかどうかを見れば分かります。
一方、私は、扇風機、クール・スカーフ、アイスノンが頼りです。 夜も昼もなく、一日中、暑いというのが、困りもの。 昼間は、「夜になれば、涼しくなる」と期待し、夜は、「朝になれば、涼しくなる」と期待しているのですが、朝になっても、少し気温が下がる程度で、涼しくはなりません。
家にいる時は、暑さを凌ぐアイテムがあるわけですが、外までは持って行けないので、天気がいいのに、出かけられないのが、悔しいです。 せっかく、毎日が日曜日だというのに。
≪2015年8月18日(火)≫
父が暑さで体調を崩し、私が、兄の家へ電話したのは、8月3日でしたが、それから、二週間と一日経って、ようやく、今日、兄夫婦がやって来ました。 父の姿を見て、「割と元気で、良かった」と言っていましたが、兄が家に来たのは、一年ぶりくらいで、一年前の父と、今の父では、様変わりしているのに、そんな感想が出るとは、意外でした。 私が初めて電話などしたので、「死ぬ寸前」くらいに思い込んでいて、それにしては、自力で歩いているから、「割と元気」だと思ったのかも知れません。
しかし、「死ぬ寸前」だと思っていたら、半月も遅れて来ないような気がせんでもなし。 私が電話した日の翌日は、兄は休日だったわけで、来ようと思えば、その日に、2時間くらい割けば、家まで往復できたはずなんですがね。 今日の、兄の話を聞いていた限りでは、どうも、当事者意識に欠けているようで、他人事のような喋り方でした。 実の息子であっても、離れて暮らしていると、肉親の情は薄くなるのかも知れませんな。 いや、そもそも、父と兄が親しく話をしている姿なんて、過去に一度も見た事がありませんが。
以上が、父の部屋にエアコンを取り付けた顛末です。 父は、エアコンを使うようになってから、目に見えて、元気を回復しました。 言葉がはっきりして来ましたし、昼食や夕食に、居眠りして遅れる事も減りました。 暑さというのは、限度を超えると、本当に、健康に悪いんですなあ。 今、うちの中で、最も、暑さに参っているのは、この私です。
とはいえ、父が、一年前あたりと比べて、衰えた事は、否定のしようがありません。 エアコンで、今年の夏は乗り切れたとしても、来年の夏までもつかどうか、怪しいところです。 8月11日には、お寺の施餓鬼に行き、私もついて行ったのですが、父を見た親戚のおばさん達が、父に対して、介護ヘルパーのような気の使い方をしていたのが、印象深かったです。
他にも、父の話では、近所の人に、「どなたでしたっけ?」と訊かれる事が続いているのだとか。 昔からの知り合いなのに、父が痩せ細ってしまったせいで、顔が分からなくなっているんですな。 父が変わっていないと思っているのは、母と兄だけ、という事になります。 二人とも、現実から、目を背けようとしているのだと思うのですが・・・。 私としては、いつ何が起こってもいいように、覚悟をしておくしかありません。
ほんのちょっと前までは、夏と言ったら、若者の季節で、「今年の夏こそ、素敵な出逢いと、めくるめく恋を・・・」などと、気合いを入れて、水着や下着を買い直す人も多かったわけですが、こうと暑くなっては、発情どころではありますまい。 もっと前だと、「夏だ! サザンだ! チューブだ!」なんて、萌え上がっていたわけですが、今では、隔世の感あり。 夏で、はしゃぐ神経が信じられません。 「この暑いのに、何を喜んでるんだ? アホちゃうか?」と思ってしまいます。
そういや、「世界でいちばん熱い夏」なんて歌もありましたが、ありゃ、命に関わる暑さというのが、どういうものなのか分からなかったからこそ、作れた歌なんでしょうなあ。 ここ5・6年のように、熱中症で倒れ、お陀仏する人が増えてしまっては、あの曲をかける事自体が憚られるようになりました。
わざわざ、浴衣を着て、花火を見に行く奴らも、気が知れない。 夜になったって、気温なんて、なんぼも下がらないんだから、浴衣なんか着たら、暑さを増幅するだけです。 浴衣というのは、一見、涼しそうに見えますが、その実、そう見えるだけでして、首から足首まで、すっぽり覆ってしまうから、風が通りませんし、前側は、布が合わさって、二重になるから、ますます熱が籠ります。 何も、理由もなしに、着物を着る人がいなくなったわけじゃないんだよ。 今の服というのは、それだけ、合理的に出来ているわけだ。
暑いのに、花火というのが、また分からん。 だって、「火」だよ。 ますます、暑いわ。 大体、花火大会なんてーのは、子供の頃に一回見にいけば、それで充分で、何度も行くような面白いもんじゃないですよ。 私なんか、尺玉以外は、何を見ても感動しなくなって久しく、いつ上がるか分からない尺玉を待ってられないので、端から行かなくなってしまいました。 スター・マインなんて、何が面白いのか、全く分からん。 型物に至っては、子供騙しとしか思えない始末。
人混みも、嫌ですねえ。 一人でいても、暑くて仕方ないのに、他人と肩を擦り合わせて歩くなんて、ぞーっとします。 祭りの露店に興奮している諸兄よ、少しは大人になりなさい。 あれは、子供向けの店だ。 見りゃ、分かるだろうに。 いい歳こいて、チョコバナナなんて買って、喜んでんじゃないよ。 ついでに、露店の売り上げの一部が、暴力団の資金源になっている事も、大人だったら、知っていてしかるべきでしょう。 私は、高校時代に、そういうシステムになっている事を知って以来、露店に全く近づかなくなりました。 なんで、一般市民が、ヤクザを儲けさせねばならんのよ?
