2015/09/27

車購入シミュレーション 【失望篇】

  前回の終わりで、すでに、諦めムードが漂っていたにも拘らず、他にやる事がないせいで、ズルズルと未練がましく、シミュレーションを続ける事になります。 引き続き、日記から移植し、加筆・修正した文章から始めます。



≪2015/09/10 (木)≫
  カーポートの下からは、外れてしまうのですが、自宅の駐車スペースの一番奥の寸法を測ってみました。 最も多い時には、縦に四台入れていたので、駐車スペースの奥行きは十二分にあるのです。 一番奥の幅は、1500ミリくらい。 車幅が1475ミリある、現行規格の軽を入れるとしたら、幅がギリギリである上に、途中にある松の木の所で、ハンドルを捩らなければならない事が分かり、大いに、買う気を殺がれました。 車を入れる度に、一番奥まで、神経使いながらバックするのは、面倒この下ない。

  ただし、ギリギリなのは、車軸の幅でして、運転席のドアは、全開にできます。 現行規格車が候補に入れられるのなら、選択の幅が、どっと広くなりますが、新しければ、その分、値段も高いわけで、痛し痒し。 それに、カーポートがあるのに、カーポートから外れた所に車を停めているのは、そこはかとなく、馬鹿みたいです。

  ちなみに、うちのカーポートは、両親が考えなしに付けたせいで、柱が邪魔になって、車が入れ難くなってしまい、カーポートを付けると同時に、月極駐車場を借りて、車はそちらに停めるようになったという、大馬鹿な曰くがあります。 私に相談してくれれば、ちゃんと、幅を測って、駄目出しをしたのに、自分達の判断が常に正しいと信じ込んでいて、子供の言う事なんぞ、全く聞く気がないのだから、始末に負えぬ。

  私が車を買うと言えば、父は、たぶん、何も言わないし、母も利用価値ありと見て、反対しないと思います。 しかし、お金を3分の1ずつ出せといったら、「そうまでして、欲しいとは思わない」と言うかも知れません。 全額、私一人で負担する事を覚悟しておくべきか・・・。 車検さえ、自分でやれば、年間、10万円以下で抑えられるのですが。


  バイクの任意保険を契約している保険会社のサイトに行って、調べてみたら、バイク保険から自動車保険に、ノンフリート等級を引き継ぐ事はできないと分かりました。 同じ人間でも、バイクと車では、運転の仕方が違うからでしょうか。 旧規格の軽を買うとして、私の該当条件で、見積もってみると、自動車保険料は、39000円。 人身傷害を外すと、26500円。 走行距離によって割引がある他の会社でも見積もってみたのですが、そこでは、人身傷害を外す事ができず、補償額を最低金額にすると、32000円でした。

  自分一人しか乗らないのなら、バイク保険でそうしているように、人身傷害はつけないのですが、私が車を買う目的は、両親を運ぶ事でして、同乗者がいる以上、全く付けないというわけにはいきません。 すると、やはり、32000円くらいは、かかる事になりそうです。 バイク保険の3.5倍か・・・。 しかし、ノンフリート等級が進めば、もっと、安くなると思います。

  ところで、車にせよ、バイクにせよ、運転者が、本気で、安全第一を心がけて、運転するようにしていれば、事故の危険性は、非常に低くできます。 「本気で」というところが、肝要でして、大抵の人は、漠然と、そう思っていても、さほど本気で、安全運転を実行してはいません。

  たとえば、交差点での左右確認とか、黄信号で必ず停まるとか、車間距離の確保とか、ウインカーを早目に出すとか、左折の時に二輪車がいないか確認するとか、テキトーにやっている人の、いかに多い事か。 テキトーにやっても、運転はできるわけですが、テキトー度が上がれば上がるほど、事故の危険性も高くなります。

  飲酒運転や、酒気帯び運転は、問題以前に問題外ですが、病気や薬の影響で頭がクラクラしたり、眩暈がしたりするのに、運転する人は、結構多くて、事故原因の、隠れた上位項目になっています。 外見上、他人からは分からないから、白ばっくれてしまうだけ。 時間的余裕がなくて、急いでいるなんてーのも、大変、危ないです。 道路上には、他の車や、自転車、歩行者などがいて、その人達は、あなたの事情など知らないのですから、道を譲ってくれるわけがないです。

