2016/02/28

錆との戦い⑥ 【塗装編】

  前々回・前回と同じような書き出しになりますが、これを書いているのは、2月26日で、すでに、自転車の錆取り計画は、ほぼ終了しています。 旧母自と父自は、完全レストアし、母自(電動アシスト車)は、錆が目立つ部分だけ処置して、自転車の方は、完全におしまい。 なぜ、「ほぼ」なのかと言うと、今は、自転車置場に風雨が吹き込まないように、屋根や壁の隙間塞ぎをしているからです。 次回の更新までには、完全に終わっている事でしょう。

  すでに、閑人生活に戻りつつあるのですが、もはや、恒例になってしまったので、レストアの過程を、日記の方から移植して紹介するパターンを続けようと思います。 例によって、日記の後に、解説を付けます。




≪2016/01/30 (土)≫
  旧母自の本体塗装面を、どう処置するか、今頃になって、ようやく、方針が決まりました。

  フォークだけは、金ブラシと布鑢でこすり、鉄の地肌を出して、透明錆どめを塗ってありますが、フレームの方は、遥かに大きいので、同じやり方では、手間的にとても無理です。 暖かくなってから、剥離剤を使うつもりでいたんですが、高い割には、細部まで綺麗になる保証がなくて、あれこれ、工具を買い足すとなると、コスト的に、見合わなくなってしまいます。 高い自転車ならともかく、1万円以下で買った軽快車の錆取りに、何千円も使うのは、どう考えても、馬鹿げています。

  また、ポリッシュ仕上げの軽快車というのが、ちと奇矯でして、分かる人が見れば、「こいつ、変人だ」と思われる可能性が非常に高い。 これが、20歳前後の頃であれば、「変人上等」で、大喜びでやったと思うのですが、私はすでに、分別あって然るべき年齢でして、変わった事をやって、個性を主張したいなどとは、金輪際、思いません。 やはり、色を塗った方が常識的でしょう。 せっかく、苦労して地肌を出したフォークを塗りつぶしてしまうのは惜しいですが、致し方ありません。 傷は小さい内に、処置しなければ。

  で、フレームの方は、錆を極力落とした上で、表面を布鑢で均し、カラー錆どめの灰色を買って来て、塗ってしまう事にしました。 できれば、元の色のシルバーに近い、ライト・グレーの方がいいのですが、カラー錆どめは、基本的に錆どめなので、そんなに色の種類がないのです。 もちろん、シルバーはありません。 灰色と白を買って来て、混ぜる事も検討しましたが、それでは、値段が2倍になってしまいます。

  カラー錆どめのいいところは、下地と上塗りを兼ねている点でして、それ一種類だけ塗れば、完成します。 鉄の地肌でも、錆の上からでも、塗装の上からでも塗れます。 ものぐさな人間用に開発されたんでしょうな。 だけど、ものぐさは発明の母でして、普通に塗装するとなると、下地(錆どめ)、色塗料、クリアと、三回も塗り重ねなければなりません。 また錆びて来る事を考えると、次の錆取りで、一からやり直すのは、大変です。

  ちなみに、私は、車を持っていた頃に、塗装面の錆と、数年に渡って格闘し続けた経験があり、錆取りをして塗り直したからと言って、何ヵ月も綺麗でいられるとは、最初から思っていません。 必ず、また、錆びて来ます。 設備の整った工場でプロが塗ったものでも、年月が経てば錆びて来るのに、素人がやった再塗装が、それ以上もつはずかないのは、当然の理というもの。

  カラー錆どめだけを塗るのなら、また錆びて来ても、簡単に補修ができます。 そこだけ、布鑢をかけて、塗り直せばいいのですから。 シルバーから灰色では、色調がだいぶ変わってしまいますが、錆の処置が楽になるのなら、背に腹は代えられません。 念の為、旧母自を買った本人である母に、色を変える事を伝えたところ、「もう、捨てたつもりだった自転車だから、好きにせよ」との返事でした。



≪2016/01/31 (日)≫
  午前中は、部屋掃除と亀の水換え。 布団干しは、晴れ間が少なくて、明日に延期。 午後は、バイクを出し、買い物と、犬の墓参に行きました。

  ホーム・センターのカーマで、とうとう、カラー錆どめのグレーを買って来ました。 200ml缶で、税込み、820円。 これを買ってしまえば、もう、「鉄の地肌を出して、ポリッシュ仕上げにしたい」などという変人的欲望と葛藤せずに済みます。


  後輪の泥除けを留めてあるボルトが、またしても、9ミリだったのですが、場所が狭くて、モンキーでは、なかなか回せません。 しかも、ロック・ナットを使ってあって、硬いもんだから、ナットも一緒に回ってしまうんですわ。 仕方なく、9ミリのスパナを買う事にし、ダイソーに寄ったのですが、なんと、9ミリだけ、置いてありませんでした。 無理もないか。 9ミリの、ボルト・ナットなんて、ほとんど、使われていませんから。

  やむなく、近所のホーム・センターに寄ってみたら、あるにはあったものの、600円以上します。 冗談じゃないよ。 たかが、二ヵ所のボルトを緩める為だけに、そんな高い物が買えるもんですか。 その時、ふと、少し離れた所を見ると、「超薄スパナ」という名前で、8-9ミリの両口スパナがあるのが目にとまりました。 210円。 それでも高いと思いますが、まあ、仕方ありません。 それを買いました。



  家に帰って、午後3時頃から、解体開始。


  といっても、全体の7割くらいの部品は、すでに取り外してあります。 残っているのは、後ろと下の方だけ。 ペダルとクランクを外し、後輪を抜きます。 シート・ポストをサドルごと撤去。

  そこまでは良かったのですが、チェーンとチェーン・ケースが、右のチェーンステーと咬み合っていていて、外れない事が分かり、青くなりました。 考えてみれば、咬み合っているのは当たり前なんですが、過去に、ここまで分解した経験がなかったので、一度も考えた事がなかったんですな。 このままでは、サビ落としも塗装もできません。 落ち着いて少し考えたら、チェーンを外せば、両方取れる事に気づきました。 なんだ、そうだったのか。

  自室に上がって、ネットのハウツー・サイトを開き、チェーンの外し方を調べました。 チェーンのピンは、ラジオ・ペンチで挟めば外れるとの事。 プレハブにあった父のラジペンを持って来て挟んだら、果たして、簡単に外れました。 チェーンを抜くと、無事、ケースが外れました。

  やれやれ、一時はどうなるかと思った。 考えてみれば、全く大した事ではないのに、いい歳扱いて、オロオロした自分が恥ずかしい。 伊達政宗は、高価な茶碗を取り落としそうになって、動揺した自分に腹が立ち、動揺させた茶碗を叩き割ってしまったそうですが、その例に倣うなら、私も、自転車を叩き壊さねばなりませんな。 伊達政宗でなくて良かった。