なんだか、書いている当人ですら見過ごせないくらい、著しく脱線していますな。 つまりその、「昨今の夏は、耐え切れないほど、暑い」という事が言いたかったのです。 この暑さで、マジで、5年後に、オリンピック、やるんですかね? 想像もつきません。 選手、スタッフ、観客を問わず、熱中症患者が、続々と救急車で運ばれる様子だけは、いとも容易に想像できます。 医療関係者は、トリアージの訓練が必要ですな。 どちらか一人しか助けられないという場合、やっぱ、選手が優先になるんですかね?
以上は、話の枕。 ここから、本題に入ります。 7月11日にシュンが死に、家の中に死の気配が濃厚に漂っていた頃、高齢の父が、暑さで参ってしまうのが心配になり、「そろそろ、父の部屋にエアコンを付けた方が良いだろう」と思ったところから、話が始まります。
例年、父は、夏になると、昼間の暑い時間帯は、二階の自室から下りて来て、一階の旧居間で、昼寝をして過ごしていたのですが、今年は、7月半ばになっても、その姿が見られず、「高齢者は、暑さを感じ難くなる」という、テレビ番組で聞いた話が念頭に浮かんで、心配していたのです。
ちなみに、2年前の事ですが、旧居間で昼寝する父の為に、私が探して来て、冷風扇を置いたのですが、これは、全く期待外れの製品で、扇風機よりも、涼しくなりませんでした。 同じ年に、クール・スカーフも用意しましたが、父が着けていたのは、ほんの僅かの期間で、何が気に入らないのか、すぐにやめてしまいました。 アイスノンを枕にして眠れば、だいぶ違うんですが、タオルで包んでも尚、かなり、ゴツゴツするので、誰にでも薦められる方法ではないです。
つまりその、私は、今までにも、エアコン嫌いの父が、無事に夏を乗り切れるように、いろいろと、心を砕いて来たわけです。 その事は、分かっていただきたい。 「エアコンを付けろ」も、もう、十年以上前から、毎年のように言って来たのですよ。 全然、聞き入れてもらえなかっただけで・・・。 以下、日記から、エアコンに関する部分だけ移植して、加筆修正したもの。
≪2015年7月16日(木)≫
夕飯は、やきそばでしたが、父は、半分くらい残しました。 だいぶ、弱っているようです。 エアコンを買ってやりたいのですが、筋金入りのエアコン嫌いだから、使わないかも知れませんなあ。
≪2015年7月17日(金)≫
ネットで、窓用エアコンを調べました。 大体、3万円くらい。 自分で設置できる点はいいのですが、独特の騒音があるらしいです。 これがもし、私の部屋に付けるのであれば、暑ささえ凌げるのなら、多少の騒音は我慢するところですが、父の部屋となると、そうも行きません。 「うるさい」という理由で、スイッチを切られてしまっては、元も子もありませんから。
≪2015年7月18日(土)≫
朝起きるとすぐに、ベランダに出ました。 メジャーを持って行って、父の部屋の、東側の窓の縦幅を計ったら、70センチしかありませんでした。 窓用エアコンの、最小縦幅は、77センチくらいですから、これでは、付けられない事になります。
となると、普通のエアコンという事になります。 父の部屋の外に、室外機を置く場所があるか調べました。 隣の母の部屋は、エアコンが設置済みで、その室外機が父の部屋との境にある関係で、ベランダの上には、他に場所がありません。 父の部屋の東側に、改築して付けた、広さ四畳ほどの物干し台があるのですが、それ自体、一階の屋根の上に乗せてあるだけの不安定な物なので、その上に室外機を置くのは、危ない感じがします。
室外機を、金属製の棚を使って、二階建てにしている家を、たまに見るので、母の部屋の室外機の上に、載せてしまうという手が使えるかもしれません。 棚の代金は、別にかかると思いますが、他に置ける場所がないから、致し方ありませんな。 一応、その線を当てにしておきます。
