2012/01/29

ポイント12万円

  勤め先の福利サービスなんですが、選択制で、与えられたポイント内で、自分で使い道を決めるようになっています。 私は、今まで10年以上、面倒臭くて、ポイントのほとんどを≪積立≫にして来ました。 それが、今年度限りで、制度変更になり、≪積立≫コースの上限が決められてしまいました。 私の場合、上限をとっくにオーバーしていたので、3月末までに、オーバー分を使い切らないと、会社に取り上げられてしまいます。 金額にして、12万円分。

  うぬぬぬ、いつのまに、そんなに増えてしまったのか。 この福利サービス、元々は、食堂の食券補助や、制服の強制支給だったものですが、ある時、突然、選択制に変わりました。 食堂を使わない人には、食券は不要ですし、制服は毎年貰っても溜まる一方で使い切れないので、不公平を是正するために導入された制度。 しかし、仕組みが煩雑過ぎて、逆に利用し難くなるという、いかにも日本企業の制度らしい、ベタな欠陥を露呈する事になりました。

  選択制になったものの、私の場合、昼飯は弁当ですし、制服は五年に一度くらいしか買わないので、ポイントの使い道がありませんでした。 ≪給食補助費≫は、食堂で食べなくても、申請だけしておけば、給与に加算されるという事を知ったのが、今年度になってから。 もっと早く知っていれば、毎年やっていたものを。 一ヶ月の上限が3500円ですが、一年なら42000円になり、馬鹿になりません。 なんで、制度開始の時に文書で説明してくれんかなあ。

  積立、給食、制服の他に、使えるコースはというと、≪タイヤ購入費補助≫や、≪車検費用補助≫などがありますが、いずれも、半額までなので、要らない物をホイホイ買うわけにも行きません。 残りの半額は自腹を切らなければならないからです。 バイクのタイヤを昨年末に交換しましたが、交換した後で、タイヤ補助が使える事を思い出し、後から申請しました。 半月ほどで受理され、数ヶ月先に、給与に加算されるとの事。


  ≪旅行代金補助≫というのもあり、これは、2種類あって、全額補助されるのが、在籍中一回限り。 半額補助なら、何度でも利用できるらしいです。 全額補助なら、自腹ゼロですから、使わにゃ損!損!という感じですが、今まで、貧乏旅行しかした事が無いために、12万円分の旅行というのが、どんなものなのか、想像力が及びません。

  真っ先に思いついたのが、両親を旅行に行かせて、私名義の領収書を切ってもらうというもの。 母が旅行好きなので、何の抵抗も無くOKされるかと思いきや、いざ訊いてみると、「もう歳だから、遠出はしたくない」との事。 父に至っては、筋金入りの出不精なので、訊くだけ無駄と言うもの。 いきなり、躓いたな。

  となれば、私本人が旅行に行くというのは、どうざんしょ? ところが、3月末まで、昼勤の週は全て六日出勤になるので、日程が取れません。 日帰りだと、宿泊費が入らないため、12万円も使えるツアーは、存在しない模様。 夜勤明けで出発し、一泊二日して帰って来るという手もありますが、想像するだに疲れそうです。 また、国内ツアーのほとんどは、温泉旅行だと言っても過言ではなく、温泉嫌いの私には、拷問も同然。

  温泉地の、旅館やホテルの食事が、刺身だの山菜だの、冷たい物ばかりで、食欲が湧かぬのも敬遠したくなる要素です。 あんなの、幕の内弁当と変わらんわ。 律儀な気質なので、嫌いな物、まずい物でも、全部食べねば悪いと思ってしまうのですが、往々にして、それで腹を壊して、何日も悶え苦しむ羽目になるんですわ。 健康に気をつけるのなら、食べ慣れない物は食べない方が無難です。 特に、火を通していない物はね。

  旅行番組を見ていると、旅館の部屋に入って、窓からの景色を見て、「わあ、綺麗!」とか言って、大袈裟に感動している人が多いですが、アホちゃいますか? そこに長期滞在するというのならともかく、あんたが、その部屋で過ごす時間の大半は、夜ですぜ。 夜は暗いんですぜ。 景色なんて関係ないじゃないですか。 窓の外が、紅葉真っ盛りの渓流だろうが、ボイラー室の裏の壁だろうが、何の違いがあるものかね。

  まーた、温泉がよー・・・。 よく、あんな所に行く気になりますねえ。 何が哀しくて、他人と一緒に風呂に入らにゃならんのよ。 前に誰が入ったかなんて、分かったもんじゃありません。 一緒に入っているオッサンが、「ここの温泉は、皮膚病にいいからねー」などと言いつつ、湯船の中で足の指の間をボリボリ掻き始めたりした日には、それこそ、裸で逃げるね。 脱衣所なんて、白癬菌がいない所を探す方が難しい。 部屋ですら、安心して歩けません。 除菌するほど、細かい掃除はしとらんでしょう。

「そんな不粋な事を言ってたら、せっかくの温泉文化を楽しめずに、つまらない人生になってしまいますよ」 

  ああ、結構です。 何とでも言って下さい。 私は自分の身を自分で守ります。 あなたは、己の信ずる道を歩んで、温泉に入りまくり、皮膚病でも感染症でも貰って、惨めで汚らわしい人生を送って下さいな。 私の場合、食事や温泉は、価値がゼロ・・・、いや、逆に、マイナスなのですよ。 そんな物、要らんのです。 だから、普段、旅行に行きたいなどと思わないのです。

  史跡や景勝地なら興味がありますが、いつも、「いかにして、お金を掛けずに行くか」が、最大のテーマになるので、12万円も使う旅行など、考えられません。 そもそも、史跡や景勝地は、まだ行っていない所が、近隣市町村にうじゃうじゃ残っており、電車を使うにしても、一回千円もあれば行けるでしょう。 それが、120回分・・・・、ああ、頭がクラクラして来る。 そういえば、バイクで九州へ野宿ツーリングへ行った時にも、7泊8日で、1万円くらいしか使いませんでした。 ほとんど、ガソリン代だけ。

  交通費だけで、12万円というのは、目的地が海外ならアリでしょうが、パスポートやビザを揃えるのが面倒ですし、空港でのやりとりも恐ろしい。 それより何より、旅行に行きたいという積極的な欲望が湧いてきません。 海外の情報など、ネットで充分だからです。 大体、12万円使いたいばかりに、飛行機を使うなど、反エコの極み。 私のポリシーに、全面的に反します。 結局、≪旅行代金補助≫で、ポイントを使うのは、無理か。


  もう一つ、検討中なのが、≪ITスキル補助≫で買える、パソコンです。 これは本来、これからパソコンを始める人向けのコースなのですが、別にパソコン歴を調べられるわけではないので、11年目の私が、買い替えに使っても、文句は言われないでしょう。

  対象は、パソコン本体だけで、周辺機器は含まれないそうですが、モニターに関しては、パソコンの付属品なのか、周辺機器なのか、判断しかねるところ。 何を買ったか、調べに来るわけではないですから、領収書に、「パソコン代として-」と書いてもらえば、それで通るような気がせんでもなし。 もっとも、予算の額が大きいので、モニターの代金など、あまり問題では無くなってしまうのですが。

  パソコンの場合は、半額補助なので、12万円分のポイントを使おうと思ったら、24万円の品を買わなければなりません。 インターネットしかやらないのに、24万のパソコン? この時点で、すでに、「非現実的」という文字が、頭の周囲をクルクル回り始めます。 しかも、12万円は自腹を切らなければならないわけだ。 何だか、恐ろしく馬鹿馬鹿しい事を検討していないか?

  ふと思いついて、パソコンの買い取り価格というのを調べてみました。 買った品を、半額以上で売る事ができれば、ポイントを全て流してしまうよりは、得をするわけだ。 たとえば、24万円でパソコンを買い、20万円で売った場合、当座4万円の損ですが、会社から12万円補助が出るので、最終的には、8万円得する事になります。

  ところが、私の考えが甘かった。 調べてみたところ、最新機種であっても、一度ユーザーの所有になってしまえば、中古品になるわけで、せいぜい、4割くらいの値段しかつかないと言うのです。 それでは、足が出てしまいます。 世の中、そんなに甘くないか。

  店と交渉して、形だけ売買した事にして貰い、私が4万円払う代わりに、店には24万円の領収書を切ってもらうようにすれば、別に法律上の不正行為ではないので、どちらも損は無いような気がします。 しかし、あまりにも不確定要素が大きいため、挑戦してみる気になりません。 普通、パソコン・ショップへ行って、そういう取引は持ち掛けないよねえ。 それでなくても、静岡県東部は、値切りの習慣すら無い地域でして、私も、その種の交渉は苦手なのです。

  24万円のパソコンを買って、自分で使うというのも、一つの手ですが、そんなハイ・スペック機があってもねえ・・・。 私の利用形態だと、4万円くらいの機種でも充分過ぎるほどですから、そんな高い物は、機能も性能も使い切れないに決まっています。 使えない物に、12万円も自腹を切ると思うと、ほとほと馬鹿馬鹿しい。


    ええい! 結局、八方塞がりではないか!


  12万円分のポイントに執着し過ぎているんでしょうか。 使わなかった場合、会社の金に戻るだけですから、別に野に捨てられるわけではなし、それはそれでいいではないかと思わんでもなし。 12万円を放棄するのと、12万円分のポイント使う権利を放棄するのとは、幾分、意味合いが異なります。 有効な使い道が無いのなら、無理に使わない方が、自分にとっても良いのかもしれません。

  行きたくもないのに旅行に行ったり、欲しくもないのにパソコンを買ったりするのは、ただ、負担が増えるだけで、12万円の代価として、とても見合う結果とは思えません。 お金を使って、苦しんでいて、どうする?

