2019/08/25

後輪脱着基礎講座

  前回に引き続き、自転車の修理の話です。 バイク生活復活計画の方は、とりあえず、8月15日の夜に、中止する決心がついたのですが、やめるとなると、他にやる事を思いつかず、心にポッカリ穴が開いた気分。 結局また、考えを変える事になるかも知れません。 それは、さておき、今回は、自転車の後輪チューブ交換について書きます。




  7月7日に、千本松原まで、旧母自で出かけたら、帰りに、空気が抜けてしまいました。 6月24日に、パンク修理したばかりなのに、なんたる事か。 空気が減っている事に気づいてから、下りて押していたのですが、ますます減る一方で、やがて、ズルズル引きずるようになりました。 やむなく、タイヤとチューブを傷めないように、荷台に指をかけ、後輪を持ち上げて、家まで帰って来ました。

  先日の修理箇所が、また、剥がれた可能性があるので、チューブを交換するつもりで、翌8日に、後輪を外しました。 というわけで、以下、ハウツー風に、写真と文章で説明します。


≪写真1≫
  例によって、脚立を立てて、シート・チューブとシート・ステーの角に、タオルを巻いた棒を入れ、自転車の後部を吊り上げました。

≪写真2≫
  後輪車軸のナットは、15ミリのスパナで外します。 15ミリは、普通の組みスパナ・セットだと、入っていません。 これは、ダイソーで買って来たもの。 モンキーでも、代用できますが、ナメ易くなるので、注意が必要。

≪写真3≫
  まず、ブレーキ・ワイヤーを外しておきます。 次に、車軸の左右ナットを外すと、泥除けステー、荷台ステー、スタンドの順で、外れて行きます。 この順番は、どの自転車でも同じで、重要度が高い順に、先に通すようになっています。

  「チェーン引き」という小さな部品を外すと、チェーンが弛むので、まず、後ろ側を外し、更にゆとりが出来たら、前側を外せば、後輪は外れて来ます。 チェーンを後ろ側だけ外しても、車輪は外れません。 結局、前側も外す事になります。 

  タイヤのビードを、片側外し、チューブを取り出します。 チューブに空気を入れ、水に浸けてみたら、先日、修理した所は、問題がなく、他の所に、新しい穴が開いていました。 困ったもんだ。 新しいチューブに交換する事にし、今までのは、修理せずに、保管という事になりました。

≪写真4≫
  これは、新しいチューブ。 前に、ネットで、タイヤ2本セットを買った時、チューブも付いて来たのです。 しまっておくのも勿体ないので、使う事にしました。。


  チューブを交換したら、後輪を、車体に組み直します。 外した時と、逆の手順でやっていけばいいのですが、車軸をフレーム・エンドに入れる前に、チェーン引きを先に入れるのを忘れないようにします。 しかし、たとえ、忘れてしまっても、フレーム・エンドの外側に付けても、付かない事はないです。

  チェーンは前側をかけてから、後ろ側をかけます。 車軸に、スタンド、荷台ステー、泥除けステーの順で嵌めて行き、ナットを仮留めしたら、自転車を脚立から下ろします。

≪写真1≫
  で、難しいのが、車輪が、車体に対して、真っ直ぐになっているかどうかの調整です。 私は、これまで、車輪とチェーン・ステーの間に指を入れて、左右の隙間が同じくらいになっているかどうか、調整していましたが、今回は、隙間の幅を測り、板を噛ませて、自動調整を狙ってみました。

  旧母自の場合、隙間は、1センチだったので、厚さ1センチの板を挟みました。 キズがつかないように、ウエスを挟んで、押されて、ちょうどよくなるくらいにしてあります。 この板は、左右両方に入れて、車輪が完全に動かなくしてしまってもいいのですが、そこまでやらなくても、左側だけ入れておけば、充分です。 チェーンを適度な力で張ろうとすると、車輪は常に、前側が左に押し付けられるので、右に行く事はないからです。

  こうしておいて、

≪写真2左≫
  チェーン引きを、締められるだけ締めます。 ほぼ、写真中央に写っている小さなナットが、チェーン引きのナットです。 しかし、こんな狭い所では、締められません。 そこで、

≪写真2右≫
  チェーン・ケースの、メンテナンス・カバーを開きます。 ナットの周囲が広くなって、作業し易くなります。

≪写真3≫
  チェーン引きのナットを回すには、本来なら、こういう、ボックス・ドライバーを使います。 しかし、このナットは、9ミリなのに、うちにある父の遺品のボックス・ドライバーは、7ミリと8ミリで、合いませんでした。