週末の事とて、ごっそり入って来た、新聞の折り込み広告を見ます。 とある家電量販店で、冷房専用機が、工事費・税込みで、42984円で出ていました。 それより、安い品はないようです。 早速、その機種を、ネットで調べてみたところ、冷房専用機は、夏しか使わないせいで、壊れ易いとの事。 レビューの意見ですから、鵜呑みにはできませんが、エアコンは壊れると、処分が厄介なので、慎重にならざるを得ません。
夕方、父に、エアコンの事を話しに行きました。 お金は、私が出すと言ったのですが、電気代がどうの、関節が痛くなるからこうのと、頑強な抵抗に遭い、最終的には、付けないという事になりました。 うーむ、手強い。 それでも、無理やり、付けてしまった方がいいかも知れません。 父は、「今まで、それでやって来たんだから」と言っていましたが、だーから、昨今の夏は、昔とは暑さが違うんだって。
≪2015年8月3日(月)≫
朝、8時頃ですが、母が私の部屋に来て、父が朝から、旧居間で寝ていると言うので、慌てて、下りて行ったら、父が、畳の上に横になり、冷風扇に吹かれて、ぐったりしていました。 ここ数日、昼も夜も、殺人的な暑さでしたから、もう、熱中症以外に考えられません。 意識は、はっきりしていて、会話は可能。 頭がクラクラするような事はないが、体がだるいと言います。 とにかく、冷やさなければなりません
幸い、旧居間は、床の間と続きで、人寄せ用の部屋として作られたので、家を建てた時に、エアコンを付けてありました。 このエアコン、年に一度、お盆に、お寺の住職がお経を上げに来る時だけ使われて来たのですが、なぜか、37・8年も、故障知らず。 今日も、スイッチを入れたら、ちゃんと、動きました。 父が、「寒い」というので、温度を調節し、最終的に、29℃くらいで、安定しました。 29℃というと、ほとんど、涼しさを感じませんが、部屋の外は、33℃以上あるわけで、体への負担は、かなり違います。
旧居間にある、年代物のエアコン、「National 1000DX」。 家具調の木目柄になっています。 本体に主電源スイッチがあり、それを入れてから、リモコンの方の電源を入れるのですが、リモコンと言っても、太いコードで本体と繋がっています。 そういえば、これは、冷房専用機ですな。
ちなみに、二階にある父の部屋は、昼間は、35℃を超え、夜でも、30℃以下にはなりません。 私の部屋は、西側なので、若干、気温が低いですが、まあ、大差ありません。 母の部屋だけは、エアコンが付けてあり、母は、昼は居間でエアコンを使い、夜は自室でエアコンを使い、少なくとも、寛いでいる時には、暑い思いをしていない事になります。
とりあえず、父を涼しい部屋で寝かせておいて、万一の場合を考えて、兄の家に電話をしました。 兄嫁が出て、兄は仕事中で、午後2時か3時に帰って来るとの事。 兄と直截話す必要もないので、父の調子が悪いから、なるべく早く、会いに来てくれるようにと、伝言を頼みました。 ちなみに、兄は現在、ルート配送の仕事をしていて、休みの日とか、勤務時間とかは、こちらには、全く分かりません。
私は、何度も、父の部屋にエアコンを付けるように主張して来たのですが、「エアコンは、体に悪い」と信じ込んでいる父を説得できず、毎回、失敗して来ました。 しかし、今日のような事態になっては、もう、父の許可など待っていられないので、私が自腹を切って、エアコンを付けてしまう事にしました。
言うまでもなく、エアコンが、どんなに体に悪かろうが、それを使わずに、暑さで死ぬよりは、一億倍、体にいいです。 馬鹿馬鹿しい。 「石田光成の柿」ではありませんか。 いやね、石田光成には、関が原の戦いで負けた後、捕らえられて、刑場に引かれて行く道すがら、「喉が渇いただろう」と、柿を勧められたのに、「柿は体に悪い」と言って、断った逸話があるのです。 これから死ぬというのに、健康を心配していて、どうする?
