2015/09/20

車購入シミュレーション 【野望篇】

  犬が死んだ直後、「秋になって、涼しくなったら、新しい犬を飼う」と、両親に宣言していた私ですが、9月に入って、犬の物色を始め、犬種や性別、買う店について、ある程度、目星をつけてから、いざ、両親に話したところ、父は、弱い反対で、ほぼ、他人事的反応だったものの、母の方が、想定外の頑強な反対を示し、一気に頓挫してしまいました。

  「もう、(自分の)歳が歳だから、世話がしきれない」と言うので、私が面倒を見ると言ったのですが、まるで、話が通じず、「犬を飼うのなら、家を出て行く」などと、狂気じみた脅しまで口にする始末。 長年のつきあいで、説得が利くような相手ではないと分かっていますから、諦めざるを得なくなりました。 家族の接着剤として、犬を飼おうと思っているのに、その前に、崩壊させてしまったのでは、目的と真逆になってしまうからです。

  で、新しい犬計画は、苦々しくも、沙汰止みになったわけですが、その代わりに、車の購入計画が、浮上して来ました。 以下は、日記から、それに関する文章を、移植したものです。



≪2015/09/06 (日)≫
  犬計画が沙汰止みになった結果、カーポート下に置いてあった犬小屋を保存する必要がなくなり、「車を置けるのではないか?」と思ってしまったのがきっかけで、今日は、車を買う場合のシミュレーションをしていました。 実際には、バイクの任意保険を払ってしまった後ですから、バイクと車を重複して持つ気はなく、最低限、来年の9月までは、車を買う予定はありません。 あくまで、シミュレーションです。

  うちの場合、駐車場の幅が狭くて、軽でも、現行車では、窮屈です。 無理やり、入れられない事はないですが、ドアを開けるのが厳しいですし、自転車も、奥から出せなくなってしまいます。 ちなみに、現在の軽自動車の車幅は、1475ミリくらいです。 それより、幅が狭い現行車は、一人乗りの電気自動車だけになります。

  旧規格の軽は、もっと狭くて、1400ミリでした。 調べたら、1998年に規格の変更があった事が分かりました。 それ以前の軽なら、何とか入るかもしれません。 ディーラーのセールスマンなら、「75ミリくらい、大して変わりませんよ」と抜かすと思いますが、幅がギリギリの場所に入れる場合、75ミリは、大違いです。 運転手にとっても、車の横を通って生活する者にとっても。 セールスマンの口車に乗せられて、大き過ぎる車を買ってしまい、何年も不便を強いられている人が、どれだけいる事か。

  で、旧規格の軽ですが、アルトやミラでは、何代目と言っても、もはや、誰も分からないでしょう。 1998年は、もう、17年も前ですから。 ワゴンRやムーブは、初代が旧規格で、2代目以降が、現行規格になります。 オプティやセルボ・モードは、旧規格。 レトロ・デザイン車だと、スバルの、vivioビストロや、セルボ・モード・クラシック、オプティ・クラシックが、旧規格。 ミラ・ジーノは、初代から、現行規格です。 エンジン排気量と、車体サイズは、変更になった時期がずれていて、サイズが旧規格でも、660ccの車はあります。

  ミゼットⅡは、後期型でも、幅1335ミリで、一瞬、嬉しくなってしまう数字です。 しかし、助手席は、いかにも、臨時用という感じで、大人が二人乗ると思うと、かなり窮屈そうです。 カーゴなら、荷室もありますが、車室とは仕切られていて、後ろに手を伸ばして、荷物を取るというわけには行きません。 軽トラと同じで、シートのリクライニング機構もないですし、乗車時間が、30分を超えると、不快を感じ始めると思われます。 あくまで、街乗り用なんですな。

  デザイン的には、いいと思うんですが、私が車を買う目的は、専ら、両親の脚にする為ですから、私の趣味を優先して、変り種車を買うのは、大いに憚られるところです。 狭い所に年寄りを押し込んで、無理無理な態で走っていたのでは、近所の親戚から、後ろ指を指されてしまいます。 それに、ミゼットⅡは、未だに人気があるようで、カーゴだと、30万円以上が普通で、ちと、高い。 ちなみに、私の想定予算は、諸経費込みで、20万円以下です。