  いや、しかし、まだ、3月末まで、時間がある事ですし、この件は、まだ紛糾するかもしれませんな。 胃が痛くなるほどに・・・。

2012/01/22

民主主義、破れたり

  まったく、長生きすると、奇妙な時代に行き当たる事もあるものです。 昨日まで、「白」と言われていた物が、今日は、「黒」と呼ばれるようになるとは・・・。 論理的に、まともな頭を持っていたのでは、到底すんなり、受け入れる事はできません。

  ヨーロッパの金融危機が世界的なニュースになって以降、≪民主主義≫への批判が、公然と口にされるようになりました。 市場の動きが急だというのに、民主主義の手続きが邪魔をして、政治が機敏に対処できず、危機を更に悪化させているというのです。

  その日、その時、その瞬間の対応が求められていると言うのに、「ユーロ参加国全ての議会で承認を得なければならないから、答えが出るのは、半月先・・・」などと言っているのですから、泥縄もいいところ。 いや、縄を綯うのに、半月も掛かりませんから、泥縄と言ったら、縄に失礼ですな。

  財政危機が切迫したギリシャやイタリアでは、政治家が政権を投げ出してしまい、経済学者が首相に就任しましたが、一見、「仕方がない」で済ましてしまえそうな事でいて、実は、とんでもない事です。 彼らは、直接に選挙で選ばれたわけでもなく、議会第一党の代表でもないのであって、つまるところ、民主主義の手続きを一切経ずに抜擢された国家指導者という事になります。 期間限定の予定とはいえ、ギリシャとイタリアは、現在、民主主義国家ではないわけだ。

  民主主義の理念を、金科玉条のように祀り上げ、「民主国家にあらずば、国にあらず」と唱えて、世界中に、その価値観を押し付けてきた欧州が、自らの内部に、非民主国家が出現したというのに、「仕方がない」で済ませているのです。 おいおい、それじゃあ、今まで、≪民主主義≫の御旗の下に、欧米の軍事力で滅ぼされて来た国々は、どうなるのよ? そんなに昔の話じゃないよ。 アフガニスタンも、イラクも、リビアも、みんなそうだよ。

  民主主義が、市場経済の急激な変化に対応できない点を指摘して、「民主主義は、未だ嘗て無い、大きな壁にぶつかっている」と、民主主義批判を口にする政治評論家が、雨後の筍のように出て来ましたが、これは、つい、3年くらい前まで、つまり、リーマン・ショック前までという事ですが、その頃だったら、全く考えられなかった現象です。 民主主義を批判したりしたら、良くて、極論を弄ぶ論客、悪ければ、危険思想の持ち主として、政治評論家としての命が絶たれてしまうというのが、普通でした。 民主主義は、民主国家に於いては、不可侵の価値観だったのです。

  その価値観が、現在、崩れたとまでは言えなくても、大揺れに揺れているのは、間違いないところです。 新聞の論説やコラムに、署名入りで、民主主義への疑問を投げかける文章が載っているのですから、世の中、変われば変わるものですなあ。 豹変と言えば聞こえはいいが、節操が無いと言えば、極端なまでに、節操が無い。

  でねー、笑ってしまう事に、一方で、「民主主義は、もう駄目だ」と言いながら、もう一方で、非民主国家への批判を、未だに続けているのです。 非民主国家とは、独裁国家や、一党支配国家や、エリート主導体制を取っている国の事ですが、それらの国を批判する時には、「この国は、民主主義ではないから、駄目だ」と言っているのです。 今でもね。

  ちょっと、首を傾げてしまうでしょう? 「民主主義は、もう駄目だ」と言っているのと、「民主主義ではないから、駄目だ」と言っているのが、同じ人間なんですよ。 同じ動物を指して、「これは馬だ」と言っているのと、「これは馬ではない」と言っているのが、同じ人間だったら、「ああ、こいつ、頭がおかしいんだな」と、誰でも思うでしょう? それと、同じでっせ。 とても、正気の人間の発言とは思えません。

  一体、どっちなんだよ? 民主主義は駄目なのか、駄目じゃないのか、どっちかに決めなよ。 というか、今まで、何十年も、「民主主義は、絶対的に正しい」と信じて来たんだろう? どうして、そんなに簡単に、「もう駄目だ」なんて言って、否定できるのか、その尻軽な感覚が分からん。

  「ヨーロッパ金融危機を境に、考えが変わったのだ」というのなら、まだ分かりますが、そうでないのは、確実です。 こういう人達は、現在、全く同時に、民主主義批判と民主主義擁護を口にしているのであって、やはり、狂っているとしか思えません。

  今まで、さんざん、非民主国家を批判して来た、その口で、その筆で、「民主主義は、もう駄目」なんて、どうして言えるんだ? どうして書けるんだ? 一体、あんた方には、≪信念≫とか、≪定見≫といった物があるのか? それとも、ただ、周りの雰囲気に流されて、テキトーな事を口にし、えー加減な文章を捏ね上げているだけなのか?

  ちなみに、私の場合、民主主義の事を、「何だか、おかしいぞ」と最初に思ったのは、もう、四半世紀も前の事です。 その頃、新聞の読者欄に載った一文の中に、「核兵器を、独裁国家が持つのに比べたら、民主主義国家が持つのは、遥かに危険が少ない」といったような事が書かれていて、「そんなの、変だろう。 独裁国家だからといって、好戦的とは限らんぞ。 逆に、アメリカは、代表的な民主主義国家だけど、しょっちゅう戦争を起こしているじゃないか」と思ったのが、そもそもの始まり。

  以来、民主主義を礼賛した事は一度も無く、民主主義の価値を認める事はあっても、「絶対的に、正しい」というような扱いをした事はありません。 今の風潮を見て、「ようやく、時代が、俺に追いついて来たか」といった感じで、正直、小気味いいのですが、所詮、小気味いい程度に過ぎず、心から喜んでなどいません。 もともと、民主主義は不完全な物だと思っていたところへ、不完全である事が世間で認められたというだけで、憂鬱である事に変わりは無いのです。

  長年、民主主義を眇で見て来た者が、「民主主義は、駄目だ」と言うのなら、問題は無いのです。 ところが、今になって、民主主義を批判し始めた連中というのは、長年、民主主義を手放しで礼賛して来たやつらなんですな。 これが、腹が立つ。 一体、どういう資格があって、澄ました顔で、乗り換えてくるのか、その神経が理解できぬ。

  また、面白い事に、この連中が民主主義批判を繰り広げた後に、決まってくっつけるのが、「民主主義を発展させるために、この壁を乗り越えていかなければならない」といった、無責任極まりない、結びです。 そういう事を言うのなら、どうやれば、民主主義の問題点を克服できるのか、具体的な対策を書けばいいと思うのですが、そんな物が書いてあるのを読んだ例しがありません。

  書けないのは、あーたり前!なのです。 民主主義の問題点は、手続きに時間が掛かる事にせよ、衆愚政治に陥る事にせよ、選挙が人気投票化して無能な政治家ばかり増える事にせよ、借金がどんどん増える事にせよ、全て、本質に関わるものであり、解決方法など無いからです。

  「本質に関わる問題点は、解決できない」というのは、真理でして、たとえば、自転車はバイクより遅いですが、その問題点を解決しようとしたら、エンジンを積むしかなく、それでは、もう自転車ではなくなってしまいます。 逆から言えば、その物の本質が変わってしまうような解決方法は、解決方法とは言えないのです。 これを民主主義に当て嵌めるなら、手続きに掛かる時間を短縮するために、全ての決定を議長に一任してしまったりしたら、それはもはや、民主主義ではないという事です。

  解決方法が無いのに、「壁を乗り越えろ」などと、簡単に言われたのでは、頭を使って真面目に考えている方が、馬鹿みたいですな。 「民主主義の発展」とやらが、可能だと言うのなら、せめて、方向性だけでも示して貰いたい。 どうすれば、人気だけの芸能人が政治家になるのを防げるのか、そのヒントだけでも教授していただけますまいか? 芸能人の立候補を禁止する? ふふふ・・・、だからさー、それはもう、民主主義じゃないよねえ。 分かるだろう? 「その物の本質を変えてしまうような解決方法は、解決方法ではない」と言った意味が。


  さて、頭の弱い人達を批判するのは、このくらいにして、肝腎の民主主義の行く末ですが、やはり、お先真っ暗だと思うのですよ。 文明度が上がれば上がるほど、暮らしが良くなればなるほど、科学技術への依存度が高まれば高まるほど、情報化が進めば進むほど、個々の人間の利害は一致しなくなって行きます。 人によって、求める事が違ってくるわけですな。

  「政府は、国民の声を聞け!」なんて書いている評論家や記者が、未だにうじゃうじゃいますが、その国民とは、一体、誰の事やねん? 国民の声は、一人一人、違うんだよ。 あんた、他人をみんな、馬鹿だと思ってんじゃないの? 馬鹿だから、付和雷同して、みんな同じ事を考えていると決め付けているんだろう。 馬鹿は、あんただぜ。 まず、自分の身近な人々を、よく観察しなよ。 たった3人集まっただけでも、言っている事はバラバラなのが分かるから。 「国民」の二文字で、一体、何人を括れるつもりでいるのかね?