  私の経験から言いますと、自分から進んで、安全運転を心がけていれば、少なくとも、自分から起こす事故は、ほとんど、避けられると思います。 それでも、貰い事故はあり得るわけですが、貰い事故では、保険は相手側のを使う事になるわけで、自分の保険の内容を心配する必要はありません。 相手が無保険の場合もありますが、貰い事故なら、こちらが賠償する義務はないので、自分の車と、自分の怪我だけ、なおせばいいわけだ。

  「高い保険に入っているから、テキトーな運転でいい」というのと、「安い保険にしか入っていないが、安全運転に徹している」というのと、どちらが、マシかという選択ですな。 もちろん、安いといっても、対人・対物は無制限にしておくわけですが。



≪2015/09/11 (金)≫
  母の2台目の車で、2004年から、2009年まで我が家にあった、4代目ライフですが、沼津市内の中古車店でも、まだ、普通に見られるようです。 諸経費込みで、20万円以下というのもありました。 しかし、現行規格車でいいというのなら、なんでも、選べる事になるわけで、なにも、ライフに拘る理由はありません。

  ちなみに、4代目ライフは、デザインは、斬新で良かったのですが、トゥデイより、かなり重いせいで、山道に行くと、ベタ踏みでも、ノタノタとしか登らないという、非力なところがあり、660㏄になった恩恵は、感じられませんでした。 ただ、平地なら、別段、問題はなかったです。 あと、リア・シートは、ペッタンコのカチカチで、とても、長時間、乗れるものではなく、うちで持っていた5年間に、そこに乗ったのは、犬だけでした。 後席の利用価値が低いという点では、軽貨物車と変わらなかったわけです。



≪2015/09/13 (日)≫
  軽自動車のユーザー車検について調べてみました。 ディーラー任せだと、10万円くらいですが、自分でやると、32000円くらいで済むとの事。 それには、自賠責保険も含まれています。 任意保険と軽自動車税まで入れて、維持費を比較してみると、ディーラー任せは、一年間で、9万円くらい、ユーザー車検なら、6万円くらい。 しかし、もし、家族三人で割るとしたら、ディーラー任せで、3万円、自分でやった場合、2万円で、大差がありません。

  そして、3万でも2万でも、うちのような、使用頻度で、車の所有が、割に合わない事に変わりはないです。 車を持つ代わりに、タクシーを利用したとして、一年間に、一人2万円分も乗らないのは、明らかだからです。 大概の事は、自転車か、バス・電車で間に合いますから。 大雑把な計算ですが、半月に一回以上の頻度で、病院に通っている者が、家族内にいない限り、車の所有は、得にならないんですな。

  ただし、これはあくまで、我が家の場合でして、一番近い食料品店まで、5キロ以上あるという家の場合、車を買った方が、得になると思います。 電動アシスト自転車でも、どうにかなるとは思いますが、家族3人として、自転車で買い出しとなると、ほぼ毎日、出かけなればなりませんから、時間的がかかり過ぎて、参ってしまう可能性が高いです。



≪2015/09/16 (水)≫
  バイクの売り時を調べてみました。 4月1日時点での所有者に課税されるので、3月末までに手続きを済まさないと、まずいらしいです。 もし、来年、処分するなら、来年の春・夏は乗れない事になりますな。 3600円、税金を払うのなら、乗れますが、任意保険が切れるまでの4ヵ月だけでしょう? それほど、バイクで行きたい場所もありません。

  自賠責保険について調べたら、未使用分は、お金が返って来るのだそうです。 知らなかった・・・。 それなら、バイクを、とっくに処分しても良かったのに。 もっとも、払った分が、そっくり戻るわけではなく、一ヵ月分で、220円。 私の場合、来年の3月に手続きすると、返って来る金額は、6000円程度という事になります。 もし、バイクを処分して、車を買うのなら、ほとんど、誤差の内みたいな金額ですな。