  調べていて、驚いたのは、アルトでさえ、1998年以前の車は、中古市場に、僅かしか残っていないという事です。 全国ネットでも見つからないとなると、旧車として保存している人なんか、ほとんど、いないのかも知れませんな。 むしろ、ワゴンRの初代の方が、人気車種だっただけに、残存数が多い。 だけど、エアロ・パーツとか、ロー・ダウンとか、社外アルミ・ホイールなど、変な改造が施されていたりして、油断なりません。 頼むから、売る時には、元に戻してくれ。 それに、私は、ワゴンRは、2代目の方が好きなんですがねえ。 なかなか、うまく行かないものですな。

  現行の軽だけでも、あれだけ、車種があるのに、幅の狭い車が一台もないというのは、呆れた話です。 幅のせいで、自宅の敷地内に置けず、車を諦めている家は、かなりあると思うのですが、そういうニーズを開拓しようとは、全く思わないらしいですな。 数年前、高齢者向けの、エコ・カーが、モーター・ショーで、幾つも発表されましたが、あれらも、その後、どうなってしまったんだか。 一台も実売されなかったところを見ると、真剣に作る気なんか、なかったんじゃないですかね? 高齢者の運転自体が危険視され始めたから、やめたんでしょうか?


  繰り返しますが、これは、シミュレーションでして、すぐにすぐ、車を買う気はないです。 たぶん、来年になっても、何か、特別な事情が発生しない限り、買わないと思います。 バイクの自賠責が切れたら、真剣に考える事になりますが、それは、2018年の話。



≪2015/09/08 (火)≫
  車物色シミョレーションが、まだ続いています。 全く買う気がないのなら、そんな無駄な遊びはしないのですが、来年以降なら、多少は、可能性があるから、シミュレーションと分かっていても、幾分、本気になって、探してしまうのです。 とはいえ、ターゲットは、全て、中古車ですから、いつまでも、その車が店にあるわけではなく、売れてしまったり、別の中古車が入荷したりと、状況は、少しずつ変わって行きます。 現時点で、候補車を選んでも、意味がないのも事実。

  ふと、思いついて、想定年式より、ずっと古いですが、以前、私が持っていた、初代ミラと、母の最初の車、初代トゥデイ(丸灯)があるか、調べてみたところ、初代ミラは、一台もなく、初代トゥデイは、一台だけ見つかりました。 うーむ、こんなにも、減ってしまうものなのか・・・。 私が乗っていた頃は、どちらの車も、「デザインがいいから、時代を経ても、保存されるだろう」と思っていたのですが、完全に、予想が外れました。

  ちなみに、買ったのは、二台とも、1986年(昭和61年)の9月で、奇しくも、同じ日に納車されました。 私のミラは、3年か4年落ちの中古車。 母のトゥデイは、新車でした。 ミラは、1991年か、92年に、廃車。 トゥデイは、なんと、2004年まで、18年ももった後で、廃車になりました。

  もしかしたら、普通の中古車市場とは別に、旧車市場のようなものがあって、好事家達の間だけで、昔の車が取り引きされているのかも知れませんが、それならそれで、ネットに、全く引っかかって来ないというのは、奇妙です。 稀に、持っている人はいても、売っている人はいないのです。 このままで行けば、残存数ゼロになるのは、時間の問題かもしれません。

  ≪所さんの SNAKE MOTORS≫というDVDがあり、「スカイライン S54B」の回で、スタッフから、「今の車も、いずれは、旧車として、残っていくんでしょうか」と訊かれた所さんが、「残らないでしょ。(中略) 形が良くなかったら、残らないでしょ」と答えていて、私は、それを聞いた時に、所さんの主観が入っているのではないかと思ったのですが、もしかしたら、そうではなく、本当に残っていないのかも。 そう言われてみれば、私が若い頃、つまり、80年代ですが、名車扱いされていた車を、今、目にする事は、ほとんどありません。 ソアラ、レパード、910のブルーバード、FF初代ファミリア、ワンダー・シビック、初代シティ、などなど・・・。


  理由を想像するに、古い車になると、交通の流れについていけない事が、結構、大きいのではないかと思います。 550ccの軽は、エンジンが、本当に非力でして、エアコンも、パワステも、パワー・ウインドウも、エア・バックも、現在では、標準になっているような装備がほとんどなく、軽さだけを頼みにして、何とか走らせているようなところがありました。 当時は、もっと古い車も混在していたので、速い車も、速く走れず、流れが遅かったから、軽でも、どうにか、ついていけたのです。 今の車は、重量は、むしろ、増えていますが、力がなければ、ターボをつけてでも、強引に走らせますから、そんなに遅い車はありません。

