2021/01/24

古い車のカタログ蒐集計画 ⑫

  古い車のカタログ蒐集に関するシリーズ。 前文に書く事がないので、近況を書きますと、 これを纏めている、1月18日時点で、静岡県は、まだ、緊急事態宣言が出ておらず、割と、普通の生活をしています。

  数日前から、口の中に腫れ物が出来て、時節柄、病院にかかれないので、自力で治すしかなく、痛い痛いで、死ぬ思いをしましたが、何とか、膿が出て、窮地を脱しました。 いやあ、命拾いした気分です。 それにしても、腫れ物で死を覚悟しなければならないというのは、厄介な世の中になったものですな。





【初代ミラ中期型の本カタログ 1983年3月版 / アク・カタ 1982年5月版】

  2018年の11月に、ヤフオクで買った、初代ミラと、2代目クオーレのカタログ、十数冊の内の2冊。 

≪写真1≫
  左側の黄色いのが、「初代ミラ中期型の本カタログ 1983年3月版」。 これが欲しいばかりに、十数冊セットを買った次第。 状態が良いのが、なかなか出て来ずに、一年半くらい待ちました。

  中期型の登場は、1982年5月なので、これは、少し後の版ですが、中期型の本カタログは、この一種類しかないから、中身は同じでしょう。 ちなみに、私が、1986年に、4年落ちの中古車を買ったのが、初代ミラ中期型でした。 前期型とは、グリルの穴の形が違います。

  右側のピンク色のは、アクセサリー・カタログ。 こちらは、中期型の登場の時に発行されたもの。

≪写真2≫
  イメージ写真のページ。 この壁、ミラのカタログ写真を撮影する為に、何回、塗りなおされた事やら。 車の後ろ姿が写っていますが、初代ミラのデザイン上の最大の魅力は、この後ろ姿にありました。 バック・ドアや、リヤ・コンのデザインだけなら、2代目・3代目より、優れていたと思います。

  イメージ・キャラは、前期型では、岡田奈々さんが起用されていましたが、中期型からは、ヨーロッパ系モデルになります。 ミラのイメ・キャラは、その後、かなり長い事、その路線で行ったようです。 もっと、身近な感じがする方が、良かったと思うんですがね。 それ以前の問題として、この頃、女性の免許取得者が急増し、軽のボン・バンは馬鹿売れしていたので、イメ・キャラに関係なく、車は売れたと思います。

≪写真3≫
  内装のイメージ写真のページ。 ダッシュ・ボードのデザインは、明らかに、女性向けを意識したものでした。 初代アルトが、必ずしも、女性向けデザインでなかったのに比べ、2年、登場が遅れたミラでは、ボン・バンを買っているのが、どういう人達かを、よーく、分析していたわけだ。

  ボン・バンの荷室は、広大です。 広過ぎて、買い物袋を置くと、走っている間に、動いてしまうという問題点がありました。 クッションなどを置いて、仕切ればいいわけですけど。 私は、1991年に、引越しをしているのですが、この車で、何回か往復し、組み立て式ベッドや、箪笥、洗濯機などを運びました。

≪写真4≫
  グレード・ページ。 安い順に、

Aタイプ 2シーター
Aタイプ
Bタイプ
Cタイプ

  私が買ったのは、Aタイプに、オプションで、ラジオを付けたものでした。 納車前に、ディーラーの薦めで、リヤ熱線デフォッガーを付けて貰ったのですが、ガラスを交換したせいか、雨が降るたびに、ガラスのゴムから黒い線が垂れて、年中、水垢取りと、ワックスをかけていなければなりませんでした。 色が白だったのも、まずかったか。

  エアコンは、オプション。 パワー・ウインドウや、パワ・ステは、なし。 シート・ベルトも、巻き込み式ではありませんでした。 初代ミラは、この中期型までが、フェンダー・ミラーで、後期型から、ドア・ミラーに変わります。 もちろん、エア・バッグや、ABSは、なし。

  他に、今の車と違う点というと、運転席からの、バック・ドア・オープナーも、フューエル・リッド・オープナーもありませんでした。 ガソリン・スタンドに入ったら、キーを係員に渡して、開けてもらっていました。

≪写真5≫
  アクセサリー・カタログは、前期型のものと、大差ありません。 まだ、アクセサリーの時代ではなかったのです。




【2代目クオーレ中期型の本カタログ 1982年9月版】

  2018年の11月に、ヤフオクで買った、初代ミラと、2代目クオーレのカタログ、十数冊の内の1冊。 これは、ミラの乗用車版、クオーレの、中期型、本カタログです。 「クオーレ」という名称は、これ以前に、「マックス・クオーレ」という車型の、サブ・ネームで使われていて、2代目という事になります。 初代ミラが、2代目クオーレと同じ車型なわけで、ややこしいです。