  フレームを引っ繰り返して、後ろ泥除けのボルトを、今日買って来た、9ミリのスパナで緩めます。 裏側のナットが回らないように、モンキーで押さえました。 工具があっても、ロック・ナットは手強かったですが、なんとか外せました。 これで、フレームは、素っ裸になりました。 旧母自にとっては、工場以来の大事件ですな。 鉄ですが、フレームだけだと、思っていたよりも軽かったです。 片手で持てるくらい。

  今日は、ここまで。 順調に行って、明日、錆取りと鑢がけが終われば、明後日には、塗装にかかれると思います。 別に、急ぐ理由はないのですが、もう、長い事、自転車ばかり弄っているので、早く解放されたいというのが、本音です。



≪2016/02/01 (月)≫
  今日こそは晴れるかと思っていたら、朝から、どす曇りで、昼頃には、雨までパラつく始末。 布団が干せんというに。

  自転車の方は、進みました。 一日かけて、チェーン・ケースと前後泥除けの表面に紙鑢をかけ、フレームは、スクレイパー、金ブラシで錆を落とし、紙鑢で均しました。 スクレイパーが、結構、強力で、錆はもちろん、塗装もプライマーも剥がれてしまったのには驚きました。 ただし、狭い所には入りませんし、凸凹している溶接痕の部分には、使えません。

  今日は、そこまでやって、おしまい。 明日、道具と心の準備を整えてから、カラー錆どめを塗ります。



≪2016/02/02 (月)≫
  今日は晴れましたが、塗装の日なので、埃が着く事を恐れて、布団干しはしませんでした。

  午前中は、サドルの解体。 錆びていた裏側のバネを全部外し、コイル・スプリングは酸に浸け、他の部品は、グラインダーで削りました。 先日買って来たナイロン・ディスクを、グラインダーに装着して、初めて使いました。 綺麗にはなるんですが、鉄の本体も削ってしまうので、やり過ぎに注意しなければならないと知りました。

  馬蹄錠も錆が出ていたので、グラインダーで塗装ごと落としたら、ビカビカになりました。 怖いくらいです。 透明錆どめを塗っておきます。 以前から、馬蹄錠のシリンダーが、指先で持ち上げてやらなければ、向こう側に入らなくなってしまっていたのですが、今日、ふと思いついて、全体を捩って見たら、正常な状態に戻りました。 なんだ、こんな単純な事だったのか。


  午後から、塗装開始。 グレーですが、思っていたよりも、明るい色でした。 乾くと、少し暗めになります。 まあ、こんなものでしょうか。 絵筆の太いのを使い、チェーン・ケースの蓋、チェーン・ケース、前後泥除け、フォーク、フレームの順で塗って行きました。 塗り終わると、部品の適当な孔に、銅線を通し、黄楊の木の枝に引っ掛けて乾かします。 フレームだけは、吊るすには重過ぎるので、地面にハーフのレンガを二つ置いて、その上に、クランク・シャフトを載せ、乾かしました。

  手塗りにしては、まあまあ、うまく塗れた方だと思います。 というか、あまり、高いレベルを狙っていないので、よほどひどくない限り、OKにしてしまうわけですがね。 午後1時に始めて、塗装が終わったのが、3時くらい。 塗装作業は、運動量が少ないので、寒くなってしまいました。 とにかく、苦手意識のある塗装作業が終わって、良かったです。

  明日、塗り残しをチェックして、塗り足し、それから、完全に乾くまで待つので、組み立てるのは、金曜日になりそうです。 なんとも、時間のかかる作業である事よ。 勤め人では、とても、こんな事はできませんな。




  日記は以上です。 前回の解説で書いたように、透明錆どめで仕上げにしてしまっている件りは、その時点では問題ないと思っていたものの、後に、雨で溶けてしまい、仕上げには使えない事が判明しました。 くれぐれも、真似しないで下さい。

  今回のメインは、本体部分の塗装ですな。 カラー錆どめの存在は、ホーム・センターを巡っている内に知ったのですが、本来、これは、門扉や鉄製フェンスのような、屋外設備用でして、自転車用の塗料ではありません。 私が自己責任で選んだ物ですから、真似て、後々、問題が出ても、責任は取れませんので、悪しからず。

  自転車を塗り替える場合、自転車専用の塗料というのは市販されておらず、車用を使うのが普通です。 車用塗料は、ホーム・センターなら大抵置いてありますが、スプレー缶オンリーで、うちの近所の店では、一本、1350円します。 ネット情報によると、自転車のフレーム・フォークを一台分塗る場合、「スプレー缶、3本あれば、足りる」のだそうで、それだけで、4050円・・・。

  ・・・顔色、真っ青ですな。 クリヤーは省くとしても、下地のプライマーは必需品なので、それも、3本となると、合計で、7・8000円行ってしまいます。 じょじょじょーだんじゃねーよ! 一万円以下で買った自転車を塗り替えるのに、そんなに払う馬鹿なんぞ、三千世界に一人としているものかね!

  ネットで、塗り替え方法を紹介している人達は、スポ自を塗り替えているわけでして、元の値段が、10万とか、20万とか、充分に高いから、塗り替えに、7・8千円かけても、惜しい感じがしないのでしょう。 私のように、軽快車を塗り替えようという人間は、驚くほど少ない様子。 安い自転車の場合、塗り替えるくらいなら、買い換えてしまうんでしょうな。

  ちなみに、子供自転車の塗り替えは、自分でやる父親がいるようですが、大抵、見るも無残な、ぐっちゃぐちゃの仕上がりになっています。 「子供用なんて、こんなんで、充分」と思っておるのでしょう。 ステッカー・ラベル類すら剥がさないまま、でかい刷毛で、決まって派手な色のペンキをベタ塗りして、「はい、綺麗になった」とか書いているから、子供もなめられたもんです。

  おっと、それで思い出しました。 私の旧母自ですが、本体の塗り替えが決定した結果、自動的に、ステッカー・ラベル類は、全て剥がす事になり、うまく剥がせるとは限らないので、その前に撮影しておく事にしました。 一部ですが、↓に出します。


≪上左≫
  ヘッド・チューブの前面に貼ってあったステッカー。 「URBAN」という会社が、企画した製品のようです。 これは、原形を留めて剥がせたのですが、汚らしくなってしまったので、塗り替え後、貼り直しませんでした。

