ちゅっちゅう
もう今年も終わりですな。 一年という時間、終わってみれば短く感じられますが、これから始まると思うと、途方もなく長く思えるから不思議です。 で、来年は丑年だとか。 いや、「だとか」って言い方は無いか。 丑年に決まっていますな、失敬失敬。 それにしても、干支という奴、年末年始だけ話題になりますが、新年になって半月も過ぎると、綺麗サッパリ忘れられて、誰も気にしなくなるから非情なものです。 いや、「非情」って言い方は無いか。 動物にとっては人間の習慣なんてどうでもいい事だものねえ。
というわけで、牛に因んだ話題を書こうかと思ったんですが、身近に牛がいるわけではなく、ちょっと縁が遠いので、まだ2008年中の事でもあるし、ネズミの方の話を書きましょう。 終わる寸前になって、ネズミに興味が湧く人もいないと思いますが、どうせ、牛だって、すぐ忘れられるんだから、まあ、いいでしょ。
私にとって、ネズミというと、一番に思い起こすのが、ハムスターです。 2002年の6月から、2006年の3月まで、約四年間、二匹のジャンガリアン・ハムスターを飼っていました。 両方オスでした。 同時に飼っていたわけではなくて、最初の一匹は1年7ヶ月で死に、その後に飼った二匹目が約2年で死んだという流れです。 一匹目は、パール・ホワイトという種類で、名前は、≪金太≫。 二匹目はノーマルで、名前は、≪銅丸≫と言いました。
この二匹の思い出について書くと、えらく長くなる上に、個人的な事なので、びしょびしょ叙情的になってしまい、人様に読んでいただく文章として、あまり宜しくありません。 そこで、ハムスターの飼い方について、簡単に書こうと思います。 なんで、簡単に書けるかというと、飼い方自体が簡単だからです。 「生き物を飼うのに、簡単という事はないだろう」と思われるかもしれませんが、犬や猫などと比較して見たら、ハムスターの飼育にかかる手間は、百分の一くらいしかありません。
まず、入れ物ですが、幅30センチ、奥行き20センチ、高さ25センチくらいの、プラ・ケースがよいです。 ホームセンターに行けば、昆虫飼育用の物がどっさり売っています。 値段は千円くらい。 ハムスター用として、鳥籠の背を低くしたような金属格子の籠も売っていますが、あのタイプは、格子の間から床材が飛散するので、あまり勧められません。 プラ・ケースには蓋もついていますが、蓋は使いません。
次に床材。 ホームセンターで、≪パイン・チップ≫という、松の幹や枝を細かいチップにした物が売られています。 かなり大きな袋でも500円くらい。 ギヂギチに固めた状態で詰まっていますから、少しずつもぎとって、プラ・ケースの中でほぐします。 底面全体に、厚さ2センチくらい敷き詰めます。 一袋買ってくれば、相当長持ちします。
次、回し車。 ハムスターは、自然状態では、一晩に何十キロも走り回る習性があるので、回し車は必需品となります。 500円くらいからありますが、できれば少し奮発して、回転のスムースな物を買った方がいいです。 軸が磨り減ったりして回りが悪くなると、ハムスターが乗りたがらなくなってしまうのです。 走りたいのに走れないのは、実に気の毒。 回し車のスタンドは、プラ・ケースの底面に直接置きます。 その上から、パイン・チップをかけてしまうわけです。 回し車がガタガタ振動して、動いてしまう場合、スタンドの下に、スタンドの底面積より大きなダンボールを貼れば、動かなくなります。
給水ボトルも必需品です。 鳥の水入れのようなものでも代用が利きますが、ハムスターの場合、水の中に落下して、バシャバシャにされる危険性があり、あまり勧められません。 給水ボトルはプラ・ケースの壁に、マジック・テープでとめるもので、下に飲み口がついていて、ハムスターが勝手に水を飲んでくれるという優れもの。 ジャンガリアンなら、小さい物で充分で、400円くらいで売ってます。