  中期型の登場は、1982年5月なので、このカタログは、少し後のものですが、中身は、登場時のものと同じ。

≪写真1≫
  表紙と裏表紙。 壁の前で、ヨーロッパ系モデルと撮影している点は、ミラ中期型のカタログと同じ。 たぶん、同じ人が企画したんでしょう。 全16ページと、本カタログとしては、ページ数が少ないせいか、諸元表は、裏表紙に押し出されています。 それは、ミラの中期型カタログも、同じ。 ちなみに、簡易カタログは、ミラと共通の、二つ折りリーフレットが、別に存在します。

≪写真2≫
  イメージ写真のページ。 4ドアの後ろ姿が写っています。 以前、簡易カタログを紹介した時にも書きましたが、この型の4ドアは、バック・ドアではなく、ガラスだけが開く方式で、デザイン上も、機能上も、最悪でした。

  ガラスしか開かないと、物を積むのに、胸の位置まで持ち上げなければならず、不便極まりないです。 なんで、3ドアと同じ、バック・ドアを付けなかったのか、不思議でなりません。 わざわざ、余計な開発費をかけて、カッコ悪く、使い難くする理由が分からない。

≪写真3≫
  室内のイメージ写真のページ。 乗用だけあって、後席の足下が広いですな。 しかし、こういう写真は、前席を、目いっぱい、前に出して撮影するものなので、その点を割り引いて考える必要があります。

  3ドアには、運転席バック・ドア・オープナーがないのに、4ドアには、ガラス・ハッチ・オープナーが付いていたようです。 なんで、3ドアに付けないのか、理由が分かりません。

  4ドアは、チャイルド・セーフティーが付いていたようです。 私が知らなかっただけで、後席ドアがある車には、昔から付いていた装備なのかも知れませんな。

≪写真4≫
  グレードのページ。

【3ドア】
MO
MG
MGX

【4ドア】
MG
MGE
MGL

  ミラに比べると、グレード名が凝ってますな。 スポーツ・バージョンもあったようですが、そちら方面に興味がないので、詳しく調べる気になりません。




【初代ミラ後期型の本カタログ 1984年7月版】

  2018年の11月に、ヤフオクで買った、初代ミラと、2代目クオーレのカタログ、十数冊の内の1冊。 これは、初代ミラ後期型の本カタログです。 このカタログは、1984年7月の発行ですが、後期型が出たのが、何年何月なのかは、はっきりしません。 私が所有していたのは中期型なので、後期型には、あまり興味が湧かず、とことん調べようという気にならないのです。 販売終了は、1985年8月です。

≪写真1左≫
  表紙。 ムチャクチャに明るいイメージですな。 後期型の外見的特徴は、何と言っても、フェンダー・ミラーだったのが、ドア・ミラーに変わった事。 ただし、ドア・ミラーのデザインに慣れていないせいか、かなり、ゴツいです。 他に、グリルの格子のパターンが変わりました。

≪写真1右≫
  裏表紙。 乗用車タイプの、クオーレが載っています。

≪写真2≫
  イメージ写真のページが、見開きで、3枚分もあります。 とことん、イメージで押そうという戦略。 ライバルの、スズキ・アルトと比べて、機能・性能では、トントン。 デザインでは、圧勝。 しかし、当時は、メーカーの知名度で負けていました。

≪写真3≫
  スポーツ仕様、「Sタイプ」のイメージ写真ページ。 スポーツ仕様と言っても、ラジアル・タイヤ、ディスク・ブレーキ、タコ・メーター、ショルダー・フリー・シートといった、言わば、外堀的部品を充実させたもの。 エンジンは、同じです。

≪写真4≫
  グレードのページ。 中期型と比べて、「Sタイプ」が追加されただけのようです。 各タイプの装備に、異同があるかもしれませんが、そこまで調べる気になりません。

  価格表がホチキス留めされていました。 一番安い、2シーターが、49万8000円。 一番高い、ターボでも、75万3000円。 そういう時代だったんですなあ。




【2代目クオーレ後期型の本カタログ 1984年5月版】

  2018年の11月に、ヤフオクで買った、初代ミラと、2代目クオーレのカタログ、十数冊の内の1冊。 これは、2代目クオーレ後期型の本カタログです。 このカタログの発行は、1984年5月ですが、後期型が出たのは、何年何月なのかは、はっきりしません。 販売終了は、1985年8月です。

≪写真1左≫
  表紙。 明らかに、ミラのカタログと同じ場所で、恐らく、同じ時に撮影されたもの。

≪写真1右≫
  動力性能説明のページ。 「4サイクル、550cc、OHC、31馬力」。 550ccの頃の、ノン・ターボ車は、どのメーカーのも、30馬力前後でした。 サイズが小さく、電子装備が少ない分、車重は、550kg前後と軽かったのですが、それでも、パワー・ウェイト・レシオは、今の660ccの軽より、かなり低かったです。 しかし、軽のノン・ターボ車は、昔も今も、上り坂では、アクセル、ベタ踏みになってしまうという事に変わりはないです。

≪写真2≫
  イメージ写真のページ。 4ドアは、どうにも、誉めようがないデザイン。 おそらく、ダイハツ社内でも、「3ドアと同じバック・ドアをつけて、5ドアを作りましょう」という声があったと思うのですがねえ。 惜しい事です。