  そういう時代に、民主主義などという、古典的なスタイルを押し通すのは、無理があると思うのですよ。 単に古いだけでなく、いつの時代であっても、実際の社会には、適用できないのではありますまいか? 理想的モデルとして、あくまで観念レベルで構想されたものであって、実用品ではない疑いがあります。 ≪ユートピア論≫よりは、多少、マシだったという程度で。

「では、これからの世界はどうなっていくのか?」

  分かりません。 全く、分かりません。 実際に、どうなって行くのか、生き続けて、自分の目で観察するしかありません。 現段階で言えるのは、「民主主義は、もはや、正解ではなくなった」という事だけです。 「民主主義さえ行なわれれば、何もかもうまく行く」と思っていたのは、過去の妄想だったという事になります。 


  ところで、≪アラブの春≫から始まり、≪○○を占拠せよ≫など、世界に広まった市民運動ですが、あれは、民主主義とは、何の関係もありません。 民衆運動と民主主義は、全然違うので、混同しないように。 よく、いるんだわ、「民」がついてりゃ、みんな、民主主義だと思い込んでる輩が・・・。

  有名な、≪フランス革命≫ですが、結果的に、民主主義に至る素地が出来たものの、革命そのものは民衆運動に過ぎず、別に、民主的に行なわれたわけではありません。 実態は、≪集団暴力ブーム≫ですな。 大抵、≪~革命≫と名が付く事件は、民主主義と直截の関係は無いです。 みんな、民衆運動。

  民衆運動を、民主主義と勘違いして、ホイホイ参加したりすると、えらい目に遭うので、注意が必要です。 どうしてもやりたいという人を止めはしませんが、警察に捕まって留置所にブチ込まれようが、軍隊に撃ち殺されようが、自分で始めた事ですから、結果も自分で受け入れて下さい。 ちなみに、あなた方を陰ながら煽ったマスコミ関係者の皆さんは、自分では絶対に、そんな運動に参加しません。 危険な事を知っているからです。

  そういえば、フェイス・ブックだの、ツイッターだの、「IT技術が、政治に影響を与えた」などと騒いでいる人が多いですが、あんまり、関係ないと思いますよ。 だって、フランス革命の時は、そんなもん無かったけど、同じ事が起こりましたからね。 「俺達には、ネットの繋がりがある!」なんて発想で奮い立っていると、自分だけでなく、友人・知人まで、危険な事に巻き込む恐れがあるので、よくよく考えてからするように。

  ≪アラブの春≫は、長期政権を倒した後、必然的に、民主化すると思われているようですが、民衆運動と民主主義は、必ずしもセットではないので、実際にどうなるかは、分かりません。 エジプトを見る限りでは、誰がお山の大将になるかで、混乱に陥っているようですが、フランス革命の後と、実によく似ていますな。


  ここのところ、ミャンマーで起きている、一連の政治的動きも、「民主化! 民主化!」と騒がれているものの、実際に民主化したのは、2010年の総選挙の時であって、現在行なわれている政治犯の釈放などは、指導者が、個人的方針として実行しているだけで、それ自体は、民主主義とは無関係です。 民主国家にも、政治犯はいますし、独裁国家であっても、指導者の考え一つで、政治犯が釈放される事はあります。

  まして、「アメリカと関係改善の動きが見られる」などというのは、民主化とは、それこそ、微塵の関係もありません。 アメリカは、自国に都合の良い政権であれば、独裁国家だろうが、民主国家だろうが、支持します。 その逆も然り。 嘗て、パレスチナのガザで、民主選挙が行なわれ、ハマスが圧勝したにも拘わらず、反イスラエル組織であったために、アメリカがハマス政権の正当性を認めなかったのは、記憶に新しいところ。

  民主化とは関係ないのに、民主化だと言っているのも滑稽ですが、それより何より、「ミャンマーの民主化の動きは歓迎すべき事だ」と、いやらしい上から目線で喜んでいる同じ人物が、ユーロ圏に対しては、「民主主義は、もう駄目だ」と言っているのが、由々しき問題です。

  自分で、変だと思わないのかね? 民主主義は、駄目なんだろう? ミャンマーが民主化するという事は、とりもなおさず、駄目な政治システムを取り入れようとしているという事ではないのかね? 駄目なものを、人に勧めたら、あかんやろ。 むしろ、止めるべきではないの? 「よしなさいよ、民主主義なんて。 どうせ、行き詰るんだから。 借金の山になっちゃいますよ」と忠告してやるのが、誠意ある態度というものです。


  ちなみに、フランス革命のその後は、御存知の通り、超独裁者のナポレオンは出るわ、王政復古するわで、民主主義はどこかへすっ飛んでしまいます。 フランスの民主主義は、その後も、一貫して不安定で、ナポレオン三世の帝政復活などは、どうにも時代錯誤な揺り戻しですし、第二次世界大戦中のドゴール亡命政権なども、民主主義とは無縁な成り立ちで、現在のフランスも、その無縁な政権の跡を継いでいると思うと、今後また、何が起こるか、分かったもんじゃありません。 

  イギリスは、≪ピューリタン革命≫や≪名誉革命≫で、現代に繋がる議会政治の基礎を築いた国のように自称していますが、あまり、買い被らない方がいいです。 その時代の、議会の構成員は、貴族や金持ち商人の事で、現代の民衆とは、全く違います。 「議会制=民主主義」ではないのです。 フランス革命の派手さを妬んで、自国の歴史をもっ繰り返し、民主主義っぽいところを引っ張り出して、自慢しているわけですが、あまりにも古臭過ぎて、比較するのも馬鹿馬鹿しい話。

  大体、それ以前に、現代に至るまで、君主制を残しているような国は、たとえ、議会制民主主義であっても、所詮、妥協の産物に過ぎず、純然たる民主主義国家とは言えませんな。 ごくごく身近な、どこぞの国も、そうですけど。 いつになったら、名前の後ろに、「様」を付けて呼ばなきゃならん身分が無くなるのかねえ。 国が滅亡するまで、無くせんような気もするが・・・。

  いや、そもそも、フランス革命は、民主主義とは関係ない民衆運動に過ぎないのですから、羨ましがるような事ではないですし、たとえ、民主主義であったとしても、その民主主義が、「もう、駄目」なのですから、羨ましがるのは、やはり、無意味な事です。

  「もう、駄目」というのは、「前は良かったが、今は駄目になった」という意味ではなく、「前は良いと思っていたが、実はもともと駄目であった事に、今になって気付いた」という意味です。 ふふふ・・・、長年信じられて来た価値の基準が変わるというのは、なかなかどうして、背筋が冷たくなるような、ゾクゾク感がありますな。

2012/01/15

バイク・タイヤ交換計画③

  12月24・25日の土日に前タイヤを交換し、26・27日の二日間、通勤に使いましたが、問題はありませんでした。 28日から連休に入りましたが、遅番明けで昼近くまで寝ていて、半日しかなかったのに加え、仕事の疲れが残っていたので、その日は、他の事をして過ごしました。 満を持して、結構予定日の29日を迎える事になります。


≪12月29日 木≫
  今日は、いよいよ、この連休のメイン・イベントである、バイクの後輪タイヤの交換です。 6時に起き、朝食。 その後、ネットのハウツー・サイトで、チューブレス・タイヤ交換方法のおさらい。 あまり、新しい知見は得られず。 とにかく、やってみるしかないか。

  8時頃から取り掛かりました。 前輪の時は、普段着のズボンでやって、油汚れをつけてしまったので、今回は、汚れてもいいように、仕事用の服を着ました。 手が痛くならないように、手袋も使います。 この辺りは、多少、経験値が上がった模様。 先週の土日ほど寒くなかったのは、幸いでした。

  外すタイヤは、5年乗った、ブリジストンの≪TRAIL WING-302≫。 新しく着けるタイヤは、IRCの≪GP-210≫。 サイズは、どちらも、120/80-18 M/C 62P TL。 最後のTLというのは、チューブレス(TUBELESS)の事。 ついでながら、チューブ・タイヤの事は、WT(WITH TUBE)と略すようです。 タイヤをネット上で、自分で買う時には、この記号に気をつけないと、ホイールに着かないタイヤを買ってしまう恐れあり。 もっとも、ホイールとタイヤが、どんな組み合わせであっても、チューブさえ入れてしまえば、使えない事は無いらしいですが。

  そういえば、前回、書き忘れましたが、前タイヤの銘柄も、後ろと同じでした。 外したのは、3年乗った、ブリジストンの≪TRAIL WING-27≫。 新しく着けたのは、IRCの≪GP-210≫。 サイズは、どちらも、2.75-21 45P WT。 チューブ・タイプなので、WTが付いています。 ≪TRAIL WING-27≫は、オフロード・タイヤでしたが、≪GP-210≫は、オフロード・バイク用のオンロード・タイヤです。


  という事で、作業開始。 エンジンの下にコンクリート・ブロックを積み、後輪を浮かせます。 後輪は、車軸のナットを外し、シャフトを引き抜けば、簡単に外れます。 前輪の時と同様に、コンクリートの床にダンボールを敷いて、新しいタイヤを置き、その上に後輪を載せます。 後輪の場合、片側には、ブレーキ・ディスクが、もう片側には、ドリブン・スプロケットが付いていて、どちら側も出っ張っていますから、床から浮かせるのは必須。

  まず、バルブの虫を虫回しで外し、空気を抜きます。 次に、ホイールからタイヤのビードを落とすのですが、これが強敵。 タイヤ・レバーでこじ開けるだけだと、全く落ちません。 サイトの指示通り、少しずつ開いて行くのですが、一周やっても二周やっても、変化は見られません。 そもそも、「開いて行く」と言っても、「そういうつもりで、やっている」というだけで、目で見る限り、隙間が開いているように見えないのです。

  ちなみに、ビードというのは、タイヤがホイールに嵌り込む部分で、中にワイヤーの輪が通っています。 チューブ・タイヤでは、空気を抜いただけで、簡単に外れるのですが、チューブレスだと、ビード部分がホイールに密着する事によって、空気を逃がさない構造なので、がっちり嵌り込んでおり、まず、それを外さないと、タイヤをホイールから外せないのです。 この、ビードを外す行為を、「ビードを落とす」と言い習わしているらしいです。