近所の電気屋さんに電話したところ、夕方には部屋を見に来ました。 水曜日には、工事ができるとの事。 私もそうしたかったし、向こうにも薦められたので、一番安いタイプにしました。 高いタイプというのは、自動掃除機能が付いている奴で、うちにも、居間にあるのが、それなのですが、掃除時間が異様に長く、どう考えても、年に一度、手動でフィルターを洗った方が、得だと思わせてくれます。 そんなの、いらんいらん。 ちなみに、そのメーカーには、冷房専用機はなくて、迷う必要もなく、冷暖房機になりました。
しかし、一番安いタイプであっても、総費用は、10万円だとの事。 室外機を、母の部屋のと二階建てにする関係で、その棚の代金も加算されているのですが、それにしても高い。 冷暖房機であっても、家電量販店なら、工事費込みで、6万円くらいなんですがねえ。 だけど、家電量販店に頼むと、どんな人が工事に来るか分からないから、不安なのです。 その点、近所の電気屋さんなら、私が生まれる前から、私の家を知っているわけで、中に入られても、抵抗感がありません。
なーに、それで、父の寿命が何年か延びると思えば、10万円くらい安いものです。 今日の一件で、父も、エアコンは使い方次第で、大変な利器になる事が分かったのではないでしょうか。 命を救ってくれるのですから、電気代には代えられません。 水曜に、エアコン工事が終わるまで、父には、旧居間で寝起きしてもらう事になりました。 その間、旧居間のエアコンは、設定温度29℃で、点けっ放しになります。
ところで、結局、今日、兄は来ませんでした。 母が、何を勘違いしたのか、兄夫婦が客として訪ねて来ると思い込んで、遅くまで、居間で粘っていました。 「来るとしても、兄貴だけで、嫁さんは来ない」と言ったら、拍子抜けしたような顔をしていました。 危篤ならいざ知らず、ただ体調が悪いくらいで、嫁さんが来ても、仕方ありますまい。 兄は、息子だから、話は別ですが。 それにしても、母は、変な人です。 父の命より、兄夫婦をもてなす事の方が、重大事だと思っているのは、呆れた話。 父が死んだら、どれだけ面倒な事になるか、想像した事もないのでしょう。
≪2015年8月4日(火)≫
父の様子ですが、昨日よりは、幾分、元気になりました。 朝方、兄本人から電話があり、私が事情を説明したところ、それほど、切迫した容態ではないという事で、家に来るのは、お盆という事になりました。 兄は、今日、休みだとの事。 そんなに遠くに住んでいるわけではないのですから、顔を見に来るくらいできると思うのですがね。 しかし、私としては、一応、連絡の責任は果たしたから、否やはありません。
≪2015年8月5日(水)≫
朝、早く起きて、父の部屋で、ベッドを移動し、エアコン工事のスペースを確保しました。 父も立ち会って、少し、手伝ってくれましたが、やはり、力強さはありません。 長い事、掃除していなかったようで、ベッドの下は埃だらけ。 掃除機で吸い取りながら、ベッド下の大きな引き出しを外し、ベッドの位置をずらしました。 六畳間だから、ずらしても、出来る空間は知れているのですが・・・。
8時から、電気屋さんが来て、工事開始。 私が子供の頃、すでに大人だった年配の人ですが、今でも現役で、ピンピンしている感じ。 働いている人は、生気が違うようです。 奥さんも来て、二人で協力して、働いていました。 頻繁に、作業手順について会話して、大変、息が合っています。 こういう夫婦を見ると、結婚している人が羨ましいと感じます。
8時には、すでに、猛暑で、ベランダなんか、灼熱地獄の様相。 父の部屋にあった扇風機を全開にしておきましたが、焼け石に水だったでしょうなあ。 家人が見ていると、作業がやり難いですし、私自身、暑くて仕方がないので、母がエアコンを点けている居間で、待っていました。 父は、旧居間で、年代物のエアコンを点けて、寝ていました。
途中、母が、冷蔵庫で冷やしてあったアクエリアスのペット・ボトルを渡しに行きましたが、あの暑さですから、500ccくらいでは、とても足りないのではないかと思いました。 「電気屋のおじさんが暑さで倒れてしまったら、とりあえず、どの部屋に寝かせよう?」などと、余計な心配をしていましたが、何と言っても、相手はプロでして、そんな事にはなりませんでした。
11時半頃には、工事終了。 リモコンの使い方を教わり、10万円支払って、エアコン設置計画は、無事、完了しました。 電気屋さんが言うには、28℃か、29℃といった、高い温度で、点けっ放しにしておいた方が、健康上も、冷房効率上も良いとの事。 タイマーが付いているものの、夜中に消えたりすると、そこから、気温が上がって、朝までに、熱中症になってしまうのだそうです。