≪上右≫
  ダウン・チューブ左右に貼ってあった、車種名「FRESCO」のステッカー。 これは、左右共、ちりぢりに切れてしまい、やむなく、スクレイパーで掻き落としました。 同じステッカーが、チェーン・ケースの横にも貼ってあって、それは、うまく剥がせたので、保存してあります。 地が透明なステッカーは、一度剥がすと、汚くなってしまって、貼り直す気になりません。

≪下左≫
  ボトム・ブラケットに貼られていた、ラベル類。 一番上の、防犯登録ステッカーだけ、うまく剥がせました。 他は、スクレイパーで、粉々に。 防犯登録ステッカーは、本体を塗り替えた後、ビニール・ボンドで、貼り直しました。

≪下右≫
  後ろ泥除けに貼ってあった、メーカー名のラベル。 貼り方が、ひん曲がってますな。 テキトーな仕事、しやがって。 だけど、自転車のラベルなんて、大抵、こんなものです。 車だと、もっと品質基準が厳しいんですがね。 私も、仕事で貼っていた事がありますが、注意書きのラベルはともかく、ステッカーやエンブレムは、ちょっと傾いただけでも、検査を通りませんでした。 エンブレムには、定位置に貼る為の治具が用意されているのが普通です。

  剥がし方ですが、「中性洗剤を塗って、しばらく置いておけば、剥がれる」と、ネットで読んだので、その通りにしましたが、全部で10枚ほどあった内、原形を留めて剥がせたのは、たった4枚でした。 その内、塗り替え後に貼り直したのは、防犯登録ステッカーと、馬蹄錠の操作説明ラベルの、2枚だけ。 写真を撮っておいて、良かったです。


  チェーンの切り離し方は、日記にある通り、泥縄を地で行く俄か調べで対応したものの、思っていたより、ずっと簡単で、驚いた次第。 ピンの開いている方の端と、一番近くの軸を、ラジオ・ペンチで挟むだけです。 ピンが飛んでしまう事はありませんでした。 それほどのバネ力がないのではないかと思われました。 着ける時は、ピンの閉じた方の端と、そちらに近い軸を、ラジペンで挟んでやれば、これまた、いとも容易に入ります。

  それを知って、ふと思ったんですが、スポ自やシティー・サイクルの、露出しているチェーンを盗むなんてーのは、ラジペン一本あれば、10秒もかからずに、できるわけだ。 いや、私は、そんな事はしませんがね。 下らん。 たかが、自転車の部品を盗んで、窃盗罪で捕まるなんぞ、人生的に、割に合わないにも程がある。


  塗装作業そのものですが、太筆を使って、少しずつ塗って行きました。 筆目が残るかと思いきや、ちょっと置くと、ペンキの粘性で、自然に均されてしまい、ほとんど筆の跡が見えなくなったのは、想定外の好都合でした。 ただし、塗り過ぎた所は、やはり、垂れてしまい、垂れ痕は残りました。 だけど、色が地味なせいか、しげしげ見ないと分からないレベルでした。

  塗装なんて作業は、そんなに年中するものではないですから、慣れている人の方が珍しいです。 年に一回もやらないという人の場合、経験値的に、巧い・下手を云々するレベルまで上達するはずがないのであって、たとえ、うまく塗れたとしても、ペンキの粘度がちょうど良かったとか、気温や湿度が適当だったとか、技能とは無関係な要素に助けられたと見るのが、妥当です。

  私は、中高生の時に、プラ・モデルの塗装を、さんざん、やりましたが、塗料の良し悪しで、仕上がりの状態が、9割方、左右されてしまうのを、その頃、つくづく思い知りました。 手塗りの仕上がり品質には、限界があり、素人では、売り物になるようなレベルには、決して到達しないと思います。

  しかし、スプレーを使えるのなら、話は別です。 前述したように、お金に糸目をつけないのなら、スプレー缶の塗料を買って来れば、遥かに綺麗に塗れるはず。 ただし、スプレーというのは、20センチくらい離して吹くものなので、自転車を塗る場合、内容量の、5分の1くらいしか、対象に着かず、残りの5分の4は、空気中や地面に消えてしまいます。 一台分に、3本も必要になるのは、そのせいでして、ほとんどを捨てる為に買って来ているようなものです。


  もし、これから、軽快車を塗り替えようとしている方がいたら、基本的に、スプレー缶は、やめた方がいいと思います。 とにかく、高くつく。 また、綺麗に塗れると言っても、所詮、レストアですから、他の部品は、ボロのままでして、新品同様には、決してなりません。 新品同様に拘るのなら、自転車ごと買い換えた方が、断然、得だと思います。

  手塗りならば、コスト的には、割に合いますが、仕上がりに期待し過ぎていると、これまた、「やらなきゃ良かった」と、臍を噛む事になります。 やはり、軽快車の塗り替えは、一か八か的な賭けになってしまうんですな。


  「それはいいから、塗り替えた後の写真を出さんかい」と、イラつく諸兄よ。 そちらは、組み立て直した後で、まとめて、ビフォー・アフターで見せる予定なので、しばらく、お待ち下さい。

2016/02/21

錆との戦い⑤ 【琢磨編】

  前回と同じような書き出しになりますが、これを書いているのは、2月18日で、父自の方のレストアが終わり、旧母自の再解体をした日です。 なぜ、再解体したかについては、いずれ書きますが、混乱するので、とりあえず、その事は忘れて下さい。 何が言いたいかというと、まだまだ、レストア作業が続いていまして、ブログの記事を書く時間がないという事です。 で、またしても、日記の続きという事になります。



≪2016/01/26 (火)≫
  朝から、錆取り。 そろそろ、うんざりして来ました。 本体を塗り替えるかどうか、悩んでいたのですが、昨夜の段階では、金と手間がかかり過ぎる塗り替えは、やめようと思っていました。 錆が出ている所だけ、コンパウンドで落とし、透明錆どめを塗っておけば良かろうと思っていたのです。

  ところが、今日、フォークを外し、コンパウンドをかけ始めたら、とてもじゃないが、コンパウンド程度では、錆を取り切れない事が分かり、金ブラシ、布鑢、金束子、クレンザーを駆使して、錆だけでなく、塗装もプライマーも全て削るという、途轍もない大仕事に突入してしまいました。 一日かかって、フォークだけは、削り終わり、錆びない内に、透明錆どめを塗って、何とか、終了。


  金属の地肌が見えている状態で仕上げるのを、「ポリッシュ仕上げ」と言うそうで、それに近い事をやったわけです。 ただ、普通は、アルミ・フレームを、鏡面仕上げにする事を指すそうで、鉄でやる人は、あまりいないかも知れません。 これなら、また錆びて来ても、見えますから、そこだけ、削って、直せばいいわけです。