  やむなく、庭のプレハブと、ブロック塀の基礎の間に車輪を置き、ジャッキを咬ませて、タイヤを挟み込んでみました。 それでも外れないので、父の車を持って来て、車の重さでビードを落とそうと思ったのですが、何と、車の最低地上高が低過ぎて、タイヤを置くと、ジャッキを入れる隙間がありません。 これは、最初に思いついたアイデアで、ネットの質問掲示板でもこの方法を薦めている回答者がいましたが、とんだ机上の空論でした。 いや、車にもよるのか。 クロカン車なら、いけるのかもしれません。

  「ビード落としの段階で、バイク屋かスタンドに頼まなければならないのか」と思い、この時点にして、真っ青です。 「ビードだけ落として貰って、また、持って帰って来るというわけにはいかないだろうか・・・」などと、あれこれ想像するにつけ、気分は憂鬱になって行きます。 単にタイヤ交換ができればいいというわけではなく、これは、イベントであり、チャレンジでもあるので、諦める事、イコール、敗北を意味するのです。

  しおしおと、プレハブ横に戻り、ブロック塀側にボックス・レンチを挟んで、先端圧を高めたら、ようやく、片側の一箇所が落ちました。 ビードが落ちると、タイヤとホイールの間に隙間が開くので、はっきり分かります。 広い所に出して、手でタイヤの横腹を押すと、簡単に、一周全て落ちました。

  タイヤを引っ繰り返して、逆側も同じようにしましたが、今度はなかなか落ちません。 何度かやり直して、ぎゅうとこら押し潰したら、明らかにビードがリムの底の方まで下がり、ようやく落ちました。 なぜか、先端圧が高いボックス・レンチ側よりも、ジャッキの底面が当っている方が落ちます。 そういえば、専用器具であるビード・ブレーカーも、落とす方は、横に広い部品がついています。 ある程度、面積が広い物で押した方が、外れ易いのでしょう。 まあ、とにかく、落ちてくれたのは、めでたいです。

  タイヤを外すのが、また一苦労。 昨晩、食品トレイのスチロールで作ったキズ防止カバーは、一瞬で割れてしまい、代わりにビニール・テープやクラフト・テープを貼ったのですが、これもすぐ破れました。 話にならぬ。 やむなく、キズ覚悟で、どんどん進めます。 片側外すだけでも、大いに手こずったのですが、もう片側もなかなか外れず、ほとほと、往生しました。 ホイールはキズだらけ。 20分くらいで、何とか、タイヤは外れましたけど。

  休むのももどかしく、すぐに、新しいタイヤを嵌めに掛かります。 これも、両側とも、えらい苦労しました。 ビードが入る部分には、極力、キズをつけないようにしたかったのですが、最後には、そんな事は言っていられなくなり、力任せに押し込みました。 全部入れた後で、タイヤの黄色マークを合わせ忘れた事に気付き、愕然! しかも、角度もあろうに、180度ズレています。 一番遠いではないか。

  黄色マークは、タイヤの最も軽い所で、それをバルブの位置に合わせる事で、重さのバランスを取るのです。 何とか、直さねば・・・。 タイヤが着いた状態で、ホイールを回して行くのですが、ビードがホイールに部分的に嵌ってしまって、なかなか回らず、 またまた往生しました。 腕が折れるのと、肩が抜けるのと、どっちが先かと思うほど、力を使って、ようやく合わせました。

  とりあえず、自分でできるのはここまでです。 ビードをホイールに嵌め込むためには、内側から圧力を掛けるしかなく、エア・コンプレッサーが必要なので、ガソリン・スタンドへ持って行かなければならないのです。 ある意味、これが、チューブレス・タイヤを自分で交換する際の最大の難関と言えるかも知れません。 家じゃできませんから。

  ちなみに、この、ビードを嵌める行為の事を、「ビードを入れる」と言い習わしているようなのですが、面白い事に、同じ行為を、「ビードを出す」と表現している人もあり、「入れる」と「出す」が、同じ意味で使われている、珍しいケースとなっています。 問題の原因は、タイヤの形状が複雑な事にあり、ビードは、確かに、「入れる」ものなのですが、入れる方向がタイヤの外側に向いているので、「出す」と言っても、間違いではないのです。 しかし、これでは、混乱する人も多い事でしょう。 特に、「ビードを出す」という言い方を、「ビードを落とす」の意味に取ってしまう人は、かなり、いると思われます。

  話を戻します。 エア・コンプレッサーは、小さい物なら、1万円くらいで売っているらしいのですが、タンク容量が小さいと、ビードが入らないケースがあるらしく、そんな当てにならない物に、お金は掛けられません。 大体、しょっちゅう、タイヤ交換をする人ならともかく、私は、今後もバイクに乗り続けて、タイヤをマメに換えるとしても、3年に一度くらいしか使わないわけで、そんなに長く放置していたら、機械が壊れてしまいます。

  コンプレッサーの購入は問題外として、何とか、代用品を工夫して、家でビード入れができないものかと思い、「車のスペア・タイヤを持って来て、ホースでバイクのタイヤに繋ぎ、一気に空気を送り込めば、コンプレッサーと同じ効果が期待できるのではないか?」などとも考えていましたが、空気が漏れないようなホースを用意するには、また、お金が掛かってしまいそうなので、やめておきました。

  さて、そういう問題があるビード入れ作業なのですが、「タイヤを嵌めている時点で、部分的とはいえ、自然にビードがタイヤに入ってしまうくらいならば、足踏みポンプでも、そのまま空気を入れられるのではないか?」と思えて来ました。 とりあえず、入れてみると、1kpaくらいまで入りました。 お、いけるのか? しかし、全周は入らず、一部分だけ落ちたままです。 やっぱり、駄目か。

  ここで、近所のガソリン・スタンドに電話。 前に、車の廃タイヤを引き取って貰った店です。 「バイクのタイヤでも、引き取ってくれますか」と訊くと、「いいですよ」との返事。 値段は、車と同じで、一本、315円。 そのついでに、エア・コンプレッサーを借りようという算段です。 この時点で、11時ちょい過ぎ。

  と、その時、ふと思い出しました。 新品タイヤに付いていた注意書きに、「ビードを入れる際の空気圧は、4kpaまで」とあったのです。 足踏みポンプで、1kpaまで入ったのなら、そのまま、4kpaまで入れれば、ビードが入るのではありますまいか? とりあえず、試してからでも遅くはないと思い、やってみました。 すると、どうでしょう、2kpaまで入れたら、「ビン!」という音がして、片側が入ったではありませんか! 更に、しばらく入れ続けると、また、「ビン!」という音がして、もう片側も入りました。 これは嬉しい! お金を取られないかビクビクしながら、スタンドで頼まなくても、よくなったのです。

  空気が入り易いように、バルブに虫を入れてなかったので、一旦、空気を抜いたのですが、空状態でも、ビードは、しっかり嵌っています。 これなら、OK。 バルブに虫を入れて、空気を入れ直しました。 この時点で、11時半。 このまま、しばらく置いて、空気が抜けないか、様子を見る事にします。 その間に、黒の塗料で、キズついたホイールを修復しました。

  ここで、昼飯。 30分後、確認しましたが、空気は抜けていません。 よしよし。 後輪を車体に取り付けます。 後輪は、前輪と違って、チェーンを掛けなければならないものの、タイヤ交換の難儀に比べたら、車輪の組みつけなんぞ、遊びのようなものです。

  古タイヤを車に積んで、ガソリン・スタンドへ。 年末の事とて、かなり、混んでました。 二本で、630円。 もちろん、こちらが払います。 店員が、領収書を切ってくるといって、建屋に入ったのですが、なかなか出て来ません。 時間が掛かった理由は、≪廃タイヤ引き取り≫の項目がレジに無かったかららしいです。 「洗車名目で切りましたが、いいですか」と訊くので、「いいです」と答えて、帰って来ました。 幹線道路も、大変混んでいました。

  帰ると、今度は、バイクの試し乗りに出ました。 混んでいる道を避け、前輪の時とは違うコースを、2キロくらい。 オンロード・タイヤに変わって、乗り心地がどうこうというより、エンジンがなかなか安定せず、最初の1キロくらいは、ガタガタ言ってました。 一旦、ディスクを外した、リア・ブレーキの利き具合も確認。 まあ、あんなもんでしょう。 ここで、2時20分くらい。 体力を著しく消耗したので、あとは、夕飯まで寝ていました。

  連休最大のイベントでしたが、タイヤ交換と、ビード入れ、古タイヤの処分まで、一気に済ませられたのは、よかったです。 それにしても、足踏みポンプで、ビードを嵌められたのは、大変な幸運でした。 ハウツー・サイトの記述でも、質問掲示板の回答でも、「手動のポンプでは、絶対無理!」と断言されていたので、まさか、入るとは思いませんでした。 あとは、何日か様子を見て、空気が抜けなければよいのですが。


  以上で、タイヤ交換の日記は終わりです。 前輪に比べると、後輪は、スムースに進んだと言えますな。 交換作業自体は、半日で終わってしまいましたから。 「チューブレスの交換は、チューブ・タイプより、簡単」という言葉を、ネット上で何度か目にしましたが、確かに、そう言えないでもなし。 ただし、ビード落としと、ビード入れは、専用の機械が無い場合、やはり、難しいと思います。 不可能ではないと言うだけで・・・。