≪2015/09/17 (木)≫
    軽自動車税と重量税について調べてみました。 ちなみに、今年(2015年)の4月から、高くなっています。 乗用軽は、10800円ですから、洒落にも馬鹿にもなりません。 軽貨物車なら、5000円ですが、旧規格で、且つ、軽貨物では、ますます、選択肢が狭くなってしまいます。 今、軽貨物の中古なんて、あるんじゃろか? 古い車は、13年過ぎると、税金が高くなり、18年で、更に高くなるとの事。 エコ度の高い、新しい車への更新を進める為に、そういう税制にしているようです。

  たぶん、それが、理由になって、古い車を買い換えようと考える人もいるでしょうが、税金が少々高くなっても、新車を買うよりは、比較にならないくらい、安い事は、ちょっと考えれば、分かる事です。 年に、5000円高いとしても、10年で、5万円にしかならず、5万円で新車は買えません。


  ふと、興味が湧いて、現行の新車で、軽貨物車があるか調べてみたら、スズキがアルトで、ダイハツがミラで、用意していました。 どちらも、一番安い、5MT車で、70万円前後です。 アルト・バンは、4ドアのみで、色は白だけ。 ミラ・バンは、2ドアのみで、シルバーと白があります。 アルト・バンも、一色にするなら、シルバーにすればいいのに。 しかし、70万円では、私の予算としては、問題外ですな。 引退者の買い物ではありません。

  エアコンやキーレスは標準装備。 ミラ・バンで、フューエル・リッド・オープナーがオプションになっているのは、セルフのスタンドが増えて、運転席から開ける機会が減ったからかもしれません。 パワー・ウインドウは、アルト・バンにはなく、ミラ・バンでは、オプション。 私に言わせると、パワー・ウインドウが欲しいのは、助手席でして、運転席や後席は、手動ハンドルの方が、便利です。

  何でもかんでも、電化すればいいってもんじゃないんですよ。 水没時の脱出なんて、パワー・ウインドウに殺された人が、どれだけいる事か・・・。 前席側の、どちらか一方の窓でも、手動で開けられるようにしておけば、そこから、逃げられたのに。 ガラスを割る為に、ハンマーを用意するなど、本末転倒でして、手動ハンドルにしてしまえば、何の問題もないではありませんか。

  大体、パワー・ウインドウって、SFチックなだけで、動きが遅かったり、思い通りの位置で停められなかったり、ろくな装置じゃないですよねえ。 自分で使っていて、そう感じないかな? そこで、ニタニタ笑っているあなた、自分の車で、通気の為に、窓を上から2センチだけ開けて、停めて御覧なさい。 何回、やり直す事になるか分からないから。 手動ハンドルなら、一瞬でできますがね。 電化して、却って、不便にしてしまった、典型例ですな。


  ところで、軽貨物車(ボン・バン車)ですが、私が持っていた、初代ミラや、母の最初の車、初代トゥデイは、軽貨物車でした。 貨物車なので、荷室を広く取る為に、リア・シートが、前に寄せられて、足元が狭くなっています。 だけど、後席に全く乗れないというわけではなく、二人は無理でも、助手席を目一杯、前へ出せば、その後ろには、大人一人が何とか乗れました。 うちでは、そうやって、三人乗って、外食に出かけていたんだから、本当の事です。 大人の男性三人だと、厳しいですが、女性か子供が一人混じっていれば、そういう使い方ができたのです。

  80年代中頃に、軽が爆発的に売れるのですが、それは、それまで、免許も持っていなかった、大人の女性が、免許を取って、車に乗り始めたからです。 先行して、80年前後に、スクーター・ブームというのがありまして、脚を揃えて乗れるスクーターの登場で、原付免許を取る女性が急増したのですが、それで、免許試験慣れ、交通慣れした女性らが、「車だって、行けるはず」と考えて、世代を問わず、どっと免許を取りに行き、どっと、車を買ったわけですな。

  男は、その頃すでに、車を持っているのが、当然になっていましたから、女性の車は、その家では、セカンド・カーになるわけで、一番安くて、小さい車が望まれ、それに該当したのが、軽貨物車だったわけです。 本体の値段も安いし、税金も安い。 サイズは、最小で、条件にピッタリだったわけだ。