  うちの近所に、フィアットの初代パンダを持っている人がいるのですが、趣味は分かるものの、走らせると、遅過ぎて、後ろに列が出来てしまいます。 ああいうのも、困ったもんだ。 もともと、非力な上に、古くなって、ガタが来ているものだから、無理が利かないんですな。 当人は、旧車趣味でカッコつけているつもりなわけですが、他人からは、その人の自己満足にしか見えません。


  その、唯一、中古車市場に出ていた、初代トゥデイ(87年式)を手に入れれば、懐かしさを感じられるだろうとは思うのですが、果たして、あの、ボコボコ音がするエンジンの車で、今の流れについていけるかとなると、大いに疑問です。 信号から発進するたびに、アクセルをベタ踏みしなければなりません。 それでも、瞬く間に、後ろから煽られてしまうと思います。 出かけるたび、冷や汗を掻くような思いはしたくないじゃありませんか。

  やっぱり、車というのは、第一に、実用的な道具であって、玩具ではないんですな。 「古い車を、趣味で持つ」という考え方も、当人が思っている以上に、現実から、乖離してしまっているのかも知れません。 所さんのように、エンジンを載せ換えてまで、今の車と同等以上の動力性能を確保しようというオーナーはいないでしょう。 車道楽自体が、お金にゆとりがある人の特権なんでしょうねえ。


  そういや、すっかり、忘れていましたが、古い車は、交換部品の問題も大きいですな。 メーカーでは、10年間しか、部品を保存していないので、その車種の生産が終わった後、10年経過すると、新品の部品は手に入らなくなります。 30年くらい前なら、廃車になった車から、中古部品を取って来るという手が使えたのですが、その後、日本の中古車は、国内で売れなくなると、海外へ売られて行くようになりまして、廃車置場の数も激減し、中古部品が手に入れ難くなりました。

  私が探していた、1998年以前の車は、生産終了から、10年どころか、17年も経っているのであって、本体は買えても、部品の入手は困難でしょう。 いやあ、そこまで考えていなかったな。 つまり、故障したら、その時点で、アウト。 使用不能に陥る危険性が高いわけです。 ちなみに、車が故障する場合、大抵は、部品が壊れるのが原因でして、交換が必要になります。

  その割には、10年を超えても、流通している中古車が多く見られるのは、壊れる部位で多いのが、エンジンやトランスミッションだからでしょう。 それらの場合、その車種が生産終了しても、他の車種で、同じ物が使われている事が多いですから、まだ、新品の部品が手に入るわけです。 エンジンの生産期間は、20年を超えるものも、珍しくありません。

  お金にゆとりがある人なら、部品を一から作ってもらうという手がありますが、一般人が真似をしたら、いくらかかるか、分かったもんじゃありません。 やはり、古い車を持つというのは、金持ちの特権なんですねえ。



≪2015/09/09 (水)≫
  引き続き、車購入シミュレーションをしています。 なんつーかそのー、雨で家に閉じ込められているから、他にやる事がないんですよ。 1998年以前の軽を探していたら、2代目のホンダ・ライフが、該当する事が分かりました。 ライフの初代は、1971年の発売で、ずっと古い車。 20年以上経ってから、名前が復活し、1997年4月に、2代目が発売されます。 「いい形になってまいりました」という、テレビCMを、まだ覚えています。

  当時、私は、「ほんとに、いい形だな」と思っていたのですが、翌1998年の10月には、車体サイズの規格変更で、3代目になり、いい形ではなくなってしまいました。 つまり、2代目は、一年半しか売られていなかったわけですな。 凄い短命。 だけど、今見ても、いい形だと思います。 ここへ来て、ようやく、当時、好きだった形の車種に行き当たりました。 アルトやミラのような基本タイプよりも、トール・ワゴン系の方が、家族を乗せる場合、都合がいいのは、言うまでもありません。

  ちょっと、気になるのは、実は、我が家では、2004年から、2009年にかけて、母の2台目の車として、ライフの4代目を所有していまして、4代目を売った数年後に、2代目を買うのは、順番的に、変なんじゃないかという気がせんでもなし。 もっとも、うちで、どんな車に乗っていたかなんぞ、他人は、誰も気にしていないと思いますけど。