  全て終わった後で思いついたんですが、車を重石にして、ビードを落とす場合、まず、車をジャッキで持ち上げてしまってから、タイヤを車体の下に置き、板切れなどを咬ませて、車を下ろしていけば、うまく行くかもしれません。 次の機会には試してみる事にしましょう。 いつになるか、分かりませんけど。

  本当は、車輪の重心を平均させるために、≪バランス取り≫という作業もしなければならないのですが、私の場合、時速70キロまでしか出さないので、黄色マークを合わせるだけにして、それ以上、細かい事はやりませんでした。 ハウツー・サイトの記述によると、黄色マークすら合わせなくても、別段、走りに変化は無いとの事。 私も、数回乗った限りでは、ブレのようなものは、全く感じていません。


  最後に、そもそも、なんでまた、「自力でタイヤ交換しよう」などと考えたかと言いますと、お金が惜しかったのもさる事ながら、他に、バイク屋に持って行きたくない事情があったのです。 過去ログに、≪激怒誘発店員≫という文章があるので、それを読んで貰えば、詳しい事が分かりますが、行きつけのバイク屋に、嫌な女店員がおり、そいつと接触したくなかったのです。

  「虚仮の一念、岩をも通す」と言うと、些か用法違いの気がありますが、その女の顔を見るのが、我慢できないほど嫌だったため、「どうにかして、バイク屋に行かずに、タイヤ交換の危機を乗り越えられないか」と、知恵を絞り、粉骨砕身したわけですな。 「そうまで嫌がる女店員というのは、どんな奴なのか、一度見てみたい」などとは、ゆめゆめ思ってはいけません。 二言三言、言葉を交わしただけでも、心的外傷ストレスを被るのは避けられませんから。

  でも、結果的には、自分で交換したお蔭で、お金は、半額以下で済みました。 工具の新規購入は一つも無かったから、タイヤ代と代引き手数料だけで、合計13185円しか使いませんでした。 バイク屋に頼めば、工賃込みで、28000円ですから、この差は大きいです。 しかも、勤め先の福利サービスに、「タイヤ代補助」という項目があり、領収書を提出すれば、半額補助して貰えるので、実際に使った金額は、6500円程度という事になります。 おいし過ぎか。

  もし、また、同じ事をやる機会があったら、ホイールに当てる、≪キズ防止カバー≫だけは、買ってみようと思います。 高くても、500円くらいですから。 他に、今回の経験から導き出せる教訓はと言うと、ビード・クリームは、ハンド・ソープで、完全に代用できます。 虫回しは、絶対必要。 350円くらいです。

  タイヤ・レバーは、25センチくらいの物が一本あれば、後は自転車用の短いのでも何とかなります。 ただし、長いのが二本あれば、もっとやり易くなるのは確か。 同じタイヤ・レバーでも、丸棒タイプと、板タイプの二種類がありますが、丸棒の方が、隙間に突っ込んだ状態のまま、くるっと回して、ヘラ部分の向きを変える事ができるので、便利です。 どちらも、500円くらいです。 車を持っている場合、車載工具に入っていないか、調べてみる価値あり。

2012/01/08

バイク・タイヤ交換計画②

  前回、バイクのタイヤの自力交換を思い立ったところから、やり方を調べ、ネットでタイヤを購入し、道具を揃え、準備が整ったところまで記しました。 今回は、いよいよ、本番です。

  本来、冬の連休のイベントとして用意した計画だったのですが、タイヤが届いたのが12月22日で、連休は28日からと、かなり間があり、連休前に、24・25日の土日が挟まれていたので、待ちきれずに、前輪だけ、土日にやってしまう事にしました。

  なぜ、前輪からかというと、後輪はチューブレスで、ビードを落としたり入れたりする作業が未経験なのに対し、前輪はチューブ式なので、自転車の経験から、与し易しと見たからです。 後輪の予行演習のつもりで、前輪を先にやってみようとしたと言ってもいいです。

  チューブ式タイヤに関しては、バイクでも、経験がありました。 タイヤ交換ではなく、パンクの修理なのですが、最初に買った50ccのオフロード・バイク、≪ヤマハ DT50≫の後輪が、しょっちゅう、パンクしていたので、車輪を車体に着けたままの状態で、タイヤの片側だけ外し、チューブを引き出して、穴を塞いでいたのです。

  スクーターに乗った事がある方は、身に染みて御存知だと思いますが、50ccの原付だと、制限速度の関係から、車を避けて路側帯を走らざるを得ないので、異物を踏む事が多く、パンクは日常茶飯事です。 歩道を走れる自転車以上に、よく起こります。 私がDT50に乗っていたのは、きっかり一年間だけですが、5・6回はパンクしたと思います。 遠出した先でも、容赦なく発生するので、空気入れを含む、パンク修理セット一式を、常に持ち歩かねばならず、大変でした。

  ちなみに、225ccに乗り換えて、車の流れについて行けるようになり、道路の中ほどを走れるようになってからは、15年間で2回しか、パンクしていません。 いかに、路側帯が、タイヤに有害かが分かろうというもの。 そういえば、警察が、自転車を車道に締め出そうとしていますが、これからは、パンクする自転車が激増して、自転車屋が大繁盛する事でしょう。

  も一つちなみに、自転車でも、バイクでも、パンクするのは、ほとんど、後輪です。 バイク世界の言い伝えで、「路上に横になっている釘を、前輪で踏んで起こしてしまい、そこへ後輪が行くので、後輪ばかりパンクする」という分析がありますが、どうも胡散臭い話で、そうそう都合よく、刺さる角度に跳ね上がるとは思えません。 「乗車位置の関係で、後輪側に重心が掛かるので、タイヤが潰れて接地面積が大きくなり、釘を拾い易くなる」というのが、本当の原因ではないでしょうか。

  で、そのDT50のタイヤですが、車体に車輪を着けたまま、外していたくらいですから、よほど、外し易かったんでしょうなあ。 その代わり、タイヤを入れる時に、チューブを噛み込んで、自分で穴を開けてしまうというのも、何度かやりました。 しまいには、チューブが塞ぎ跡だらけになり、パンクしていないのに、少しずつ空気が漏れてしまうという、最悪の状態に・・・。 いや、下取りに取って貰う時には、正直に、「チューブが、もう駄目です」と申告しましたがね。

  前置きは、このくらいにして、今回のタイヤ交換の話に移りますか。 例によって、日記形式で。


≪12月24日 土≫
  今日は、寒かったです。 朝、起きたものの、寒過ぎて活動できず、二度寝。 10時にようやく起き出して、布団を干し、犬と散歩に行き、部屋の掃除をして、それから、バイクに取り掛かりました。

  午前中は、オイル交換。 去年は、夏以降、岩手応援で3ヵ月乗りませんでしたし、今年は震災休業で、春先2ヶ月くらい乗らず、夏には、修理のついでに、バイク屋でオイル交換してもらったので、自分でやるのは、1年4ヶ月ぶりです。 しかし、手順を忘れるほど、複雑な作業ではありません。

  ざっと書きますと、①エンジンを一分間掛けて暖める。 ②エンジン下に受け皿を用意する。 ③エンジンの底に付いているドレン・ボルトを外して、オイルを抜く。 ④ドレン・ボルトを締めて、新しいオイルを少なめに入れる。 ⑤エンジンを一分間掛けて、オイルをエンジン内に回す。 ⑥10分待ってから、オイルの量を見て、足りなければ足す。 ⑦廃オイルに、≪廃油ポイ≫を入れて吸わせ、新聞紙に包んで捨てる。 といったところ。 エンジン内の古いオイルを、全部出し切るというのでなければ、1時間くらいで終わります。 こちらは、昼までに、ほぼ終了。

  昼過ぎから、メイン・イベントの、タイヤ交換に取り掛かりました。 作業場は、玄関前のカー・ポートの下です。 まず、前輪を浮かせなければなりません。 エンジンの下に、コンクリート・ブロックを積み、微調整に板切れを挟みます。 前側を持ち上げるために、車体フレームの下側先端あたりに、板切れが来るように按配しました。 特別なスタンドが無くても、こういうところは、工夫次第で何とかなります。 バイクの場合、人力でも傾ける事ができるので、ジャッキは必ずしも必要ではないです。 ただし、ジャッキを使えば、微調整も兼ねる事ができます。

  前輪が浮いたところで、車軸のアクスル・シャフトのナットを緩めます。 ナットを緩めると、シャフト自体も回ってしまいますから、シャフト側にもレンチを掛けて、押さえながら、ナットを緩めます。 車軸のナットは、以前は、キャッスル・ナットといって、城壁の上の部分のように、片側に凸凹をつけたナットが使われていました。 凹の部分を通して、車軸の穴に割りピンを挿し、ナットが緩んでも、脱落しないようにするためです。 しかし、今は、緩みにくい作りのロック・ナットになっているので、ただ、緩めていけば、簡単に外れます。

  自転車の場合、車軸はホイールについたまま外しますが、バイクでは、アクスル・シャフトが抜けるようになっているので、自転車より、構造が単純です。 厄介なのは、ブレーキ・ディスクも車輪にくっついているので、パッドから引き抜く時に、引っ掛かる事。 私のバイクは、10年選手の事とて、かなり、ディスクが減っているのですが、パットが当らない周縁部だけは元の厚さなので、なかなか抜けず、結局、パッドまで外れてしまいました。 これは、まあ、後で、どうにかすればいいです。

  前輪の場合、車軸部に、速度計と距離計の端末も着いているのですが、これは、想像していたのより、ずっと単純な機構で、車輪を外すと、自然に外れてしまい、着ける時にも、ただ、シャフトを通してやればいいだけらしいという事が分かり、ホッとしました。 全般的に見れば、車体から車輪を外すところまでは、思っていたより簡単でした。

