2015/11/22

田牛サンド・スキー場

  9月29日(火)に、伊豆半島・下田市にある、「田牛サンド・スキー場」という所へ、バイクで行って来ました。 定例化しつつある、月に一度のツーリングです。 今までに、北、西と、行ったので、次は、南となるわけです。 「田牛」と書いて、「とうじ」と読み、海岸から吹き上げられた砂が、崖の下に坂を作っている所です。 静岡の県内ニュースで、よく出るんですが、行った事がなかったので、一度、見てみようと思った次第。


  いつもの通り、出発の準備は、当日の朝になってから、取りかかりました。 出先でお金を使わなくて済むように、昼飯の、おにぎりを作って行きます。 飲み物は、ペット・ボトルに、水だけ。 さほど、遠くではないので、前回と同じく、午前9時に出発しました。 清水町と、沼津市大平を経て、函南町で国道136号線に入り、伊豆の国市、伊豆市と、伊豆半島の真ん中を通って、南下して行きます。

  修善寺の立体交差で、いつも、道を間違えて、有料道路に入りかけてしまうのですが、今回も、お約束のように間違えて、引き返しました。 車だと、引き返せないのですが、バイクは、下りてしまうという手があるので、その点は、融通が利きます。 でも、もし、警察車両が近くにいたら、注意を受けるでしょうねえ。 私も、間違えたくて間違えているわけではないのですが、案内標識が、一般道と有料道路が一緒に書いてあったりして、咄嗟には、判断できないのですよ。

  それ以前の問題として、伊豆半島は、新しい道路を作り過ぎです。 人口が減っているのに、有料の自動車専用道ばかり、こんなに、ドカドカ作っても、観光客が素通りして行くだけだと思うのですがねえ。 温泉や景色を売りにした観光地の場合、交通を便利にする必要は全くないのであって、むしろ、不便さを守る方に力を注ぐべきでしょう。 都会にしてしまって、どうする?


  それはさておき、今までの紀行文では、まず、文章を書いてから、それに、写真を挟み、写真の下に説明文を入れて来ましたが、二度手間なので、今回からは、写真を中心にして、文章で説明するという方式に変えます。



  道なりに進むと、湯ヶ島の手前から、国道414号線になります。 「出口」という交差点から、切り替わるのですが、そのまま直進なので、普通、気づきません。 私も気付きませんでした。 帰って来てから、地図を見て、分かった次第。

≪写真1≫
  10時15分頃、天城の手前にある、「浄蓮の滝」で休憩しました。 道路沿いに、大きな駐車場があり、観光バスも、やって来ます。 平日なので、空いていて、車一台分使って、駐輪しました。 バイクで寄る人も多いと思うのですが、伊豆の観光地で、駐輪場を用意している所は、大変、少ないです。

≪写真2左≫
  駐車場から、滝へ下りて行く道の、入り口横に立っていた、銅像。 川端康成の、≪伊豆の踊り子≫ですな。 勿論、フィクションなのですが、まるで、実話であるかのように、天城のあちこちに、この二人の像が立っています。 それにしても、山口百恵さんと、三浦友和さんが主演した、最後の映画化から、もう、何十年経ったでしょう? 若い人は、どんな話なのか、全く知らないのでは?

≪写真2右≫
  滝に下りて行く道。 休憩のつもりだったんですが、滝があると思うと、見に行きたくなるのが人情というもので、結局、ずっと歩いていました。 かなりの落差を下って行くので、行きはいいですが、帰りは、息が上がってしまう人が多いです。

≪写真3≫
  これが、浄蓮の滝です。 「女郎蜘蛛の伝説」がありますが、長いので、割愛。 観光バスでやって来た客が、結構いました。 東京の引退者の団体とか、中国人の団体とか。 私は、15分くらいかけて、ざっと見て回り、また、出発しました。 休憩になりませんな。



  10時半頃、浄蓮の滝を出て、国道414号線を南下。 天城を越え、補強工事中で、片側交互通行だった、ループ橋を下り、上河津郵便局前の交差点を右折して、更に、細い山道に入りました。 直進して、河津町へ下りても、海岸線を通って、下田へは行けますが、414号は、この細い山道の方なのです。

≪写真1≫
  山から下りて、下田が近づくと、こんな景色になります。 川沿いに開けた狭い平地に、集落が、ポツポツと続くという感じ。 のどかなようですが、交通量が少ない所は、スピードを出す車が多く、油断して、のんびり走っていると、急に追い抜かれたりして、怖い思いをします。 都会や、市街地近辺でしか運転した事がない人は、地元の人間と張り合おうなどと思わず、端に寄せて、先に行かせてしまった方が、無難。 命がいくつあっても足りません。