  ところが、その後、女性が車に乗るのは、当たり前になり、家の中での車の使用頻度も、食料品の買い出しに使う主婦の方が、通勤と、たまのドライブにしか車を使わない亭主より、多い事が証明されると、家庭内での、女性の車の地位が上がり、少し、高い車を望むようになります。 一度、軽に慣れてしまうと、大きい車には乗れませんから、軽は軽として、買い換える時には、軽貨物ではなく、乗用の軽にしたんですな。 税金は高くなりますが、その程度の差は、車本体の値段に比べたら、許容範囲の内だったわけです。

  その結果、軽貨物車の市場は、急速に萎み、21世紀になる頃には、ほとんど、見かけなくなってしまいました。 厳密に比較すれば、税金が安い分、後席に、大人を乗せる機会が、ほとんどないという人は、今でも、軽貨物車の方が、得だと思うのですが、本体価格の方に、大きな差がなくなってしまった上に、最低でも、70万円以上の買い物をしようという人は、10年で数万円程度の税金の違いも、気にならないんですな。

  ちなみに、ミラ・バンの最安は、5速マニュアルで、74万円台。 ミラ・イースの最安は、CVTのオートマで、76万円台。 この差では、軽貨物車を選ぶ理由が発生する余地がありません。 税金が、年に、5800円違っても、10年乗るとして、58000円に過ぎず、総額の差が、10万円にならないのです。 それなら、後席も普通に乗れる、乗用にしますよねえ。


  こういう、最安ボーダーの計算をしていると、必ず、出て来るのが、「安い車は、みっともない」という考え方ですが、いやいやいやいや、そんなのは、バブル時代の価値観ですよ。 車は、とっくの昔に、単なる道具になりさがっていまして、今じゃ、高い車に乗っていても、誰も、持ち主を羨ましがってくれません。 逆に、「金の使い方を知らない、アホ」と、小馬鹿にされるのがオチです。 私なんか、高級外車や、国産の高級ブランド車を見ると、腹を抱えて、笑ってしまうくらいです。 畢竟、人を運ぶ用途としては、軽貨物と違いがないのに、何倍も金を払うって、どういう合理性なのよ? そんな、余分な金があるなら、早目に引退して、遊んで暮らした方がいいのでは?


  話は変わりますが、中古車の場合、キーのプラスチック部分がくたびれて、傷だらけのテカテカで、気持ちが悪い状態になっている事が多いです。 作り直してもらった場合、いくらになるか、調べたら、キーレス・タイプの場合、最低でも、8千円くらいすると分かりました。 問題外だな。 旧規格車に使われていた普通のキーなら、ホーム・センターの合鍵コーナーで、数百円で作ってもらえますが、そんな物なら、車についている合鍵でも、状態は、そんなに変わらないと思います。

  コンパウンドでもかければ、綺麗になりますかね? コンパウンドは、塗装面用ですが、プラスチックでも、表面を均す効果はあります。 だけど、どうせ、自分で使っている内に、また、くたびれて来るのであって、いちいち、キーの外見まで気にしている方が、おかしいのかも。


  そういや、中古車は、煙草臭が染み着いているケースがあり、それは、写真では分からないから、要注意ですな。 今の車は、シート表面が、織り物ですから、一度、臭気が染み着くと、抜けないんですわ。 ちなみに、「ファブリック」というのは、織り物の事です。 更にちなみに、編み物が、「ニット」。 ニットのシート表皮なんて、ありゃしませんがね。 軽なら、男が所有者だった確率が低いから、煙草臭い車は少ないかもしれないという希望的観測が、唯一の頼みの綱。 写真を見て、族仕様の痕跡が残っているような車は、最初から避けておくべきですな。 100パーセント確実に、煙草臭いと思います。



  日記からの移植と、加筆・修正は、ここまでです。 以下の纏めは、書き下ろしになります。

  こんな風に、もう、半月以上も、ダラダラと検討しているわけですが、シミュレーションと言うには、実現可能性が高過ぎ、実際の検討と言うには、雲を掴むような不確かさを拭い去れない、しょーもない、中途半端さがあります。 そもそもの発端が、「犬の代わりに、車を買う」というものでしたから、最初の一歩から、えーから加減な計画だったわけですな。