  さて、肝腎のタイヤ外しです。 まず、コンクリート床の上にダンボールを敷きます。 次に、新しいタイヤを敷き、その上に、車輪を載せます。 なぜ、そんな事をするかというと、前輪にはブレーキ・ディスクが出っ張っているので、その分を床から浮かせなければならないからです。 新聞紙の束を三方に置き、その上に車輪を載せるという手もあるようですが、新聞紙の束を作るのが面倒だったので、新しいタイヤを敷く方にしました。

  自転車や原付の経験が応用できるだろうと踏んでいたんですが、いざ始めてみると、とんだ当て外れで、全く勝手が違いました。 手強い、手強い! 旅を始めた途端、ラス・ボスに出くわした感じ。 ホイールにキズがつかないように、レバーにセロテープをぐるぐる巻いてから始めたんですが、敢え無く、焼け石に水。 すぐにボロボロになって、剥げ落ちてしまいました。 もちろん、ホイールは、キズだらけです。

  孤軍奮闘、悪戦苦闘、七転八倒、こんなに体力を使ったのは、久しぶりです。 年寄りがやる仕事じゃありませんな。 冬で良かった。 夏なら、汗みずくになっていた事でしょう。 最初は、全く、外れるような気がしませんでしたが、レバーで、強引にグリグリやっていたら、少しずつ外れていきました。 どうやら、外す時には、チューブをキズつける事は無いようです。

  古いタイヤの片側を外したら、チューブを取り出し、チューブだけの状態で、空気を入れてみます。 この時点では、穴は開いていません。 気になったのは、バルブの根元の所が、錆びていた事です。 長い年月の間に、バルブ周囲の穴から、水が入ったんでしょうなあ。 しかし、水を張ったバケツに入れてみると、空気漏れはしてないようなので、そのまま使う事にしました。 チューブは、空気を入れたまま、放置しておき、少しずつ漏れていないか、確認します。

  そしたら、古いタイヤのもう片側を、ホイールから外します。 これも、てこずりましたねえ。 自転車のタイヤなら、素手でも外せるのですが・・・。 ワイヤー・カッターで、ビード・ワイヤーを切ってしまうという手もありますが、そこまで追い込まれる前に、何とか、外す事に成功しました。

  タイヤとホイールが分離したら、今度は、古いタイヤを下に敷いて、その上で、新しいタイヤにホイールを入れます。 まずは片側から。 入り易いように、ハンド・ソープをビード部分に塗ります。 半周くらいは、簡単に入るだろうと踏んでいたんですが、これまた当てが外れ、4分の1も素直に入ってくれません。 新品タイヤは、コチコチに硬くて、見るからに入るような気がしないから、どんどん不安メーターの針が上昇して行きます。

  四苦八苦の試行錯誤の挙句、入った所を足で押さえつつ、スポークを引っぱりながら、タイヤの側面を押せば、入っていく事を発見しました。 発見できなかったら、バイク屋に泣きつくしかなかったでしょうなあ。 もう、ヒヤヒヤの連続で、綱渡り状態です。

  片側を入れたら、チューブを入れ、車輪を引っ繰り返して、もう片側を納めて行きます。 これが、またまた・・・。 ハウツー・サイトの説明では、「タイヤを入れる時は、チューブを傷つけないように、極力、素手で入れろ」とありましたが、素手なんぞで、入るもんですか。 レバーを使っても、鼻血が出るほど、苦労しました。

  しかも、最終的には、失敗したというから、笑ってしまうじゃありませんか。 完了後、空気を入れたのですが、エア・ゲージを持って来て、バルブに押し当ててみても、反応しません。 「長い事使わなかったから、ゲージが壊れたのか?」と思い、後輪のバルブに押し当てると、こちらは、ちゃんと針が動きました。 再度、前輪でやってみると、また無反応・・・。

  「バルブが壊れたのかな?」と思いつつ、何の気なしに、タイヤの側面に手を載せてみたら、妙に柔らかい。 うわっ、やっちまった! バルブじゃねえや! 空気が抜けてやがるのです。 あまりの事に、俄かには失敗を信じる事が出来ず、呆然としていました。 渦巻く、脱力感の嵐。 これだけ苦労したにも拘わらず、結局、駄目というのは、最低に割に合わない感じです。 神も仏も、あったもんじゃない。 うーむ、バイクの整備士というのは、凄い仕事を、日常的にこなしているのだなあ。

  タイヤを入れる時に、レバーでチューブを潰してしまった可能性が最も高いですが、バルブの根元の錆びていた所が壊れたのかもしれません。 いずれにせよ、タイヤの片側を外して、チューブを出してみなければ、原因は分かりませんな。 もう一回、地獄の作業をやり直すと思うと、頭がくらくらして来ます。

  その時点で、もう日暮れが近くなってしまったので、今日はそこまでにして、片付けました。 明日、もし、何とかならなかったら、来週二日残っている出勤日は、父の車を借りていくしかありません。 できずじまいで、片付けをするというのは、実に後味が悪いものですな。 土曜の夜を迎えるというのに、ちっとも、気分が昂揚しません。


≪12月25日 日≫
  朝の8時から、バイクの前タイヤのやり直し。

  寒い中を、ひいひい言いながら、ホイールからタイヤの片側を外しました。 多少は経験値が上がっているはずなんですが、昨日より楽とは感じませんでした。 チューブを引き出して、空気を入れると、バルブから20センチくらいの所に穴が開いていて、スースー漏れています。 やはり、レバーでチューブを噛んだ模様。 自転車用パンク修理セットで塞ぎました。 チューブの修理方法は、バイクも自転車も同じです。

  水に浸けて、チューブから空気が漏れていない事を確認し、またタイヤに押し込みます。 チューブはともかく、タイヤをホイールに押し込むのは、また大変な骨です。 ビードに塗ったハンド・ソープが、ヌルヌル滑って、力が入りません。

  一度外したためか、昨日よりは入り易くなっていて、4分の3くらいは素手で入れる事ができました。 残る4分の1は、レバーを使いましたが、チューブを噛むのに懲りて、タイヤの中に差し込んだレバーの先端を、もう片方の手で探り、チューブに当たらないように按配しながら入れました。 このやり方は、ハウツー・サイトに載っていたのですが、文章を読んだだけでは理解できず、自分でやってみて、ようやく、どういう事なのか分かりました。

  タイヤを入れ終えて、空気を入れ、ゲージで測ってから、様子を見ます。 30分後、もう一度、ゲージで測ると、同じ値で、ホッとしました。 どうやら、新しい穴は開いていない様子。 本来なら、昨日の内に終わっていた工程まで、ようやく、戻って来ました。 と、安堵したのも束の間、この後、思わぬ伏兵から奇襲を被る事になります。

  昨日、車体から車輪を外す時に、ブレーキ・ディスクが引っ掛かって、パッドが外れてしまったと書いたのを覚えているでしょうか。 「まあ、後で、どうにかすればいいです」などと、その時は、お気楽に構えていましたが、これが、とんでもない事になってしまいました。

  普段やっているパッド交換の要領で、ブレーキ・キャリパーを外そうと思ったら、六角ボルトが緩みません。 六角レンチを、ハンマーで叩いても駄目、足で蹴っても駄目。 前回、こんなに強く締めた覚えは無いのですが、どうした事か。 やむなく、レンチにバールを針金で巻き付け、ストロークを長くして、力任せに体重を掛けたら、最悪の事態、ボルトの六角穴をナメてしまいました。 角が無くなって、レンチはクルクル回るばかり。

  今回、何度目の顔面蒼白でしょう。 これは、非常にまずい状態でして、六角ボルトをナメてしまうと、バイク屋でも直せず、専門の業者に頼まなければなりません。 以前、後ろブレーキでやってしまった時には、5000円くらい、取られています。 冗談じゃないですよ。 安く上げるのが目的で、自力タイヤ交換に挑戦したのに、なんで、タイヤと直接関係ない箇所で、5000円も払わなきゃならんのよ。

  沈思黙考する事、数分・・・。 「キャリパーの方には手をつけない事にし、パッドだけ、外れたのと逆の手順で着けられないだろうか?」と、思いつきました。 外れたという事は、同じ経路で着ける事もできるはず。 で、あれこれやってみた所、一応、収まる所には収める事に成功しました。

  問題は、ディスクを入れる隙間を開けられるかどうかです。 あまり期待せずに、自転車用の細いタイヤ・レバーを、左右パッドの間につっこみ、梃子の原理で開いてみたら、あら、意外! 簡単に開いて行くじゃありませんか。 侮るべからず、梃子の原理! 神も仏も無いけれど、アルキメデスはいたわけだ。

  すかさず、車輪を持って来て、パッドの間にディスクを挟み込み、速度・距離計の端末をセットし、シャフトを入れました。 ロック・ナットを締め付けて、よっしゃあ、できたあ! キャリパーのボルトが外れなくなった事に変わりはありませんが、今後、パッドを換える時には、タイヤを外せば何とかなる事が分かったので、まあ、それでいいとしましょう。

  バイクを押して、ブレーキのチェック。 最初は、スカスカで、全く効かず、またまたまた青くなったものの、何度か掛け直している内に、効くようになりました。 やれやれ、どこまでも、ヒヤヒヤさせてくれる。 タイヤ交換というのは、精神衛生によくない作業だったんですねえ。

  これで、とりあえず、作業は終わりです。 朝8時から始めて、終わったのは11時15分と、3時間15分も掛かりました。 昨日、3時間掛けていますから、合計6時間15分。 時給千円としたら、6250円。 バイク屋の工賃が4000円というのも、さほど、ボッタクっているわけではないのか・・・・。 もっとも、整備士だったら、タイヤ交換は基本中の基本なので、1時間も掛からないと思いますけど。