  問題は、フレームの方を、同じようにポリッシュ仕上げにするかどうかという事。 片手で持てる大きさのフォークだけでも、死ぬほど疲れてしまったというのに、遥かに大きなフレームを、同じ方法で丸裸にするのは、とても無理です。 塗装を剥がす、剥離剤というのがあるのですが、安いのでも、2000円と、結構高い。 それに、気温が低いと、効果が出難いとの事。

  とりあえず、ポリッシュ仕上げはフォークだけに留め、フレームの方は、錆びた所にシルバーのペンキをさして、ごまかし、春になってから、どうするか決めようと思います。 もう、錆取りで大仕事をするのには疲れました。 ちなみに、元の色がシルバーですから、フォークだけ、鉄の地肌が出ていても、さほど、違和感はありません。


≪2016/01/27 (水)≫
  錆取りですが、スタンドと荷台を外し、金ブラシ、コンパウンド、布鑢で、今日も奮闘しました。 荷台は、今月の始め頃、錆取りをいい加減にやって、透明錆どめを塗ってあったのですが、その錆どめの膜を取り除くのに、えらい苦労をしました。 中途半端な事はするもんじゃありませんな。 接合部分の隙間の錆がどうしても取れず、酸に浸けておきましたが、全部は取り切れないかもしれません。

  スタンドの方は、思っていたより楽で、金ブラシだけで、ほとんどの錆が取れてしまいました。 メッキ面を金ブラシでこすっても、メッキが剥がれる事はないようです。 綺麗にして、透明錆どめを塗っておきました。 スタンドは、形状が複雑なので、錆が取れない場合は、買い替えも覚悟していたのですが、これで、買わずに済みました。

  明日、荷台の処置が済めば、とりあえず、旧母自の錆取り作業は終わります。 しかし、透明錆どめが完全に乾くのを待たねばならないので、明日中に組む事はできません。 それに、一番存在感があるフレームは手付かずですから、そんなに見違えるように綺麗にはならない予定。

  そうそうそう、前輪のタイヤをアマゾンで注文しました。 今のも、まだ使えるのですが、中心に赤い線が入っていて、前々から、気に入らなかったのです。 前輪よりも後輪の方がタイヤの減りが早いから、前後を入れ替えて、さっさと使い切ってしまおうかとも思ったのですが、見たら、後輪の方も、だいぶ減っていたので、後輪はそのままにし、前輪を新しくして、外したタイヤは、後輪が擦り切れた時の交換用にとっておく事にしました。 これなら、無駄遣いにはなりませんから。 

  そうそう、父自用の前籠も注文しました。 今ついているのが、ボロボロに錆びていて、塗り替えても、どうせまた、すぐに錆びると思われたので、父に言って、プラスチック製のに換える事になったという次第。 しかし、父自は、前籠だけでなく、前籠ステーも、前籠ブラケットも、前輪スポークも、クランクも、あらゆる所が錆びており、籠だけ換えて、「はい、おしまい」というわけには行きません。 旧母自が終わったら、父自と戦う日々が待っているわけです。

  正直な感想、もう、錆取り作業には、うんざりしていまして、父自の方は、新品部品を買ってしまいたくて、仕方ありません。 自分の自転車にお金をかけると、無駄遣いになるだけど、父の自転車なら、親孝行という錦の御旗があるから、4・5千円くらいはかけてもいいのではないかと・・・。 いや、まだ、決定はしていませんが。 ステー類は、ステンレス製にしてしまった方が、後々、絶対、楽なんですよ。


≪2016/01/28 (木)≫
  図書館へ行った後、ダイソーに寄って、グラインダーに使う、ナイロン・ディスクを216円で買いました。 塗装や錆を落とせるらしいのですが、問題が、三つあります。 まず、グラインダーの音がうるさくて、近所迷惑だという事。 次に、一枚買えば、いつまでも、もつというわけではなく、消耗品であるという事。 最後に、狭い所には入らないので、結局、剥離剤も買わなければならないという事。 とりあえず、使い勝手を試してみようと思って、買って来た次第。

  ついでに、父自用のタイヤ・チューブも前後二つ分、購入。 324円商品ですが、ホーム・センターだと、一つで、980円くらいしますから、安いものです。 現在、父自のタイヤには、米式バルブのチューブが入っているのですが、これが、ここ一年ばかり、ゆっくりと空気が減っていく症状に悩まされていまして、乗る度に空気を入れるのが面倒で、それでなくても出不精の父が、ますます出かけなくなっているのを憂慮して、普通の英式バルブに換えてしまおうと目論んだわけです。 作業するのは、まだ先ですが。 


  アマゾンに注文した父自用の前籠と、旧母自用の前輪タイヤが届きました。 前籠は、OGKのプラスチック製で、1100円。 これは、父が、お金を出しました。 旧母自に付いているのも、OGKのプラ籠で、似ているんですが、現物を見たら、こちらの方が、少し大きかったです。 それは、問題なし。

  タイヤは、共和という会社の、「MILION」という製品で、907円。 これは、私が以前、旧母自や母自の後輪につけたのと同じ品なのですが、ホーム・センターでは、1370円もします。 送料込みで、どうして、こんなに安くなるのか、不思議でなりません。


  錆取りは、荷台に取り組み、金ブラシでこすり倒して、何とか、錆の色が見えない程度にまでもって行きました。 もう、金属をこするのには、うんざりです。 すぐに、錆どめを塗っておきます。 メッキが残っている部分と鉄の地肌が見えている部分が混在していますが、パッと見では分からないでしょう。

  昨日やったスタンドですが、スプリングがきつくて、外す事ができず、つけたまま、作業をしました。 ところが、今日になって、スプリングを外す方法を思いつきました。 スプリングの端の輪に、直接、金属の棒を挿して引っ張ろうとするから、力が入らないのです。 ビニール紐を輪にして、スプリングの端の輪に通し、紐の上に金属棒を通して、引っ張ったら、あっさり外れました。

  この方法、ネットでも出ていませんが、もしや、大発見なのでは? スプリングの大きさから考えて、人間の力で伸ばせないなんて事はありえないのであって、やり方次第だったんですな。


≪2016/01/29 (金)≫
  予報では、午前9時頃から雨という事でしたが、6時頃、目が覚めたら、もう、音を立てて降っていました。 結局、一日中、雨。

  昨日届いた新しいタイヤを、旧母自の前輪に着けました。 今まで付いていたのは、外して、保管しておきます。 後輪タイヤが磨り減ったら、そちらに着け替える予定。 外す時には、タイヤ・レバーを使いましたが、着ける時には、手だけでやりました。 工具を使わなければ、チューブを傷つける恐れがないんですよ。 できれば、外すのも、手だけでやりたいんですが、なぜか、できませんでした。 何が問題なのか、分からない。

