2020/02/03

新型肺炎騒ぎ

  普段、週に1回の更新ですが、2月2日に、ふと思い立って、時事ネタで、一文を書いてしまったので、昨日の今日ですが、出しておきます。 次の日曜まで待っていると、ネタが古くなってしまいそうなので。




  新型肺炎ですが、大騒ぎになりましたなあ。 予感レベルの話で恐縮ですが、最初にニュースで伝えられた時に、日本の感染症専門家が、妙に落ち着いていたので、逆に違和感があり、「これは、もしや、大ごとになるのでは?」と思ったのが、当たりました。 こういう事が当たっても、別に嬉しくありませんが。


  私個人の対策としては、出先で、建物に入る場合は、マスクをするようになりました。 手洗いの類いは、特に、強化したわけではないですが、元々、潔癖症なので、手洗いは、かなりマメにしており、俄か対策で始めた人達よりも、衛生レベルは上だと思っています。

  他に対策というと、1月31日に、除菌アルコールを4本買い、2月1日に、別の店で、2本追加。 元からあった1本と足して、備蓄が7本になったので、6月くらいまでは、ゆとりでもつと思います。 2月1日には、5枚入りのマスクも買って来ました。 品薄になってから、あちこちの店を回るのは、人が殺到して、感染の危険が高くなるので、普通に買える間に買っておこうと思った次第。

  その店の店員さん同士が、「除菌アルコールが売れている」とか、「どこそこの店では、マスクが、一人何枚限定になったらしい」とか、話し合っていました。 そりゃ、そうでしょうよ。 テレビや新聞で、これだけ騒いでいるのだから、買い溜めが始まるのは当然です。 大震災の後に、乾電池が店から消えてなくなったのを思い出せば、同じ事がマスクや除菌アルコールで起こるのは、容易に想像がつきます。


  新型肺炎ですが、私の個人的・希望的観測として、おそらく、暑くなる6月頃には、収まると見ています。 SARSも、そうでしたから。 MARSは、季節に関係なく、収拾していませんが、それは、季節がない地域が発生地だったからでしょう。

  新型肺炎のワクチンが出来るのが、6月頃と言っていますが、一足遅れで、無用になるのでは? もし、季節要因で収まらなかった場合に備えて、作っておくに越した事はないですが、ウイルスが変異すると、変異前のワクチンは効かないようなので、事は簡単ではないです。 ワクチンが、どういう性質の物なのか分かっておらず、漠然と、薬の一種だと思っている人も多かろうと思いますが、全く違うので、これを機会に、勉強してみるのもよいのでは。

  ワクチンに期待するより、個人でできる対策をとる方が、先ですな。 マスクとか、手洗いとか、衛生的にズボラな人を避けて暮らすとか。 で、以下、個別に、触れます。


【マスク】
  マスクは、飛沫感染には効果があります。 対面して話す時に、相手の唾の細かい飛沫が飛んで、こちらの口に入るのですが、風邪や肺炎、結核など、呼吸器系の感染症は、それで、うつり易い。 私も、インフルエンザで、やられた事がありますが、その時は、たった一言、話しかけられただけで、翌日から高熱が出て、仕事を休みました。 飛沫感染、恐るべし。

  マスクをしていれば、感染している側が飛沫を飛ばす事もなく、まだ感染していない側が、飛沫を受け取る事もないという寸法。 「感染している人がマスクをする分には効果があるが、感染していない人がマスクをしても、予防効果はない」と言う医師がいますが、医学的見解は別として、両方、した方がいいと思います。 感染した者だけにしろというと、マスクの有無で感染を判断される事になり、迫害に繋がって、危険です。

  マスクは、空気感染には、効果がないらしいです。 人が大勢集まっている場所とか、人数が少なくても、狭い空間で、空気が籠っているとか、そういう場合に、空気中を漂っているウイルスが、呼吸で体内に入るのが、空気感染。 飛沫のように、水滴に含まれているわけではないので、どこかに付着したら、そこで止まるというわけではなく、空気と一緒に、マスクの隙間などから、入り込んで来るわけだ。