  道具を片付けて、近所を試し乗り。 2キロくらい走りましたが、問題無し。 オフ・ロード・タイヤから、ロード・タイヤに変わったので、乗り心地が幾分滑らかになったような気がしますが、それは気のせいかもしれません。 今までも、磨り減って、ツルツルでしたからのう。

  レバーで力任せにタイヤを外し入れしたせいで、ホイールに、かなりの数のキズをつけてしまいました。 アルミだから、錆びる事はないのですが、見栄えは悪いです。 「100円ショップで、塗料を買って来ようか」と、つらつら検討していたところ、机の引き出しの奥に、20年くらい前に買った黒の水性塗料がある事を、辛うじて思い出しました。

  小さなガラス瓶にプラスチックの蓋がついている容器なのですが、使わない内に、蓋が取れなくなってしまい、そのまま、しまいこんでいた物。 蝋燭の火で、しつこく炙ってみたら、蓋が溶けかけたところで、ようやく、開きました。 筆が無いので、爪楊枝の先を潰して、筆にし、ホイールのキズを塗りつぶしました。 よしよし、これで、タイヤ代以外、一円も使わずに、タイヤ交換できたぞ。

  とりあえず、走れる状態に戻せて、心底、安堵しました。 これで、あと二日、バイクで通勤できます。 後輪の交換がまだ残っていますが、それは、連休に入ってからにします。


≪12月27日 火≫
  土日のタイヤ交換で、普段使わない筋肉を使ったのですが、日曜の夜までは何とも無かったのに、月曜になったら、内股が痛くなり、火曜になったら、右の鎖骨や肩が痛くなり始めました。 やはり、年寄りがやる作業ではありませんなあ。

   バイク屋の工賃4000円を、今までは、ボッタクリだと思っていましたが、自分でやってみたら、そのくらい取っても、全然おかしくないと思えて来ました。 というか、もし、私が人に頼まれたとして、4000円では、とても、やる気になりません。

  連休に入ったら、いよいよ、チューブレスの後輪に取り掛からなければならないんですが、前輪以上に手強いと思うと、今から気が重いです。 これが、この連休のイベントとは、あまりにも、マゾヒスティック過ぎはしますまいか? いや、やりますけどね。 タイヤも買ってしまった事ですし。


  以上、前タイヤ交換の顛末でした。 ちなみに、24・25日の土日は、記録的に気温が低く、そんな中で、一日半も屋外作業をしていたために、体が冷え切ってしまいました。 日曜の午後は、どこへも行かずに、ベッドで寝ていましたが、夜になっても震えが止まりません。 月曜になって、仕事が始まったら、何とか、復調しましたけど。 たぶん、低体温症という奴に掛かっていたんでしょう。

2012/01/01

バイク・タイヤ交換計画①

  さて、新年の元日ですが、これを書いているのは、旧年の大晦日です。 年が暮れるのですから、2011年の総括でも書くべきなのでしょうが、今年は、社会的に、重大な出来事があったので、そういう事は、誰でも書いていると思われ、私が書いても、似たような内容にしかならないので、やめておきます。

  で、思いっきり、個人的な事ですが、2011年の12月に熱中した、バイクのタイヤ交換の顛末を紹介しましょう。 思い立ってから、実行するまで、二十日くらい掛かっており、回想形式で書くと、臨場感が無いので、日記形式で書きます。 いや、白状しますと、日記の方から移植したわけですが、加筆部分が多いので、日記そのものではないです。


≪12月9日 金≫
  専ら通勤に使っているバイクのタイヤが、前後ともツルッツルで、いつ転倒してもおかしくない状態なのですが、バイク屋に頼むと、工賃だけでも、4000円から5000円は取られるので、二の足を踏むところ。 で、先日、折自のタイヤ交換に成功した事に味を占め、「バイクも自分でやれぬものか・・・」と密かに企み始めました。 

  調べてみると、タイヤそのものは、ネットで買える様子。 しかも、バイク屋のタイヤより、明らかに安いです。 問題は、交換方法で、前輪はチューブ式なので、何とかできるような気がしますが、後輪のチューブレスは、相当手強そうです。 特に、新品を嵌める時のビード入れが、エア・コンプレッサー無しでは、困難だとの事。

  タイヤを買ったはいいが、失敗して入らなかっただの、リムを傷つけて、ホイールを駄目にしてしまっただのという事態に至ったら、最悪にして、超悲惨ですな。 やはり、餅は餅屋に任せるべきか。 ろくに工具も持っていない事だし。

  バイクは、ほとんど、通勤にしか使っていないのですが、勤め先の工場が、事によったら、数年以内に休止か閉鎖になる可能性があり、そうなったら、他の工場のある土地へ移住するにせよ、会社を辞めるにせよ、バイクには乗らなくなるわけで、あまり、お金を掛けたくないのです。

  タイヤ交換も、これが最後になると思えば、バイク屋に工賃を払っても、それほどの損とは感じないかもしれませんな。 何と言っても、何もしなくていいので、楽だし。 自分でやると、汗みずくになるくらい、疲れるらしいです。 それに、タイヤがちゃんと入っているかどうか、ビクビクしながらバイクに乗るのも、精神衛生に悪いですけんのう。


≪12月10日 土≫
  バイクですが、今日清掃をしたら、タイヤよりも、エンジンのオイル漏れの方が重大問題に思えてきました。 漏れというより、滲み出しですが、一度、修理に出しているにも拘らず、別の箇所から、またジワジワと滲み出して来ています。 これはつまり、ドリフの箪笥ギャグであって、一箇所塞げば、圧力が高まって、他の箇所から出て来るのでしょう。

  エンジンの寿命が尽きかけているのは、否定のしようがないところです。 出費を惜しまず、部品をどんどん換えれば、復調させる事は不可能ではないですが、そんなお金があったら、新車を買った方が、合理的でしょう。 新車にしてしまえば、タイヤ交換の必要もなくなるわけですし。 しかし、新車を買うほど、今後長く乗るとは思えないのです。 ううむ、ジレンマだ。


≪12月11日 日≫
  今日は、折自で出掛けて、バイク用品店や車用品店を回り、タイヤ・レバーを見て来ました。   4軒回りましたが、内、3軒は無し。 オートバックスにも無いとは、驚きです。 自分でタイヤ交換をする人が、それだけ少ないという事なんでしょうなあ。 唯一あった店の物は、グリップ付きで、1450円。 高いな。 ネットだと、板状のが、500円くらいであるんですがねえ。 ただし、ネットで買うと、送料その他が掛かるので、結局、同じくらいの値段になってしまいます。 自転車用のレバーで、代用できんもんでしょうか。

  一度は諦めたのに、どうしてまた、こんな計画を進めているかというと、つまり、なんです、私は、冬の連休にやる、≪イベント≫を探しているのです。 きっと、そうに違いない。 実際には、タイヤ交換をどうしてもしなければならないわけではないのに、「何か、実益がある事をやりたい」という衝動にかられて、その対象を漁っているのです。

  しかし、自転車のタイヤと違って、バイクのタイヤは、私ごとき真っ白な素人の手には負えないかもしれませんなあ。 また、バイクは、通勤の必需品ですから、「やってみた、失敗した、しょうがねえな」では済まされない、恐ろしさがあります。 どうしたものか・・・。 ちなみに、計算してみたら、バイク屋に頼むと、全て込みで、28000円。 自分でやると、13000円です。 うむむむむ・・・、悩むところです。


≪12月18日 日≫
  バイクのタイヤ交換計画の一環として、タイヤ・レバー、ビード・クリーム、バルブ虫回しを探しに、ホーム・センター巡りをして来ました。 先日とは違う店を回ったのですが、タイヤ・レバーは一軒にしかなく、ビード・クリームは、どこにも無し。 虫回しは、ホーム・センターならどこにでもあったのですが、安くても、300円。 恐ろしく単純な道具なので、原価が100円以上するとは思えず、絶対必要な物であるにも拘らず、気が進まなくて、買いそびれてしまいました。

  これらは、ネットでも買えるのですが、全部、店舗よりも高いです。 タイヤ・レバーは、とりあえず、自転車用の物で代用できるか試してみてからでも遅くはなく、ビード・クリームは、石鹸水でも代用できるとの事。 やはり、絶対必要なのは、虫回しですな。 来週は早番なので、会社の帰りに買って来るとしますか。 並行して、タイヤそのものも、ネットで注文しなければ。


≪12月19日 月≫
  ≪Webike (ウェビック)≫というネット通販店で、バイクのタイヤ、前後を注文しました。 前が4900円、後ろが7865円。 商品合計一万円以上なので、送料は無料。 代引き手数料が420円で、合計13185円です。 前よりも後ろの方が高いのは、チューブレスだからという事もありますが、たとえ、チューブ・タイプであっても、千円しか安くなりません。 ちなみに、前よりも後の方が、直径は小さく、幅は広いです。 帰納的に考えると、幅が広いタイヤの方が、作るのにお金が掛かるという事でしょうか。

  私のバイク、≪ヤマハ セロー≫は、オフロード・タイプなので、純正では、オフ用の凸凹したタイヤが着いているのですが、私の場合、通勤オンリーで、舗装路しか走らないので、オフ用である意味がありません。 今までは、バイク屋任せで、純正品ばかりでしたが、今回は自分で好きに選べるので、オンロード用にしてみました。 人の話では、オンロード用の方が、乗り心地が良く、寿命も長いとの事。