  錆を落とした前輪に、新品のタイヤが着いたわけで、まずまずの綺麗さです。 だけど、新品同様とは、とても言えません。 スポークが、鉄の地肌に透明錆どめを塗っただけですから。 自転車に着ければ、多少は見栄えがするんでしょうか? 自信がありません。



  日記は以上です。 うーむ、この頃の事は、もう、遥か大昔の出来事のように感じられますなあ。 その時、リアルタイムで錆取り作業をしている旧母自と、それが終わってから取り組むつもりでいる父自の事が、ごっちゃに書いてあるので、書いた本人の私でも、頭が混乱してしまいます。


  フォークを丸裸にしたのは、今思い出しても、きつい作業でした。 その頃はまだ、スクレイパーを試していなくて、金ブラシから始めていたから、どえらい無駄なエネルギーを使っていたんですな。 錆びている部分は、一見、頑固なようでいて、その実、脆いから、スクレイパーが一番、効率的に掻き落とせるのです。 それに、早く気づいていたらなあ。 スクレイパー自体は、持っていたのに。

  スタンドと荷台は、メッキを全て落としきる事が、とても無理だと分かったので、メッキが生きている部分は残す事にし、鉄の地肌が出てしまった所と混在する事になりましたが、錆の赤茶色が見えなければ、それほど、気になりません。 新品同様には程遠いですが、妥協できる、ギリギリの線だったわけです。


  ところで、日記の中では、鉄の地肌の上に、水性のエポキシ透明錆どめを塗って、仕上げにしてしまっていますが、これは、その時点では、問題ないと思っていたものの、その後、事情が変わりました。 旧母自のレストアが、一応の完成を見た後、暴風雨の日があり、横殴りの雨に長時間、叩きつけられて、透明錆どめが溶けてしまうという椿事が出来し、仕上げには使えない事が分かったのです。

  その件については、いずれ、その日の日記を出しますが、もし、今からやろうとしている人がいたら、手遅れになるとまずいので、今回、先行して、書いておきます。 ちなみに、今回の前文で、父自のレストアが終わった後、旧母自を再解体していると書いたのは、その錆対策を施す為です。


  今回分の日記で、他に、特筆事項と言うと、スタンドのスプリングの、脱着方法を発見した事ですかね。 そんなに大きなスプリングではないですが、手指では全く歯が立たず、ドライバーを突っ込んで、引っ張っても、やはり、ビクともしません。 こんなに手強いとは、思っていなかった。

  ネットで調べたら、スプリングの脱着方法については、ほとんど、出ていなくて、辛うじて見つけたのが、「ドライバーを梃子にして、スプリングの端の輪を持ち上げ、ずらし落とす」というもの。 それでは、支点になる部分にキズをつけてしまうので、あまり、気が進みませんでした。 工場では、どうやっているのか、一度、見に行ってみたいものです。

  考えること、数日。 ふと思いついたのが、日記に書いてある、紐を使う方法です。 スプリングの大きさから考えて、人間の力で伸ばせないとは、どうしても思えないので、たぶん、力がうまく伝達できない点に問題があるのだろうと考え、紐を媒介にしてみたら、うまく行ったという次第。


  ↑こんな感じになります。 外す時も、着ける時も、コツは同じ。 この写真では、紐が一重なので、着けた後、紐を外すには、結び目を解くか、紐を切るかしなければなりませんが、紐を半分に折って掛ければ、後で、横から引き抜く事ができます。 文章だけだと伝わらないと思いますが、まあ、やってみれば、すぐ分かります。

  紐は、スプリングの端の輪に、楽に入る細さで、切れ難ければ、何でもいいです。 紙紐のように切れ易い物や、細過ぎて千切れてしまう物は、危険なので、使わない方がいいと思います。 結構、力を入れて引っ張るので、途中で、ブチッといかれると、姿勢が崩れて、転倒する恐れあり。

  作業中の事故は馬鹿にできないものでして、特に、後ろに倒れるのは、どこが何にぶつかるか分からず、危険極まりないです。 こういう作業は、最初から、壁に尻を当ててやるくらい、用心した方がいいかも知れません。 自転車の錆取りをしていて、後頭部を強打し、半身不随など、馬鹿丸出しで、見舞いの言葉も思いつきゃしない。

  スプリングの脱着は、スタンドを自転車に付けたままでもできますが、全部、分解するのなら、スタンドだけにしてからやった方がいいです。 スプリングが外れると、スタンドが腰折れして、自転車が倒れるからです。 単に、外れてしまったスプリングを着けるだけなら、自転車にスタンドを付けたままでも、できるという意味。

  スプリングには、上下や、場合によっては、右側と左側の違いもあるので、外す前に、写真を撮るか、よく観察して、覚えておく必要があります。 端の輪の立ち上がっている位置が、異なるんですな。 着け直した後、スプリングがスタンドに当たったり、妙に、外側に飛び出していたりしたら、それは、上下か左右が違っているのです。

  ホーム・センターや、ネット通販で、交換用のスプリングというのが売っていますが、長さが、車種によってマチマチなようなので、店にある品を買って来れば、必ず着けられるとは限りません。 一本、300円前後しますから、左右のスプリングを買い換えるくらいなら、スタンドごと買い換えてしまった方が、割安という見方もあります。

2016/02/14

錆との戦い④ 【車条編】

  これを書いているのは、2月8日でして、すでに、旧母自のレストアは完了し、一日休んで、父自の方に取りかかった初日という事になります。 で、今現在、私の頭は、父自の錆取りを、どうやって進めるかで、満杯でして、ブログの記事に時間を割いている余裕がありません。 というわけで、またぞろ、公開日記からの移植で、お茶を濁させていただきます。 最後に、補足解説をつけます。


≪2016/01/17 (日)≫
  自転車の錆取りですが、今日、ようやく、手を着けました。 前籠と、ハンドル、ブレーキ・レバーなどをバラしたのですが、意外な所に、9ミリのボルトが使われていたりして、工具を用意するのに手間取り、結局、分解までで、時間切れとなりました。 奇数ミリのスパナというのが、なかなか、ないんですよ。 モンキー・レンチが入る所なら、代用できるんですが。


≪2016/01/18 (月)≫
  あちこちで、大雪だったそうですが、沼津は、ずっと雨でした。 もう少し気温が低かったら、雪になっていたと思います。

  寒くて、何もする気にならず、一日中、寝ていました。 昨日バラした旧母自の部品も手付かずのまま。 なんで、よりによって、寒い時に、水仕事をしなければならないのか・・・。