≪写真3≫
  室内装備のページですが、上半分は、トランス・ミッションの説明になっています。 ユーザーは、圧倒的に女性が多かったですから、オートマチックは、必須機能と言ってもよく、年が後に行けば行くほど、オートマチックの割合が増えたと思います。

≪写真4≫
  グレードのページ。

【3ドア】
MO
MGF
MGX

【4ドア】
MG
MGE
MGL

  中期型との違いは、3ドアの、「MG」が、「MGF」に変わった事だけ。 クオーレのグレード名は、3ドアと4ドアで、法則性があるわけではなく、覚え難いです。 価格表が付いていて、一番安いのが、63万3000円。 一番高いのが、87万1000円。 そういう時代だったわけだ。




【初代ミラ・Turbo・4WDのカタログ】

  2018年の11月に、ヤフオクで買った、初代ミラと、2代目クオーレのカタログ、十数冊の内の2冊。

≪写真1左≫
  初代ミラ・Turboのカタログ。 1984年3月版。 表紙・裏表紙含めて、8ページ。

≪写真1右≫
  室内装備のページ。 ショルダー・フリー・シート、ドア・ミラー、ハロゲン・ヘッド・ライトなど。

≪写真2≫
  イメージ写真のページ。 「ペパーミント・ターボ」が、キャッチ・コピーだったようです。 たぶん、テレビCMもやっていたと思うのですが、私は、覚えていません。

  軽で、最初にターボを搭載したのは、三菱のミニカで、役所の許可が下りたというので、他のメーカーも、大慌てで、ターボ車を出します。 ダイハツが、二番手だったと思います。 しかし、ミラは、デザインの良さで、女性向けに売っていた車なので、ターボを付けたからと言って、大歓迎とはなりませんでした。 ミラのターボ車が、爆発的に売れるのは、2代目で、TR-XXが出てからです。

≪写真3左≫
  初代ミラ4WDのカタログ。 1984年2月版。 表紙・裏表紙含めて、8ページ。 ヨーロッパ系モデル2人は、Turboのカタログと同じ人達です。

≪写真3右≫
  室内装備のページ。 傾斜計、アンダー・ガード、4駆用のホイールなど。 

≪写真4≫
  イメージ写真のページ。 「ワイルドシック4WD」が、キャッチ・コピー。 4駆の方は、私は、テレビCMを覚えています。 雪の中を、走っている映像でした。

  車の写真を見るに、シャーシーはノーマルのまま、長いサスで車体を持ち上げて、後輪へ向かうドライブ・シャフトを下に通したのだと思われます。 不恰好ですが、実用面を考えると、この方が、使い勝手が良かったかもしれません。 車体の底が低いままでは、雪が積もった所など、すってしまいますから。


  初代ミラの場合、たぶん、ターボよりも、4駆の方が、売れたのでは? ターボを欲しがるのは、専ら、若い男性ですが、初代ミラは、女性的なデザインで、どんなに弄っても、若い男性に買いたいとは思わせられなかったと思います。 一方、4駆は、雪国で、実用的に使えるので、デザインに関係なく、売れたと思うからです。




  今回は、ここまで。 初代ミラと、2代目クオーレ尽くしになってしまいましたが、恐ろしい事に、まだ、全部ではありません。

  初代ミラ、今見ても、いいデザインだと思いますが、さすがに、80年代前半の車は、もう、走っていないでしょうねえ。 私自身、6年間、所有して、乗っていたわけですが、「この車は、年月が経てば、名・旧車扱いになる」と思っていたものの、車そのものを、やめる事にしたので、手放してしまいました。

  実際には、この世代の車で、後に、名・旧車になったものは、ほとんど、ないのですが、それは、日本で、旧車愛好文化が根付かなかった事の方が、大きな原因だと思います。 一人で、好きな車に乗り続けようとしても、よほどの人気車でない限り、部品が手に入らなくなって来るので、いつかは手放さなければならなくなるんですな。

  この世代のミラは、街乗り専用程度の性能しか与えられておらず、高速道路の走行は勿論、長距離ドライブにも、適していませんでした。 比較的、背が高いので、重心が高くなり、山道のカーブでは、倒れるのではないかとヒヤヒヤし通しでした。 最高速度の方も、時速90キロくらいになると、ガタガタと、恐怖を感じるほどの振動が始まったのを覚えていますが、そもそも、そういう使い方を想定して設計された車ではなかったんですな。

  同じ時期に、うちには、母が新車で買った、初代トゥデイ前期型(1985年登場)があったのですが、排気量こそ同じだったものの、乗り比べると、明らかに、レベルが違う性能でした。 同じ山道をトゥデイで走ると、全然、怖くないのだから、その差は、歴然。 初代トゥデイに比べると、初代ミラは、屋根がついたゴーカートのようなものでした。 たった一世代の違いで、飛躍的に、車としての性能が上がったわけだ。