  奇妙なようですが、「オフロード・バイク用の、オンロード・タイヤ」というのが売っているのです。 それなら、最初から、「オンロード用のバイクを買えばいいだろう」と思うかも知れませんが、いやいや、オフロード・バイクは、軽いし、乗車姿勢も楽だし、オンロード・バイクには無いメリットが、たくさんあるのですよ。 乗ってみれば分かります。

  この通販サイトのタイヤは、サイズだけでなく、車種ごと、年式ごとに、ページが別になっていて、私が買ったのは、≪ヤマハ セロー225WE 97年~ 用≫という商品です。 しかし、タイヤというのは、サイズが合っていれば、どのホイールにも着くのが建て前というもの。 恐らく、この車種・年式指定は、買い手が確実に自分のバイクに着くタイヤを見つけられるように配慮した、便宜的なものなのでしょう。

  すぐに返信メールが来ましたが、これは、アドレスの確認用で、注文確認メールは、在庫を調べてから、改めて送るとの事。 いわゆる、≪メーカー取り寄せ品≫という奴です。 「メーカーに在庫を問い合わせた結果、無かった」という場合もあるわけで、こういうのは、注文確認メールが来るまで、不安な時間を過ごさなければなりません。

  同じ店で、ビード・クリームも扱っていましたが、石鹸水で代用できるなら、わざわざ買う必要は無いと思い、やめておきました。 タイヤ・レバーは、自転車のタイヤを交換した時の物を使う事に決めました。 おっと、誤解が無いように書いておきますと、それは、自転車用レバーというわけではなく、昔乗っていた車に付いていた車載工具の一つで、長さは、25センチくらいあります。 さすがに、15センチ程度の自転車用では、バイクのタイヤは外せますまい。

  時間指定が選べたので、18時から20時にしておきました。 それなら、今週は早番なので、私が家にいる時に受け取れます。 私がいない時だと、父母に頼んでおく事になるのですが、「昼間、外出できない」と文句を言われるのです。 しかし、もし、今週中に来るとしたら、お金を下ろしてありません。 手元のお札は、千円札が二枚しかないです。 母が、13000円くらい持っているだろうか?

  ところで、昨日、ホーム・センター巡りで見て来た、タイヤ・バルブの虫回しですが、「どこかで見た事がある形だな・・・」と、脳の奥の古い感覚が、何度も何度も、意識の扉をノックするので、昔の日記を取り出して、過去にバイクのタイヤを弄った時の記録を読んでみたら、なんと、「虫回しを買って来た」という記述があるのを発見しました! つまり、私は、すでに、虫回しを所有しているのです。 大変驚き、大急ぎで、バイクの整備用具入れを引っ掻き回してみたら、果たして、見つかりました。 ケースに入った、新品同様の虫回しが!

  日記によると、2000年の9月に、前に乗っていたバイクの後輪タイヤから、ごく僅かずつ空気が抜けてしまうようになり、バイク屋へパンク修理に持っていくのが嫌で、パンク修理剤を使ったり、エア・ゲージで空気圧を測ったりと、素人的対策を取って様子を見ていたのですが、その時に、「バルブの虫に問題があるのではないか」と思って、購入したらしいのです。 ものの見事に、すっかり、打ち忘れていました。

  300円程度の品ですが、新しく買わないで良かったです。 もし、買ってしまった後で、すでに持っていた事に気付いたら、ショックで、その場にへたり込んでしまったでしょう。 年寄りだったら、そのまま寝込んで、死んだかもしれません。


≪12月20日 火≫
  仕事が早く終わったので、帰りに、スーパーのATMに寄って、お金を下ろして来ました。 14000円下ろしたのですが、1万円と4千円を分けずに、一遍に下ろしたため、千円札が14枚出て来ました。 予想外の札束を手にして、「リッチな気分!」などと浮かれている場合ではなく、このまま、宅急便の人に渡して、迷惑がられないか、心配になります。 彼らが一番嫌がるのは、お釣りが必要になる事態なので、小銭を別に用意して、金額がピッタリ、13485円なら、大丈夫だとは思うのですが。

  通販サイトから、注文確認メールが来ました。 「21日に出荷する」との事。 明日ですな。 店の所在地は、神奈川県なので、明日21日出荷なら、明後日22日には、確実に届くでしょう。


≪12月22日 木≫
  タイヤが届きました。 ちなみに、佐川急便。 配達員は、60歳前後のおじさんです。 千円札を13枚出して、「全部、千円札なんですが、いいですか?」と訊くと、「ああ、いいですよ」という返事。 数え易いように、5枚・5枚・3枚に分けて渡しました。

  どんな梱包で来るのかと思ったら、二本重ねてビニール・バンドで縛っただけでした。 ダンボール箱や、ビニールの袋に入っている姿を想像していたので、このワイルドさには、軽いショックを受けました。 いや、過剰包装より、こちらの方がいいんですけど。

  タイヤに貼られたラベルを見ると、やはり、サイズだけ書いてあって、車種・年式などの指定はありません。 そりゃそうだよねえ。 生産の都合を考えても、車種・年式ごとにタイヤを作り分けていたのでは、タイヤ・メーカーがたまったもんじゃありません。

  チューブ式の前タイヤは、そのままでしたが、チューブレスの後ろタイヤには、ビードの所に、一周ぐるりと、幅10センチくらいのダンボールを咬ませてありました。 たぶん、タイヤのゴムに、開き癖をつけるためでしょう。 ビードの間が狭まってしまうと、ホイールに入り難くなるからです。

  休みになるまで、物置で保管します。 タイヤはゴムの塊なので、自室はもちろん、家の中のどこに置いても、ゴムの臭いで凄い事になると思われるからです。



  以上が、企画から、下準備までの経緯です。 「肝腎の交換方法は分かるのか?」と思うでしょうが、それは、いの一番に、ネットで調べました。 チューブ式は、基本的に自転車と同じらしく、それなら、経験があります。 チューブレスは、車のタイヤと同じで、バイクのタイヤと車のタイヤ、どちらのやり方も載っていましたが、タイヤをホイールから外す方法、着ける方法は、変わらないようです。

  チューブレスでは、ビードを入れる時に、エア・コンプレッサーが必要ですが、それは、ガソリン・スタンドで借りる事ができるらしいです。 最悪、ビード入れだけ、バイク屋に頼むという手もあるとの事。 コンプレッサーで空気を入れるだけですから、工賃を取られたとしても、知れているでしょう。

  車体から車輪を外す方法も書いてありました。 まず、それをやらなければ、タイヤの換えようがないのですが、そんなに難しいわけではない模様。 バイクの場合、車軸のアクスル・シャフトが抜けるので、自転車より単純だと思われます。

  それにつけても、ネットのハウツー・サイトというのは、写真入りの解説で、一から十まで丁寧に教えてくれるから、ありがたいにも限度があるというべきか、感謝袋の緒が切れるというべきか。 しかも、タダ! こういう事をやろうとする時、ネットは実に役に立ちますなあ。 ハウツー・サイト万歳! 親切なサイト制作者に栄光あれ! それに比べて、ブログやツイッターの糞の役にも立たないことよ・・・。

  そういえば、質問掲示板にも目を通しましたが、いやあ、いろいろと、面白い事が書いてありますなあ。 大抵は、良心的な回答ですが、時に、笑ってしまう物が見受けられます。

Q. 「車のタイヤ交換は、自分でできるでしょうか」
A. 「そのくらい、自分でできなくて、どうすんの? 教習所で習わなかった?」

  わははは! 何が笑えるか、分かりますか? この回答者、≪タイヤ交換≫を、ホイールごと換える、≪車輪交換≫の事だと思っているのです。 いや、確かに、普通のタイヤをスタッドレスに交換する時などは、「タイヤを交換する」と言いますが、それこそ、そんな事は、一般ユーザーでもできる事であって、わざわざ、質問掲示板で訊ねるような事ではありません。 常識で考えれば、ホイールからタイヤを外して、別のタイヤを着けるという意味での、≪タイヤ交換≫であると、察しが付くと思うのですがねえ。

  この質問には、他の回答者も答えていましたが、根本的な所で勘違いしていたのは、こやつ一人だけでした。 質問者の無能を嘲おうとして、自分の馬鹿を曝け出してしまったんですなあ。 「タイヤ交換」で検索している人は、全国的にいると思いますから、この恥はデカいでなも。 公園早朝首括りレベルだね。

  これほどの馬鹿でなくても、もう少し、グレード・ダウンした馬鹿もいます。 同じ質問に対して、

A. 「素人では、到底無理!」

  いやあ、これもなかなかですなあ。 じゃあ、ハウツー・サイトで写真入りで解説している人達は、どうなるのよ? ちなみに、タイヤ交換を仕事にしているプロ達は、ネット上で手の内をバラすような事はしません。 店のサイトに、タイヤ交換のページを設けるにしても、「こういう機械を使いますよ。 こういう手順で交換しますよ」という、サービス内容の紹介のみに留め、細かいコツなどは、絶対に教えません。 素人に自分でやられてしまったら、商売上がったりだからです。

  この回答者、タイヤ交換に関する質問に答える前に、まず、自分自身が、「タイヤ交換」を検索して、実際にやっている人がいないかどうか、調べるべきでしたな。 もっとも、馬鹿の悲しさで、自分が無知である事に気付かず、そこまで知恵が回らないのでしょうけど。 

  大体、敬語で質問している相手に、タメ口、というか、見下し口で答える回答者に、ろくな奴はいません。 内容も、いい加減である事が多いです。 最初から、質問者を小馬鹿にしているのですから、まともに答えるわけが無いとも言えます。 こいつらにも、他の回答者の真面目な回答文が目に入っていると思うのですが、自分が人一倍馬鹿だと、なぜ、気付かないんでしょう。 ネットの七不思議の一つですな。