  しかし、それでも、マスクをした方がいいと思います。 医師も、軽々しく、「空気感染は、マスクでは防げない」と言わない方がいいでしょう。 そう言われると、感染しているのに、マスクをしない人が出て来るからです。 自分がこれから、うつされると思うと、せっせとマスクをするが、すでに、自分が感染しているのなら、「他人にうつすなんて、どうって事はない。 むしろ、積極的にうつして、みんな同じにしてやれ」という人間は、必ず、出て来ます。

  使い捨てマスクは、感染拡大が続くと、いずれ、手に入らなくなると思いますが、その後をどうするかが、問題ですな。 布で、手製のマスクを作って、洗濯しながら使うという手もありますが、果たして、布製で、どこまで、効果があるのか。 飛沫が直接、口に飛び込んで来るのは、防げますが、その飛沫が乾いて、ウイルスが空気中に漂うようになったら、繊維の隙間を通り抜けて、口に入って来てしまうのでは?

  しかし、感染している人の場合、一応、飛沫を止める事ができるわけだから、意味があります。 その点でも、手製布マスクを全面否定してしまうのは、避けた方がいいかも知れません。

  とりあえず、使い捨てマスクが買える間は、それを使う。 人が殺到している店でないと買えなくなったら、もう買いに行かない。 ネットで買える内は、買う。 それも駄目になったら、ガーゼ・マスクや、手製マスクに切り替えて、洗濯して使う。 そんな段取りで、どうでしょう? 恐らく、そのくらい、感染拡大が深刻化すれば、手製マスクを批判する人もいなくなると思います。 しているだけ、マシなので。

  「洗濯くらいで、ウイルスが死ぬのか?」という疑念もあるかと思いますが、それを言い出せば、服だって、同じではないですか。 ウイルスが洗濯でも生き残るとしたら、服とタオルを一緒に洗った場合、タオルにウイルスがつきますから、洗った顔を拭く時に、唇を当てたら、うつってしまう事になります。

  そこまで警戒するとなると、もう、身近な対策は、何から何まで、全て駄目ですな。 「マスクは、種類に関係なく、一度使ったら、洗濯どころか、煮沸消毒しても、駄目」と言っている専門家もいますが、どういう根拠で言っているのかが分かりません。 「大丈夫」と言ってしまうと、もし、そのマスクをした人が感染した場合、専門家の立場がなくなってしまうから、「駄目」と言っている可能性があり、真偽の程が疑わしい。

  とりあえず、研究結果が出て、定説になっている事以外は、「全部、駄目」と言っておけば、学者としての立場は守れると思いますが、使い捨てマスクが一切、手に入らなくなった時に、絶望して、自殺や無理心中を図る人が出てきたら、そっちの責任は、どう取るんでしょう?

  実際にウイルスが死ぬかどうかは別として、「洗濯すれば、もう大丈夫」というところで、線引きしておくのが、やはり、現実的だと思います。 ちなみに、ガーゼ・マスクを洗濯機で洗う時には、必ず、ネットに入れるように。 耳にかけるゴム紐が、耐えられませんから。


【手洗い】
  手洗いは、潔癖症の気がある人は、普段から、普通にやっていると思うので、心配、要りません。 厄介なのは、非潔癖の人でして、外から帰って来ても、汚れが目に見えない限り、手を洗ったりしないという人達は、困ってしまいますな。 しかし、そういう人は、全体の5割以上いると思います。

  外から帰って来る。 ウイルスがついた手で、蛇口のハンドルを捻り、手を洗う。 洗った手で、ハンドルを締める。 アホか。 その時点で、また、ハンドルについたウイルスが手につくではないか。 で、その手をタオルで拭き、そのタオルで、顔もゴシゴシ。 ドアホウか。 何の為に手を洗っているか分からない。