≪2016/01/20 (水)≫
  自転車部品の錆取りを再開したんですが、前ブレーキ・ユニットに布鑢をかけていたら、メッキが健在な部分が全く削り取れず、腕と指の方が、先に参ってしまいました。 いくら、閑人だからと言って、こんな事は、続けていられませんや。 やむなく、「トイレ・クリーナー」に浸けて、様子見。 半日くらいで、だいぶ、錆が溶けましたが、それでも、新品のようにはなりません。

  今日も風があり、外は寒かったです。 こんなガタガタ震えが来るような日に、水を使う仕事はしたくないですなあ。


≪2016/01/21 (木)≫
  家の敷地から、一歩も出ず、チマチマと、自転車部品の錆取り作業をしていました。 酸で錆を落とした後、アルカリ液で中和するのですが、その後、水洗いして、ベランダに干しておいたら、あっというまに、錆が出て、あら、どうしましょってなもんです。 また、一からやり直すなど、とても無理なので、布でこすって、錆をできる限り取り、すぐに、透明錆どめを塗ってしまいました。

  天日で乾かすなんて行程は不要で、水洗いが終わったら、すぐに、布で拭いて、水気をとってしまい、すぐに、錆どめを塗らなければダメなんですな。 一つ、利口になった。


≪2016/01/22 (金)≫
  錆取りの最大の難関、前輪スポークに取りかかりました。 物置に、金ブラシがあったので、ボロボロになった錆を、極力、掻き落としてから、布鑢で、チマチマ削ること、2時間。 寒い中、寒さを忘れるくらい奮闘したにも拘らず、スポークが交叉している所に鑢が入らず、2・3割は、削り残しました。

  だけど、酸を併用しつつ、マメに進めれば、かなり綺麗になるのではないかと思います。 そういう目星がついただけでも、収穫はありました。 スポークを全部抜いて、バラバラにすれば、わけなく、綺麗にできるのですが、一旦バラすと、張り直した後、「振れ取り」ができない恐れが高いので、バラさずに綺麗にできるなら、多少手間が多くかかっても、そちらの方が、確実です。


≪2016/01/23 (土)≫
  夕方から、雪の予報でしたが、沼津は、それほどの寒さではなく、案の定、雨だけでした。

  依然、錆取り中。 昨日に引き続き、前輪のスポークと戦っています。 どうしても、交叉部分の錆が取れないので、もう一度、金ブラシでこすってみたら、だいぶ、取れました。 円筒形の金ブラシがあれば、指が入らない所も、どうにかなりそうです。 今日、買って来ようと思ったのですが、出かけようと思ったら、雨が降り出し、断念。


≪2016/01/24 (日)≫
  終日、物凄い強風。 しかも、寒い。 午前中、バイクで、ダイソーに、金ブラシを買いに行き、道具は揃ったものの、あまりの強風に、屋外で作業する気にならず、今日の錆取りは中止。 布団干しは言うまでもないですが、亀の水換えすらできず、明日に繰り延べです。 明日は、少しは風が収まるんでしょうなあ。


≪2016/01/25 (月)≫
  今日は穏やかに晴れました。 ただし、気温は低い。

  とうとう、錆取り最大の難敵、前輪スポークをやっつけました。 最後に頼ったのは、金ブラシでした。 リムに、ガム・テープでマスキングをして、ニップルの錆まで落としました。 ニップルが回ると、スポークの張力が変わってしまうのですが、幸い、金ブラシでこすった程度では、ニップルは回りませんでした。

  「もう、これ以上は、落とせない」というところまで落とし、ウエスで金属カスを取り、ペイント薄め液で脱脂。 スポークに割り箸を咬ませて、交叉部分に隙間を空けてから、透明錆どめを塗りました。 交叉部分が乾いてから、割り箸を外し、スポークの残りの部分と、ニップルまで塗って、完成。

  錆を落とし終わった状態より、透明錆どめを塗った後の方が、暗い色になり、汚らしくなりましたが、まあ、いいとします。 これ以上、やりようがないし。 さんざん悩まされた前輪が、何とか終わってくれて、肩の荷が少し軽くなりました。



  日記は以上です。 写真は、作業中、ほとんど、撮りませんでした。 錆取りの方法に悩まされ続けで、精神的なゆとりがなかったんですな。 初めて経験する作業ばかりで、先の見通しが立たないと、写真撮影の時間が惜しく感じられるのです。 完成後の写真を、いずれ出します。

  前ブレーキ・ユニットの錆は、だいぶひどくて、バラバラにして、酸に浸けましたが、今思うと、バラさずに浸けられれば、その方が良かったと思います。 組み直した後、スムースに動くように調整するのが大変だからです。

  とにかく、耐水ペーパーや、布鑢を水に浸して、部品を磨くのは、つらい作業でした。 布鑢は、水に浸けても使えるのですが、すぐに研磨剤が剥がれてしまうので、消耗が激しかったです。 耐水ペーパーの方が、耐水と言うだけあって、まだ、もちがいい。 布鑢は、本当は、水に浸けてはいけないんじゃないの? 品によっても、違うんですかね?


  前輪スポークは、錆取りをする前に、新品に交換するか、錆だけ落とすか、さんざん悩んだんですが、結局、張り直した後に、振れ取りをする自信がなくて、新品への交換は断念しました。 ただ張るだけなら、小学生でもできるのよ。 そりゃ分かってるんだけど、その後の振れ取りが、大ハードルなんだわ。 

  ネットで調べると、「素人でも、できます」と、やり方を紹介しているブログが、いくらもありますが、見てみると、どなたもこなたも、振れ取り台を揃えているような本格的な人達ばかり。 こういう人達は、自分の事を、素人だと見做しているだけで、その実態は、「ハイ・アマチュア」であり、何ら特別な技能を持ち合わせていない、「一般人」とは、明らかに、別人種です。

  大体ねー、振れ取り台って、1万円くらいするらしいんですよ。 冗談も休み休み・・・、こちとら、しょっちゅう、ホイールを組み直しているような、二の腕に「自転車 命」と刺青したスポ自乗りではなく、買い物用に使っている軽快車の錆を減らす為に、スポークを換えたいと思っているだけの、もろ一般人でして、恐らく、スポークの張り換えなんか、一生に一度しかやりません。 振れ取り台に、一万円も払うくらいなら、自転車ごと買い換えた方がいいではありませんか。

  更に調べると、専用台がなくても、自転車を上下引っ繰り返して、フォークに目印になる物を付ければ、それでも振れ取りはできるとの事。 うーむ、誘惑がやみませんなあ。 今時の軽快車は、リムがアルミ製なので、リムは、全く錆びておらず、何年経っても、新品同様です。 だから、スポークさえ新しくすれば、ホイール全体が、新品同様になるわけで、それを思うと、やりたくてやりたくて、仕方がない。 この衝動の強さは、思春期の性衝動を上回るのではあるまいか? スポークを新しくしたいというのは、遺伝情報に書き込まれた、本能なのか? いやいやいや、そんなこたーあるわけないわけですけど。