  随分昔、たぶん、1994年だと思いますが、まだ、二輪免許を取ったばかりの頃、DT50というオフロード・タイプの原付に乗っていて、ここを通った事がありました。 平地に下りた所で、チェーンが外れて、道端で直したので、記憶に残っているのです。 うーむ、あれから、もう、21年も経ってしまったのか・・・。 あの頃には、自分が、20年以上、バイクに乗る事になるとは、思ってもいませんでした。

≪写真2≫
  道なりに南下すると、下田市街地に入ります。 ここは、「中島橋」という交差点で、下田の街の中心部。 ここを右折すると、再び、国道136号線に入ります。 ちなみに、伊豆半島の東海岸を通っているのは、135号線です。 136号は、三島から南下し、湯ヶ島から西海岸に出て、半島の南西部をぐるっと回って、下田に至り、この中島橋交差点で、135号と、414号に連結します。

≪写真3≫
  136号を西南に進み、「田牛入口」という交差点を左折すると、やがて、海岸線に出ました。 この辺の海岸は、真っ黒な巨岩が砂浜を囲んでいて、すごい風景なのですが、「私有地につき、駐車禁止」ばかりで、停まる所がなく、写真は撮れませんでした。

  一本道なので、間違えようもなく、、「田牛サンド・スキー場」に到着。 11時50分頃でした。 浄蓮の滝で、15分停まっただけですから、家から、2時間35分もかかった事になります。 駐車場は、二ヵ所に別れていて、合計で、15台分くらいあったでしょうか。 海水浴シーズンは、有料らしいですが、この時は、9月の終わりですから、無料。 私は、バイクなので、車を置けない、隅の方に停めました。



  駐車場の、すぐ裏手に、小山があり、道がついていたので、てっきり、その道が、サンド・スキー場への道だと思い込んで、登って行きました。 ところが、この山は、ただの山でして、道は、眺望がいい場所へ行く為に作られた、散策路でした。 10分もかからずに、ぐるっと回って、駐車場へ戻りました。

≪写真1≫
  山の散策路から見た、北東側の景色。 この写真の、左側に、サンド・スキー場があり、その写真もあるのですが、それを見せてしまうと、次の組写真がつまらなくなるので、外しておきます。 このずっと向こうに、下田港があります。

≪写真2≫
  同じく散策路から見た、南西側の景色。 田牛海水浴場の砂浜が、少し見えています。 このずっと向こうに、石廊崎があります。 伊豆の最南端までは、まだ、かなり遠いです。

≪写真3≫
  山の真ん中に、穴が開いていて、その下が、「龍宮窟」という、海蝕洞になっています。 洞の大きさに比べると、波が入って来る海側の穴は、意外な程に小さいです。

≪写真4≫
  昨今、あちこちの観光地で、ハート形に見える岩が、呼び物にされていますが、ここにもありました。 もっとも、説明板があったから、気づいたのですがね。 海蝕洞の形そのものがハートなので、巨大です。

  下の方で、結婚衣装を着たカップルの、写真撮影をしていました。 もはや、「カップル」は、死語かな? 右下は、被写体の二人だけを拡大したもの。 レフ版を使って、本格的にやっていたから、カメラマンは、プロなのでしょう。 本当に、結婚の記念写真なのか、何かのパンフ写真なのかは、分かりません。 ちなみに、下に下りるトンネルは、山の麓にあり、ここからは、下りられません。



≪写真1≫
  駐車場後ろの山を下り、一旦道路へ出て、北東方向へ、ちょっと戻ると、サンド・スキー場の入り口がありました。 砂浜へ下りて行く、長い階段があります。 崖下に、砂が、へばりついているのが、サンド・スキー場です。 人工的に作ったのではなく、海風で砂が吹き上げられて、自然に、こうなるのだそうです。 これ以上、急にもならなければ、これ以上、崩れもしない、自然に構成される角度の事を、「安息角」というのだとか。

≪写真2≫
  ほぼ、一番下まで、下りた所。 「斜面 30度」。 下から見上げると、もっと急に見えます。 上まで上がって、スノー・ボードで滑り下りて遊ぶので、「サンド・スキー場」と呼ばれている次第。 スノー・ボードは、持ち込みも可能ですが、駐車場向かいの民宿でも、有料で貸し出しています。 私が行った時には、一組いましたが、すぐに帰ってしまいました。

≪写真3≫
  一番上まで、登ってみました。 砂山の端の方を歩いて上がったんですが、靴が砂に埋もれて、往生しました。 スノー・ボードがあったとしても、子供ならともかく、大人の場合、3回くらいで、上に上がるのに疲れて、やめてしまうと思います。 上から見下ろすと、これまた、凄い角度で、とても、足で駆け下りるなんて事はできません。 つんのめって、骨折してしまいそうです。 海側を向いて立つと、風が凄くて、砂が顔に当たって来ます。 なるほど、これなら、砂が、いくらでも、供給されるわけだ。