  では、どうすればいいのか? ハンドルが大きい場合、汚れた手で触る部分と、綺麗になった手で触る部分を分けるというのが、一つの方法。 もう一つは、手に石鹸をつけた状態で、ハンドルも洗ってしまうというもの。 非潔癖の人は、こういうのを読むと、「病的だ!」と笑うと思いますが、潔癖の人は、普通にやっている事です。 自宅でさえ、そうしているのに、出先の洗面所に於いてをや。 私は、感知式の蛇口になっているか、洗浄液が備えられていない限り、出先の洗面所は使いません。

  勿論、公衆トイレのドア・ノブや、流すレバーなどにも、触りません。 紙があれば、紙を介します。 やむなく触った時には、洗面所で、必ず、洗浄液を使って手を洗います。 こういう事も、非潔癖の人には、分からんでしょうねえ。 ところが、感染症が騒ぎになっている時に、感染を広げるのは、そういう非潔癖の人なのです。

  そもそも、「清浄」と「不浄」の区別をしていないのだから、始末が悪い。 「こういう所に触ったら、手を洗うように」なんて言っても、「なんでー? 変わらないじゃん。 汚れてないよー。 そっちが、変なんじゃないのー?」という反応しか返って来ない。 困ったもんだ。 少々、病的にならないと、潔癖の極意を会得できないのだから、社会全体の感染症対策が、いかに難しいかが分ろうと言うもの。


【衛生的にズボラな人を避けて暮らす】
  手洗いの所で触れた、非潔癖の人は、ズボラというほどではないので、この項目に含みません。 もっと、厄介な連中の事です。 断言してもいいですが、これだけ騒ぎになっていても、何の対策もしない人というのは、必ず、います。 勤めていた頃、「風邪は、人にうつせば、治る」と信じて、実践している人を見ましたが、そのレベルの衛生意識の人が、全体の1・2割はいるんじゃないでしょうか。

  そういう人間は、まず、マスクをしようとしないので、分かります。 咳が、ゲッホゲホ出ていても、頑なに、マスクをしません。 「した方がいい」と勧めると、「いやあ、それでなくても、咳が出て苦しいのに、マスクなんかしたら、息ができねーよ」と、迷惑そうに顔を歪めて、拒絶します。 自己中心的で、他人にうつす事など、全く悪いと思っていない。 甚だしくは、ひどい咳をしていれば、周りが心配して、優しくしてくれると期待している。 そういう発想の人は、ナルシシストに多いです。

  学校や職場なら、教師や上司から、「マスクをしろ」と命令ができますが、お客とか、取引先とか、単に、出先で遭遇した人が相手では、それができないですから、もう、距離をおくしかありません。 咳やくしゃみを浴びせかけられないように、自然に避けるのです。 感染拡大が深刻になってきたら、不自然でも、逃げた方がいいでしょう。

  ズボラな人達は、手洗いなんて、もちろん、しません。 外でも、家の中でも、全く気にせず、あちこち、触りまくります。 テレビ・ニュースを見ず、新聞も読まず、感染症が広まっている事に危機意識を抱いていないというケースもあると思います。 職場の同僚が、自分以外、みんな感染対策を取っていても、ゲラゲラ笑って、「怖がり過ぎだろ。 誰だって、死ぬ時ゃ死ぬのさ」などと嘯き、我が道を行きます。 そういうタイプが真っ先に死ぬのは、歓迎したいところですが、死ぬまでに、人にうつしまくるから、始末が悪い。

  自分が潔癖でも、家族の中に、ズボラがいると、ヤバいよなあ。 ズボラが家に持ち込んだウイルスで、家族が死んでも、ズボラは、悪い事をしたなんて、絶対、認めないと思いますね。 しらばっくれるか、他人のせいにするのが、関の山。



  私自身、感染症の拡大を経験した事がないので、大きな事は言えませんが、おおまかな方向性として、こういう局面では、前向きな 考え方をした方がいいです。 明るい希望を持てという意味ではなく、「こうすれば、感染しないな」とか、「感染したら、こうすればいいな」と、前向き前向きに対策を取っていくのです。