  両親には、一言も言っておらず、両親の側から、「車を買え」と言われた事もありません。 ただ、母は、私がバイクを維持しているのが、余分だと思っているらしく、「ろくに乗りもしないバイクを持ち続けるくらいなら、車にすれば、使い道がある」と言った事はあります。 もし、私が、月極駐車場を借りて、車を買うというのなら、全く反対せず、むしろ、歓迎すると思いますが、家の敷地に置くとなると、庭の使用権限は、依然、両親にあるので、反対されないまでも、迷惑がられる恐れはあります。 車ほど、邪魔な物はないですから。

  特に、カーポートの下に車を置くと、横を通り難くなるから、その内、「狭いねえ」と文句を言い出すでしょう。 カーポートを通り越して、一番奥まで入れてしまえばいいわけですが、その場合、車は、雨曝しになり、塗装の劣化は避けられません。 錆も出るでしょうなあ。 年中、磨いていなければならなくなりますが、困った事に、私が過去の経験から、「人生最大の無駄」と考えているのが、車を磨くのに使う時間でして、いくら、引退者で閑だとは言え、余生を車磨きで費やすのは、御免被ります。  下らん! 車の為に生きているんだか、生きる為に、車を持っているんだか、分からんわ。


  何だか、下らない夢想に耽っているだけのような気もするんですよ。 車を買う事で、「うちの家族は、まだ終わってないんだぞ。 どこかへ出かける事だってあるんだぞ」と、近所の人達に、証明したがっているだけなのではないかと思うのです。 そんな事は、他人には、どーでもいー事なんですがね。

  まだ、通勤していた頃の事ですが、いつも、信号待ちで停まる交差点の角に、一軒の家がありまして、駐車場が二台分、道路に面していました。 常に、一台、車が置いてあり、その持ち主と思われる、おじいさんが、いつも、車のそばに、立っていました。 ワゴンRだったと思うのですが、まだ、新しくて、買って間もないと思われる車でしたよ。 おじいさん、歳を取ってから、新車を買って、大事にしたくて、仕方がなかったのでしょう。 いつまでも、見ていたかったのだと思います。

  そのおじいさんにとって、自分の車がある事が、生きている証明だったのだと思うのですよ。 どう見ても、引退者だったので、恐らく、ほとんど、乗る機会はなかったと思うのですが、「俺は、車を持っている。 だから、家族の役に立てる」と、そう思う事で、自分の存在意義を確かめていたんじゃないですかねえ。

  それから、2年くらい経ちますが、今、その家に行っても、おじいさんは立っていないし、車もありません。 たぶん、亡くなったか、寝たきりになったかして、車は、処分したんでしょうねえ。 引退者というのは、そういうものだと思うのですよ。 若い頃のように、「車があれば、まだまだ、人生を楽しめる」なんて事は、金輪際、ないのです。 萎んでいく花に、いくら水を注いだって、止める事はできないじゃありませんか。


  私の場合、車を買う条件として、バイクを処分しなければならないのも、ちと、引っ掛かる。 人間、今持っている物は、価値が低く感じ、持っていない物は価値が高く感じるものです。 今は、車に価値があるような気がしていますが、バイクを処分して、車がある状態に慣れてしまうと、価値観が逆転して、「ああ、バイクさえあれば・・・」と思うようになる恐れが、非常に高い。 いーや、絶対そうなる。 自信があります。

  車は、燃費が悪いから、遠出ができないんですよ。 バイクならも、半径100キロくらいまでなら、千円で釣りがくるから、割と気軽に出かけられますが、車では、そうは行きません。 ガソリン代の事が気になって、半分も行けないでしょう。 今後、一切、遠出をしたい気持ちにならないというなら、車にしてしまってもいいですが、未来の自分の気持ちなんて、分かりゃしませんや。

  家族とドライブなんかも、まず、しないと思うのですよ。 父は、筋金入りの出不精ですし、母も、歳を取ってしまって、昔のように、あちこち行きたがるような事はなくなっています。 トゥデイがあった頃には、伊豆半島や神奈川県に、結構、ドライブに行きましたが、ライフに換えた後は、沼津市内から、一歩も出ませんでした。 そのライフを売ってから、すでに、6年も経っているわけでして、これから、車を買って、母とドライブに行く事があるとは思えません。

  あああ、やっぱり、うちの家族は、もう、終幕なんですなあ。 搾り滓なのです。 時間の経過というのは、逆らって逆らえるものではないのでしょう。