≪写真4≫
  やむを得ず、自転車レストアの時に、ホーム・センターで買って来た、9ミリのスパナを使いました。 チェーン引きナットの周囲が広くなっていれば、スパナでも、回せます。 チェーン引きナットを締め付ければ、後輪は、後ろに引っ張られます。 普通の力で回して行って、回らなくなれば、そのくらいでOK。 車軸ナットを、左右締め付けて、後輪の調整は終了です。 一番上の写真の板が隙間の幅を決めてくれているから、それ以上の調整は不要というわけ。

  この後、ブレーキ・ワイヤーを締め、試し乗りして、チェーンが、ケースの底に当たる事がなければ、チェーンの張りが、ちょうどよい事になります。 登り坂を漕いでいる時や、力を込めて漕いでいたのをやめた直後に、チェーンが、カタンカタン、音を立てるようなら、やり直し。 チェーン引きナットを、もっと締め込みます。


  後輪のチューブ交換は、バンク修理に比べると、難易度が高いですが、やはり、慣れの要素が大きく、手順が分かってしまうと、そんなに苦労するわけではありません。

  ブレーキ・ワイヤーは、つけたままでも、車輪を外せない事はないですが、取ってしまった方が、作業が楽です。 ブレーキ・ユニットやワイヤーが、どういう風に付いているか、頭に入ってしまえば、元に戻すのもわけないので、取って作業した方が、いいと思います。

  チェーンですが、かける時に、前側からかけるのは、ゆとりがないと、かかってくれないからです。 ドライバーや棒を使い、上か下か、どちらかを引っ掛けて、ペダル・クランクを回せば、かかって行きます。

  初心者を悩ませるのが、チェーン引きでして、私も、さんざん悩みました。 しかし、これも、慣れてしまえば、大した事ではないです。 チェーン引きが、何の役割をしているかというと、チェーンの張りを調整するアジャスターなわけでして、それが分かっていれば、次第に、扱い方も分かって来ます。 普通は、締める方向だけ気にしていればいいです。 チェーンをピンピンに張り過ぎて、ペダルが重くなってしまった時だけ、緩める事になりますが、そういう事は、滅多にありません。

  「チェーンの張り具合を、車輪を外す前と同じにする為に、チェーン引きのネジ山の出代を測っておく」という方法も紹介されていますが、何を使って測っても、正確に同じにするのは、難しいと思います。 そのつど、チェーンの張り具合をみながら調整した方が、結果は良くなるでしょう。 慣れてしまえば、どーってこたーないです。

  チェーン引きが、右側(チェーン側)だけに付いている自転車と、左右に付いている自転車があります。 左側のチェーン引きは、調整器具としての重要度が低いので、正常な位置に付いていさえすれば、無視してもいいです。 右側で、チェーンの張りを調整し、チェーン・ステーと車輪の間に挟んだ板で、車輪の直進性を調整した上で、車軸ナットを締め付けてしまえば、左側のチェーン引きは、最後に、緩んで落ちない程度に締めておけば、充分。 役をしていないので、いっそ、取り除いてしまってもいいです。

  間違えても、左右のチェーン引きで、車輪の直進性を調整しようと思ってはいけません。 オートバイのオン・ロード・タイプでは、チェーン引きに、その役割を担わせていますが、それは、目盛りが付いているから、できる事であって、自転車のシンプルなチェーン引きでは、無理です。




  以上、後輪脱着基礎講座でした。 この作業も、慣れれば、どうという事はないんですが、車輪を付けたままでできるパンク修理と比べると、時間的に、2倍くらいかかる上に、やる事が多いので、慣れるまでに、かなりの歳月を要すると思います。 そう、しょっちゅう、やるような作業ではないから、経験値が、なかなか蓄積されないわけです。

  しかし、後輪の脱着ができるようになれば、後輪タイヤの交換もできるようになるわけで、かなり、使えるスキルだと言えます。 後輪タイヤの交換は、自転車屋に頼めば、工賃だけで、3000円くらい、取られてしまうのではないでしょうか。 3000円払わないで済むと思えば、自力でやる方法を、必死に覚えるのでは? まあ、とりあえず、15ミリのスパナを買う事からですかね。