  ドサクサ紛れに、差別行為をしたり、デマを流したりするのは、国賊行為を通り越して、人類的犯罪でして、問題以前の問題外。 そこまで行かなくても、「政府の初動が遅い」とか、「感染者が、どこを訪ねたか、公表しろ」とか、「もっと早く、全面渡航禁止にしておけばよかった」とか、そういう事をガーガー言っても、感染症は止まりません。 詮ない事に使うエネルギーがあったら、身近な対策を取った方が、よっぽど、身の為になります。

  「もっと早い段階で、○○をやっておけば良かったのに」というのは、典型的な、「後知恵」でして、そういう事を言う人物は、信用しない方がいいです。 感染者が少ない時点で、都市封鎖や全面渡航禁止をやったら、同じ人物が、同じ口で、「人権侵害だ」と言うに決まっているのであって、そんなやつらに、定見なんてありゃしません。 感染者が少ない時点では、大ごとになっていないのだから、大掛かりな対策が取れないのは、理の当然です。

  ちなみに、政治家も、役人も、肺炎の感染拡大なんて、初めてなのですから、対策が後手に回るのは、全然、不思議ではないです。 もし、あなたが役人だったとして、上司から、新型肺炎の感染対策を取れと命じられたら、完璧にやってのける自信がありますか? 医師の専門家はいても、彼らには、役人組織を動かす権限がないですし、理屈では、どうすべきか分かっていても、実際にやるとなると、やはり、初めての経験になってしまいます。

  上述したように、感染症対策がどういうものか、ある程度理解しているのは、潔癖人だけですが、多目に見ても、全体の3割くらいしかいないでしょう。 それ以外の7割は、非潔癖か、ズボラかで、どうやれば、感染を防げるのか、そこからして、分かっていません。 多数派が、そういう人達なのですから、「封じ込め」の方向で対策を進めようとしても、完璧を期すのは、ほぼ、不可能と見ておいた方が良いと思います。 もっとも、完璧でなくても、封じ込めの方向性で対策を重ねて行くのは、間違ってはいないと思いますが。

  「邦人救出」は、保守系の人達の耳には、響き良く聞こえて、「ああ、わが国の政府は、頼りになるなあ」と、さぞや、感動に浸っているものと思われるのですが、「封じ込め」と、「拡散」、どちらの方向性の行為かというと、明らかに、「拡散」の方です。 国内にいなかった感染者を、わざわざ、連れて来ているのですから、それが、拡散でなくて、何と言う?

  「じゃあ、何もしないのか」と言うと思いますが、別に、人間を帰国させなくても、現地に、物資や医療関係者を送り込み、収束するまで、療養して貰うという方法もあったはず。 そう言われると、「あ、そうか。 その手もあったか」と思うでしょう? だけど、みんな、初めての事だから、言われなければ、気づかないのです。

  帰国者を、ホテルで相部屋にさせていた件も、手抜かりというより、担当者が非潔癖で、感染者が含まれている恐れがある人達を相部屋にする事が、なぜ駄目なのか、気づかなかったと考えれば、説明がつきます。 潔癖でない人に、清浄・不浄を区別しろと言っても、どこに境目があるか分かっていないから、線が引けないのです。

  こう書いてくると、新型肺炎の感染対策が、容易ではない事が分かると思います。 人の意識は、そう簡単には、変えられません。 今から、5ヵ月くらい、騒ぎが続くとして、その間に、非潔癖から、潔癖に宗旨替えする人が、どの程度いるでしょうねえ。 おそらく、1割も行かないのでは? ズボラに至っては、一人の離脱者も出さないでしょう。 死ななきゃ治らんどころか、死んでも治らん。

  今後も、「なんで、こんな理屈に合わない事をするんだ?」と憤るニュースが続くと思いますが、そういう時には、社会全体の7割が、感染症について、無知なのだという事を思い出せば、腹も立ちますまい。 そんな事は放っておいて、せっせと、自分の身の周りの対策に励むのが、最善の策でしょう。