  スポーク張りは、振れが完全に取れたとしても、「張り過ぎ」というのがあるらしく、その状態で乗っていると、スポークが折れ易いのだとか。 逆に、「ゆる過ぎ」というのもあるのかな?と思ったのですが、そちらは、ないようです。 ゆる過ぎると、振れが出るから、振れが取れているという事は、ゆるくはないという事になるわけだ。 何だか、分かったような、イマイチ危ういような理解レベルですなあ。

  つまり、振れが取れていて、しかも、張り過ぎていない、境界線的な精度が求められるわけだ。 結構、シビア。 どこのブログでも、「難しい」とは書いてないので、何回もやって、慣れて来れば、できるようになるとは思うのですが、いくら調べても、「たかが、錆の為に、そこまでやるかね?」と思ってしまうのです。

  自分で挑戦してみて、駄目なようなら、自転車店へ持って行くという手もあります。 で、自転車店のサイトで、振れ取りの工賃を調べたら、1400円でした。 これまた、微妙な値段ですなあ。 だけど、一回で済むんじゃろうか? 組んだばかりのホイールは、「初期振れ」というのが出るらしく、しばらく乗ってから修正してもらうとしたら、それは、別料金になるんですかね?

  自転車店の店主や店員だから、スポーク張りの経験値が高いとも言いきれないのが、また、怖いところです。 彼らが一番得意なのは、パンク修理でして、そちらは、目を瞑って足でもできるくらい慣れているわけですが、スポーク張りなどという特殊な仕事が、年中入るわけはないのであって、一ヵ月に一回もやらないと思われ、練度的には、ハイアマと大差ないんじゃないかと思います。

  強く張り過ぎて、お客から、「何だか、乗り心地が硬くなったんだけど」と言われても、「いやあ、張り換えると、そんなもんですよ」とか何とか言っておけば、客の方は、より無知だから、簡単にごまかせます。 スポーク張りの、真のプロがいるとしたら、ホイール工場で、その工程を担当している工員だと思いますが、そんな人を探し出すのは、まず不可能。 日本国内に、一人もいない恐れすらある。 結局、自分でやれるようになるのが、一番、確実な方法なのか・・・。

  友人・知人の自転車仲間に、振れ取りができる人がいて、「ああ、持ってくれば、やってやるよ」なんて言ってくれれば、勿怪の幸いにして、渡りに舟なわけですが、その人が、本当に振れ取りができるかどうかは、神の味噌汁です。 一応、バランスは取れているけれど、張り過ぎていて、乗っている内に、スポークが折れたりしたら、こちとら、真っ青でんがな。 同じ人にやってもらっている限り、折れ続ける恐れあり。 つまり、その人、振れ取りができると思い込んでいるだけで、実はできねーのよ。

  ・・・と、様々な妄想を逞しくしている内に、すっかり、新品に交換する気が失せて、錆取りをする方に決まったというわけです。 本格的なロード乗りになるのでもなければ、スポークの張り換えや振れ取りが、どうしても、できなければいけないというわけではないです。 そんな特殊な事、一生できなくたって、ちっとも、恥ずかしくない。

  恥ずかしいのは、「どんな事でも、チャレンジする気持ちが大切だ」とか言って、できもしない事に手を出し、結局、物を使えなくしてしまうケースですな。 程度の問題でして、「八割くらいの確かさで、できそうだ」というなら、チャレンジもいいですが、「二割くらいの確かさで、できそうだ」で、チャレンジして、失敗してたら、それは、アホでんがな。

2016/02/07

錆との戦い③ 【鉄肌編】

  旧母自の錆取りですが、今年(2016年)の一月初めにやった分が、もう少しあるので、それを紹介します。 二日間かけて、左右のクランクと戦ったのですが、まずは、公開日記の方から、その日の内に書いた文章を移植します。




≪2016/01/04 (月)≫
  午前中に、バイクを出ちょっと遠いホーム・センターと、ダイソーを巡って、塗料や錆どめを買って来ました。 合計で、1400円くらい。 下らない事に、金を費やしている・・・。

  午後から、旧母自のクランクを外しにかかりましたが、左はあっさり外れたものの、右は、ギアと一体になっていて、外れませんでした。 折自のボトム・ブラケット交換をした時に、それを知っていたはずなんですが、綺麗すっかり、忘れていました。 これを外すには、後輪の車軸ボルトを緩めなければならず、手間がかかるので、今日は見送り。

  外せた左クランクだけ、耐水ペーパーをかけて、メッキの残りと錆を落としました。 鉄の地肌が露出したわけですが、思っていたよりも、明るい色でした。 灰色やシルバーのペンキを塗ってしまうより、このままの方が、メッキに近い光沢です。 で、とりあえず、今日買って来た、「水性エポキシさび止め」という透明錆どめを塗っておきました。

  私としては、新品同様に戻そうなどという、高望みはしておらず、赤錆が見えなくなれば、それでいいのです。 これで、錆が出てしまうようなら、後から、ペンキを塗っても遅くありません。 もっとも、錆どめなんだから、それを塗って、錆が出たのでは、話になりませんが。



≪2016/01/05 (火)≫
  昨日に引き続き、錆取り。 旧母自から、右クランクを外したのですが、後輪車軸は緩めるわ、チェーン・ケースは外すわで、えらい大作業になってしまいました。 たかが、クランクの錆を取るだけの為に、後ろ半分、バラバラですわ。

  その後、組み立て直しましたが、ガチャガチャやって、逆に傷を増やしてしまうという、大失態。 それでいて、綺麗になったのは、クランクだけなので、全体のみすぼらしい印象は、ほとんど変わりません。 弥が上にも、やる気が失せて行きますな。 余計な事はしないのが一番か・・・。




  日記は以上です。 ごく簡単な事しか書いてないのは、錆取り作業でエネルギーを消耗して、作文どころではなくなってしまったからです。

  1月4日に、買って来た物は、ホーム・センターのカーマで、

・水性エポキシさび止め 1/12L 820円
・ペイントうすめ液 250ml 354円

  ダイソーで、

・工作用水性ペイント(ダークグレー) 80ml 108円
・平筆5本組 108円

  の四点。 正確な合計額は、1390円でした。


  水性エポキシさび止めは、カーマで偶然見つけました。 透明タイプで、何かと使い道が多そうなので、それにした次第。 これは、予想が当たり、後々、大活躍する事になります。