ここ最近の夏場は、夜も昼も、気温が下がる時がないのであって、一日中、エアコンを点けているしかないのかも知れません。 消してもいいのは、せいぜい、朝4時から、7時くらいの間でしょうか。 人間の為というより、エアコンを休ませる為ですが。
とりあえず、これで、父が、暑さで死ぬ危険性は低くなったのですが、それでも尚、ここ半年ばかりの急激な老け込み方を見ると、まだまだ、安心できないと思うのです。 つい、こないだ、シュンで経験したように、生き物は、無限に生きられるわけではないですから。
≪上≫ 父の部屋に取り付けられた新品のエアコン、「Panasonic CS-225CF」。
≪下左≫ 二階建ての室外機。 上が、新しい方。
≪下右≫ リモコン。 エアコンは、室温管理や運転の都合で、マイコン制御されている部分が多く、説明書に従って操作しても、その通りの動作をしてくれない事があります。 高齢者がエアコンを嫌うのには、そういう事情もあるのではないかと思います。
≪2015年8月6日(木)≫
今日は、これと言って、事もなし。 父は、エアコンを最高温度の30℃にして使っていたのですが、まだ、寒いというので、除湿にして、風量を、一番小さくしてみました。 それでも寒いのなら、切ったり点けたりしてもらうしかありません。
≪2015年8月8日(土)≫
父は、エアコンを使っている様子。 点けたり消したりでもいいから、暑いと感じた時だけでも使ってくれれば、全然、違うと思うのです。 そのつど、私が行って、点けろと指図していられませんから。 ちなみに、父がエアコンを使っているかどうかは、ベランダで、水が出ているかどうかを見れば分かります。
一方、私は、扇風機、クール・スカーフ、アイスノンが頼りです。 夜も昼もなく、一日中、暑いというのが、困りもの。 昼間は、「夜になれば、涼しくなる」と期待し、夜は、「朝になれば、涼しくなる」と期待しているのですが、朝になっても、少し気温が下がる程度で、涼しくはなりません。
家にいる時は、暑さを凌ぐアイテムがあるわけですが、外までは持って行けないので、天気がいいのに、出かけられないのが、悔しいです。 せっかく、毎日が日曜日だというのに。
≪2015年8月18日(火)≫
父が暑さで体調を崩し、私が、兄の家へ電話したのは、8月3日でしたが、それから、二週間と一日経って、ようやく、今日、兄夫婦がやって来ました。 父の姿を見て、「割と元気で、良かった」と言っていましたが、兄が家に来たのは、一年ぶりくらいで、一年前の父と、今の父では、様変わりしているのに、そんな感想が出るとは、意外でした。 私が初めて電話などしたので、「死ぬ寸前」くらいに思い込んでいて、それにしては、自力で歩いているから、「割と元気」だと思ったのかも知れません。
しかし、「死ぬ寸前」だと思っていたら、半月も遅れて来ないような気がせんでもなし。 私が電話した日の翌日は、兄は休日だったわけで、来ようと思えば、その日に、2時間くらい割けば、家まで往復できたはずなんですがね。 今日の、兄の話を聞いていた限りでは、どうも、当事者意識に欠けているようで、他人事のような喋り方でした。 実の息子であっても、離れて暮らしていると、肉親の情は薄くなるのかも知れませんな。 いや、そもそも、父と兄が親しく話をしている姿なんて、過去に一度も見た事がありませんが。
以上が、父の部屋にエアコンを取り付けた顛末です。 父は、エアコンを使うようになってから、目に見えて、元気を回復しました。 言葉がはっきりして来ましたし、昼食や夕食に、居眠りして遅れる事も減りました。 暑さというのは、限度を超えると、本当に、健康に悪いんですなあ。 今、うちの中で、最も、暑さに参っているのは、この私です。
とはいえ、父が、一年前あたりと比べて、衰えた事は、否定のしようがありません。 エアコンで、今年の夏は乗り切れたとしても、来年の夏までもつかどうか、怪しいところです。 8月11日には、お寺の施餓鬼に行き、私もついて行ったのですが、父を見た親戚のおばさん達が、父に対して、介護ヘルパーのような気の使い方をしていたのが、印象深かったです。
他にも、父の話では、近所の人に、「どなたでしたっけ?」と訊かれる事が続いているのだとか。 昔からの知り合いなのに、父が痩せ細ってしまったせいで、顔が分からなくなっているんですな。 父が変わっていないと思っているのは、母と兄だけ、という事になります。 二人とも、現実から、目を背けようとしているのだと思うのですが・・・。 私としては、いつ何が起こってもいいように、覚悟をしておくしかありません。
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