≪写真4左≫
  砂山の頂上付近で撮った、背後の崖の様子。 堆積岩ですな。 この辺の海岸は、みんな溶岩かと思っていたので、ちと意外。 つまり、海に沈んでいた頃もあったというわけだ。 右上を、トビが飛んでいます。 海風が凄いので、高度を取り易いんじゃないでしょうか。 こやつがいる時には、露天の食事には、気をつけなければなりません。

≪写真4右≫
  階段。 手摺がある片側が、半分の高さになっています。 子供や老人向けに配慮してあるんでしょうねえ。 こういう作り方は、珍しい。



≪写真1≫
  麓に駐車場がある小山を挟んで、サンドスキー場の反対側にある、「田牛海水浴場」。 真っ白とは行きませんが、綺麗な砂浜でした。 この時は、人っ子一人いませんでしたが、シーズン中は、さぞや、賑わう事でしょう。

≪写真2≫
  これは、小山側です。 岩が真っ黒ですが、近くで見ると、これも、堆積岩で、小さな石がたくさん、挟まっていました。 堆積岩でも、黒く見えるんですなあ。 見かけだけで、地質を判断するのは、無理なのだと、ここで知った次第。

≪写真3左上≫
  海水浴場の防波堤の下で、昼飯にしました。 自分で作った、塩だけのおにぎりが、2個。 ペット・ボトルの中身は、ただの水道水です。 一人旅なので、このくらいで、充分。 こんなものでも、やはり、昼飯は、楽しみです。

≪写真3左下≫
  駐車場の端に掲げてあった、注意書き。 「ドローン使用禁止」。 規制が、素早いな。 人がいない季節なら、問題ないような気もしますが、風が強い所なので、ドローンの飛行自体が、難しいかも知れませんな。

≪写真3右≫
  駐車場の、道路を挟んで、向かい側にある民宿。 ここで、スノー・ボードを貸しています。 500円と書いてありました。 ネットで読んだ情報では、返却時に、いくらか返って来るのだとか。 しかし、私は、最初から借りる気がなかったので、わざわざ、確認はしませんでした。



≪写真1左上≫
  サンド・スキー場と海水浴場の間に位置する、「龍宮窟」。 来て最初に登った、駐車場の上の小山ですが、その中、というか、下にあります。 この写真は、海水浴場に近い方の、駐車場の隅にある、入口。 鳥居のような形ですが、鳥居ではないです。 入窟、無料。

≪写真1左下≫
  龍宮窟に下りて行く、トンネルと、階段。 このトンネルは、たぶん、人工的に穿たれたものだと思います。 こんな所に、自然に穴が開くとは思えませんから。 昔は、上の穴から、崖を伝って、下りていたんじゃないでしょうか。

≪写真1右≫
  龍宮窟の、奥側の崖。 上から見下ろした、ハート形の、片方の半円部分に当たります。

≪写真2≫
  龍宮窟の海側。 ハート形の、尖った部分に当たります。 この小さな開口部から、波が入って、これだけ大きな海蝕洞を穿ったというのが、不思議不思議。 恐らく、開口部がある岩が硬く、その中の岩が柔らかかったのでしょう。

≪写真3≫
  上を見上げてみました。 下から見ても、何となく、ハート形が分かりますな。 天気がいい日で、良かったです。



  12時半頃、田牛を後にし、帰途に着きました。 元来た道を戻って行ったのですが、ちょっと、帰る時間が早いかと思い、ループ橋の下にある、「河津七滝(かわずななだる)」に寄りました。 名前の通り、七つの滝がある所で、昔からある観光地です。 私も、子供の頃に、親に連れて来られていると思うのですが、ものの見事に、何一つ、覚えていませんでした。

≪写真1≫
  行きにも通った、ループ橋。 正式名称は、「河津七滝ループ橋」。 「河津七滝」は、ループ橋を下りて、ちょっと行った所にあるТ字路を東に曲がり、北へ引き返す格好で、ループ橋の下を潜って行きます。 私は、帰りに寄ったから、ループ橋に入る前に、曲がったわけです。

≪写真2≫
  河津七滝の、無料駐車場。 平日の午後だったせいか、空いていました。 河津七滝は、駐車場も無料、滝も無料で、伊豆の観光地にしては、セコさがありません。

≪写真3左≫
  ここにも、電気自動車の充電器がありました。 密かに、電気自動車は、普及しているんでしょうか。 高速道路に負けず劣らず、山道も怖いと思うんですが。 利用は、有料。 そりゃ、そうか。 滝を見ている間に、充電するのは、時間のうまい使い方ですが、一基しかないですから、先客がいたら、アウトですな。