  ペイントうすめ液は、家に、トタン用の油性シルバー塗料があり、もし、それを使う事になった時に、刷毛や筆を洗うのに必要なので買いました。 だけど、現時点では、油性塗料は使っておらず、うすめ液は、専ら、錆どめを塗る前の脱脂に使っています。 ペイントうすめ液は用途が広いので、量が多いのを買っておいた方が、お得。

  ダイソーのペイントは、父の自転車の前籠を塗るつもりで買ったんですが、その後、父と相談して、プラスチックの前籠を買う事になったので、出番がなくなりました。 まあ、腐るもんじゃなし、とっておけば、いつか、使う場面も来るでしょう。

  ちなみに、屋外で使う鉄製品に、工作用ペイントを塗る場合、ペイントそのものには、防錆成分が入っていないので、下地として、錆どめを塗っておかないと、すぐに錆びて来ます。 逆に言うと、錆どめを持っているなら、この種のペイントは、上塗り用として、安くて、お買い得です。 水性であっても、一度乾いてしまえば、雨で溶け出すようなことはないです。

  平筆は、ダイソーの文房具コーナーにあった、水彩画用です。 ペンキだからと言って、刷毛に拘る必要はないのであって、小さい部品などは、筆の方が綺麗に塗れます。 5本組は、大変、お得。 自転車くらいの塗装面積を手塗りする場合、刷毛よりも、平筆の方が、適しているかも知れませんな。 筆で塗っても、筆目が出来ますが、刷毛目よりは細かいので、ちょっと離れると、見えなくなってしまいます。


  買い物の事はさておき、1月の4日、5日にやった、クランクの錆落としですが、結構、疲れました。 外は寒いと思って、自室でやったのも良くなかった。 耐水ペーパーで削るので、水を使うわけですが、絨毯や家具に、撥ねが飛ばないように、腕の動作に制約を課す事になってしまったのです。 寒くても、外でやった方が、始末がいいですな。

  話が前後しますが、まず、クランクを外さなければなりません。 以前、折自のボトム・ブラケットを修理した時に、クランク抜きを買ってあったので、それを使いました。 順序としては、ペダルを外してから、クランクを外します。 先にクランクを外してから、ペダルを外そうとすると、クランクを押さえて力を入れる事ができないからです。 左側は、ペダルもクランクも、簡単に外れました。

  続いて、右も外そうと思ったら、日記にも書いてある通り、ギアと一体になっていて、簡単には外せなかったというわけ。 で、その日は、テスト・ケースとして、左側だけ、錆を落としました。 左クランクの、作業前は、↓こんな状態でした。


  元がメッキされていたとは思えない、見事な剥げっぷり。 せめてもの救いは、錆が平面的で、凹凸が少ない事です。 これは、旧母自が私の管理下に入ってから、割とこまめに、556で拭いていたからではないかと思います。 ちなみに、同じ場所に置いてあっても、父自のクランクは、錆が凹凸だらけです。

  耐水ペーパーは、20年以上前、まだ、車を持っていた頃に、錆取りに使っていた物の残り。 120番です。 破傷風になっては敵わないので、ビニール手袋をし、更に、その上に軍手をしました。 酸を使った時と同じ装備ですな。 削り始めると、凄い錆が出て、洗面器の水が、まっ茶色になりました。 色が出ないようになると、クランクの表面に、鉄の地肌が表れました。 「くろがね」と言うものの、実際の鉄の地肌は、かなり明るいと知りました。 つくづく、鉄の本当の色を目にする機会は、少ないんですなあ。

「これだけ、明るいのなら、透明錆どめを塗るだけで、いいんじゃないの?」

  とは、私でなくても、思うと思います。 最初の予定では、錆どめの上に、油性シルバーか、ダイソーのダーク・グレーを塗ろうと思っていたのですが、下手に色をつけるより、鉄の地肌の光沢を活かした方が、綺麗に見えそうです。 メッキにこそ見えませんが、ガンメタの塗料を塗ったようには見えるはず。

  で、水洗いしてから、水を拭い、透明錆どめを塗ってみました。 とろみが強い液体で、乾きは速いです。 垂れると、垂れた状態で固まってしまうという、些か厄介な性質。 だけど、透明だから、刷毛目は、ほとんど分かりません。 微細な気泡が出来ますが、これも、ちょっと離れると、見えなくなってしまいます。


  予想していた通り、ガンメタっぽい雰囲気になりましたが、こちらは、鉄の地肌の金属光沢でして、ガンメタ塗料よりも、本物度は高いです。 というか本物そのものなんですな。 おお、いいじゃん。 新品という感じには程遠いですが、今までの錆びた状態からも程遠く、ちょうどいい具合なんじゃないでしょうか。


  翌日には、右側をやりましたが、日記にもあるように、錆取りよりも、外したり着けたりの方が大変でした。 たかが、クランク一本外す為に、なんで、こんなに、あちこち、バラさねばならんのか、理不尽な気持ちで一杯に・・・。 このもやもやした感情を元に、不条理小説が一本書けるのではないか? いや、まあ、右クランクと、ドライブ・ギアは、分離しているより、一体化してある方が、漕ぐ時のエネルギー・ロスが少なくなるという理屈は承知しているんですがね。

  錆取り自体は、左側と同じ事をしただけです。 ギアの、外から見える部分まで落としたので、時間と手間が、少し多くかかっただけの違い。 クランクとギアの間が狭く、指が入らない所もありましたが、まあ、大体、赤錆が取れれば、良しとします。 で、同じように、透明錆どめを塗り、乾かしてから、着け直した写真が、↓これ。


  ビフォー写真を撮り忘れてしまいましたが、錆を取る前は、左側と同じような状態でした。 まあまあ、綺麗になったと思います。 左右共に、新品のように見えないのは、ポツポツと小さい黒い点が残っているからですが、これは、錆に浸食された微細な穴でして、耐水ペーパーの手がけでは、これ以上は、削れないのです。 グラインダーを使えば、ピカピカの鏡面仕上げにできるようですが、そこまでやる気になりません。


  左右のクランクまでやって、この後、1月16日まで、錆取りは、中断します。 年末から取り組んでいた、紙日記の索引作りが途中になっていたので、そちらを先に片付けていたからです。 もっとも、そちらの方は、13日には終わっていたのですがね。 なぜ、更に、三日間も再開しなかったかというと、なんつーかそのー、旧母自は、外見はボロですが、機能的には、何の問題もなく使える自転車でして、どうしても、錆取りをしなければならないわけではなく、一度中断すると、なかなか、再開するモチベーションが上がらないのです。 寒い季節であれば、尚の事。