  問題は、生産期間が短いせいで、数が出回っておらず、中古車も少ない事でしょうか。 調べてみたら、静岡県内には一台もなくて、一番近いのが、岐阜羽島の中古車店。 陸送してもらうと、3万・4万飛ぶらしく、それなら、自分で取りに行った方が安いですが、当然の事ながら、遠いですから、その中古車店とは、その後、つきあいがなくなるわけで、車検・点検は自分でやる事になり、壊れた時には、修理工場も自分で探さなければなりません。 なんだか、面倒臭いなあ。

  ちなみに、沼津から、岐阜まで、東海道本線の普通列車で、4時間15分、4750円。 岐阜から、岐阜羽島まで、名鉄で44分、430円。 帰りは、車なので、ガソリン代だけですが、やはり、5000円くらいはかかるでしょうねえ。 それでも、陸送してもらうよりは、ずっと安い。 死ぬほど、疲れそうですけどねえ。 強行軍好きの私としては、こういう事を調べると、つい、実行してみたくなりますが、これは、シミュレーションなので、実際には、やりません。


  近所にある中古車店で、車種・年式を指定して、探してもらう事もできますが、その場合、金額に関しては、向こうの言い値になってしまう危険性があります。 「予算は、総額20万円」と、前以て伝えておいたとしても、「30万円のなら見つかったが、どうする?」と言われたら、頼んだ手前、買わなければいけない事になってしまいそうです。 査定額は、店により人により、違いますから、いくらに化けるか分かったもんじゃありません。

  だから、車は嫌なんですよ。 気が進まなくても、ディーラーと付き合わなければ、維持できないんだもの。 車検も、自分でやれば安いですが、整備士でない弱みで、本当に危険な状態になっていたとしても、それを見つける自信がありません。 一応、自動車工場に勤めていた人間ですが、総合的な知識はないので、機械部分ならともかく、電気や液物の方は、まるで、分かりません。

  20年近く、廃車にならずに生き延びて来た車ですから、個体としては、故障し難い方だと思うのですが、そういう考え方は、あまり、当てにならない、気休めですなあ。 さりとて、故障の恐れを最少限にするとなると、新車を正規ディーラーで買うのが一番という事になってしまい、車幅的にも、予算的にも、全く問題外の別世界に、すっ飛んでいってしまいます。 話にならん。


  そもそも論ですが、買ったとして、「費用対効果が見合うほど、乗るのか?」という疑いが、どうしても、払拭できない。 たとえば、今年の我が家ですが、「車があればなあ」と思った場面が、年初から、8月までの間に、4回しかありませんでした。 毎年、そんなものです。 母が自転車で行っている、スーパーでの買い物を、一部、引き受けるとしても、週に一回、出番があるかどうか、怪しい。 というか、買い物を車でやってしまうと、母が自転車に乗る機会が減り、体力が衰えるわけで、却って、良くない結果になります。

  うちに最後まで残っていたのは、父の車ですが、それを廃車にしたのが、2012年の12月ですから、車がない生活は、もう、3年近くになり、その間、別に大問題になる事もなく過ごして来たわけで、うちでは、車が必需品でない事が証明されています。 それでも、買う意義があるとしたら、「今後、両親が更に衰えて、自転車で出かける事ができなくなった時に備えて・・・」という、転ばぬ先の杖的な動機になるわけですが、それは、実際に、そうなってからでも遅くないような気もします。


  単に、「計画を立てたから、実行してみたくなっているだけ」の恐れもあります。 私は、そういう、性格なんですな。 引退して、閑人になってから、ますます、その傾向が強まり、常に何かしら、計画し、実行しようとしています。 これでは、趣味に嵌まって、収入もないのに、散財を続けている、しょーもない引退者と同じですな。

  もっと、怪しからんのは、「車を買えば、青春の希望が甦って来る」などと、とんでもない勘違いをしている疑いがある事です。 私が、過去に唯一、車を買ったのは、21歳の時でして、その頃の自分と、重ね合わせているんですわ。 30年も前の話ですよ。 状況が、全然、違います。 それに、青春云々というのなら、私は、現にバイクに乗っているわけで、そちらの方が、よっぽど、青春っぽいではありませんか。 バイクをやめて、車を買うなど、むしろ、オッサン方向に進む事になるではありませんか。

  いやはや、こんな、益のない検討は、たとえ、シミュレーションであっても、しない方が、身の為かもしれませんなあ。



  長くなってしまったので、今回は、ここまでにします。 次回、≪車購入シミュレーション 【失望編】≫に続く。 このサブ・タイトルだけで、読む気をなくすような気がせんでもないですが・・・。