≪写真3右≫
  滝へ向かう小径。 かなり、歩きます。 後から考えると、滝が七つもあるのだから、無理もないんですが、この時は、寄り道のつもりだったので、そんなに歩くとは思っておらず、時計を見い見い、先を急ぐ事になりました。  

≪写真4≫
  順番が前後しますが、上の、滝へ向かう小径の、入口にある、土産物店。 こういう店は、地元の産物以外に、民芸品や、竹製・木製のオモチャなども売っていて、ちょっとした、アナザー・ワールドになっていますな。 子供連れが多いから、そういう物でも、買う客がいるのでしょう。



  「河津七滝(かわづななだる)」は、主なものだけで、七つの滝があるわけですが、その内、「大滝(おおだる)」は、一般客は、見れません。 他の六つは、無料で見れます。 早足で歩きつつ、全ての写真を撮って来ましたが、全部出すとなると、一つ一つが小さくなってしまうので、滝は三つだけにします。

≪写真1≫
  「初景滝(しょけいだる)」。 名前の由来には、言い伝えがあるようですが、階段を上下せずに、最初に見れる滝だから、「初景」と解釈した方が、覚え易いです。 滝壺の手前に、伊豆の踊り子の像があります。 ここへ来る小径沿いにも、一組ありました。 川端康成に、おんぶにだっこですな。 東北各地にある、松尾芭蕉の像に比べたら、依存度は低いですが、何せ、≪伊豆の踊り子≫は、作り話だからなあ・・・。

  この滝から、上流に行くには、見上げるような木製階段を登る事になります。 団体客を引率していたガイドさんが、「ここから上には、興味のある方だけ、どうぞ」と言ってました。 せやけど、初景滝だけ見て帰ったら、あんさん、そら、「河津一滝」でんがな。

≪写真2≫
  「蛇滝(へびだる)」。 滝壺の方を中心に撮ってしまいましたが、蛇の本体は、滝の上の蛇行の方みたいです。

≪写真3左≫
  蛇滝の上流にある吊り橋、「河津踊子滝見橋」。 この写真だけでは分かりませんが、蛇のように、上下にうねっていて、橋板は、ほぼ、階段だけで、構成されています。 これが、結構、揺れて、怖かったです。 割と、新しい物で、落ちるような心配は不要でしたが。

  「こういうのは、新しい内はいいけど、古くなって来ると、修繕費がかかって、結局、維持できなくなってしまうのでは?」などと考えるのは、大人の発想でして、親に連れられて来た子供は、滝は覚えていなくても、この橋だけは、怖さで覚えているという、「思い出の元」になります。

≪写真3右≫
  一番、上流にある、「釜滝(かまだる)」。 ここで、もう、2時。 4時半までには家に帰りたいのに、まだ、河津にいるというのが、冷や汗もの。 滝の眺めを楽しむどころではありませんな。 他の滝の名は、「蝦滝(えびだる)」、「蟹滝(かにだる)」、「出会滝(であいだる)」。 全て、駆け足で見て、帰りましたが、なんだか、勿体ない感じ。 河津七滝は、よそへ行ったついでに寄る所ではないという事を痛感しました。 今度また、ここだけを目的に、出直して来ようと思います。

≪写真4≫
  滝に向かう小径に立っていた、外国人観光客向けの高札。 分かるような、分からんような英文です。 翻訳ソフトを使ったにしても、どこから、「Your」が入って来たのかが解せません。 他に、繁体字中国語版、簡体字中国語版、フランス語・スペイン語版がありましたが、どれも、分かるような、分からんような文でした。 日本語版がなかったので、原文を確認できなかったのが、残念。



  バイクに戻り、2時20分に、撤退。 後は、寄り道せずに、家に向かいました。 3時55分に、家に到着。 やれやれ、無事に戻れたか。 走行距離は、行きが、80キロ。 帰りは、田牛を出る時に、少し遠回りをしたのと、河津七滝に寄ったせいで、87キロ。 往復、167キロでした。 カチカチ山は、130キロでしたから、この夏、最大の遠出になったわけです。 とにかく、終わって良かった。


  月一ペースを続けるとすると、次は、10月末ですが、その頃になると、もう、寒くて、バイク・ツーリングには、行く気にならないかもしれません。 この日は、気温的には、快適でしたが、楽しさよりも、辛さの方が勝ってしまっていて、「果たして、これ以上、この習慣を続けるべきか否か・・・」と、ますます、悩みが深くなってしまいました。

  一つ、確実に分かったのは、もし、バイクをやめて、車を買った場合、こんな遠くまで来る事は、絶対にないだろうという事です。 バイクだから、苦手な山道でも、何とか走ろうという気になるのであって、車で、後ろから煽られながら、狭いワインディング・ロードを走る気には、到底なれません。