も一つ、巣箱が要ります。 巣と言っても、寝床ですな。 プラスチック製の物が売っていますが、保温性が良くないので、ダンボールを工作して、自分で作った方がよいです。 一辺12センチくらいの直方体を作ります。 天井は蓋を被せるように作ります。 湯飲み茶碗が入っているダンボールの箱を連想していただければ話が早い。 そして、壁の一面の下の方に、ハムスターが出入りする穴を開けます。 丸くしなくても、正方形で充分。 なぜ、天井に蓋をつけるかというと、掃除する時に必要だからです。 できれば、ダンボールは二重にしておいた方が、防寒性能が上がります。 箱が出来たら、中に、ティッシュ・ペーパーを五・六枚入れて蓋をします。 後は、ハムスターが勝手にティッシュを細かくちぎって、巣を作りますから、任せておけば宜しい。
エサですが、ペレット・タイプとミックス・タイプが売っています。 ペレットは合成飼料で、本来はそれだけで完全食品なのですが、同じエサばかりだと、ハムスターも飽きますから、週に二回くらい、ミックスをやります。 ミックスというのは、穀物の実を各種混ぜた物。 当然、ミックスの方を好んで食べますが、長生きさせる為には、ペレットを主にした方がいいらしいのです。
プラ・ケースの置き場所は、人間が立った時に、横から見れるくらいの高い所がよいです。 小さい子供や犬が家の中にいる場合、引っ繰り返されたらまずいからです。 犬がハムスターをいじったら、殺す気がなくても力が強すぎて死んでしまいますから、要注意ですな。 子供も油断ならない。 特別残虐な性格でなくても、オモチャ扱いして、握りつぶすくらい平気でやりますから、ハムスターと二人きりにしない方が無難でしょう。 ちなみに、猫を飼っている家の場合、ハムスターは飼えませんから、念の為。 まあ、天敵だから、当然といえば当然ですが。
とまあ、準備はこんな所ですかね。 巣箱以外のアイテムはすべて、ホームセンターで売っています。 ペット・ショップに行かなければ買えないという品は無いですから、お気楽ですな。 ここまで揃えたら、ペット・ショップへ、ご本尊のハムスターを買いに行きます。 ハムスターも、ホームセンターで売っている場合があります。 値段は店によって五倍くらいの開きがあり、びっくりさせられますが、みんな生まれて間もないですから、どこで買っても健康状態に大差はありません。 安いから早く死ぬという事はないですし、高いから長生きするという事もありません。
買うのは、一匹にします。 同性が二匹いると、必ずケンカをするらしいです。 殺すところまでは行かないけれど、大怪我は避けられないそうです。 ジャンガリアン・ハムスターは、外見がとても愛らしくて、妖精のように見えますが、所詮は本能にのみ従って生きる動物なのであり、縄張りを守る習性を消せるわけはないんですな。
一方、異性でペアにすると、ケンカはしませんが、すぐに子供だらけになり、世話がしきれなくなります。 ペットの世話は、お金で解決するものではなく、時間と手間を確実に取られますから、自分で自分の首を絞める結果になります。 ペット・サイトなど読むと、その種の世話地獄に堕ちてしまった人が無数に蠢いています。 とにかく、悪い事は言わないから、増やすのはやめておきなされ。 友達がたくさんいる人の場合、生まれた子供を里子に出してしまうという手がありますが、それとて、何度も繰り返せるわけではありません。
普段の世話ですが、エサは一日一回、夕方頃にやります。 ハムスターは夜行性だから、起きだした頃に食事をするんですな。 朝やっても、寝てるっちゅーのよ。 前述したように、普段はペレットをやり、週に二回だけ、ミックスをやります。 ミックスの回数は、もっと少なくてもいいのですが、飼っている内に、ミックスを欲しがる様子がいじらしくなって、どうしても回数が増えます。 もう寿命が長くないという頃合になったら、ミックスの方を主にしてもいいと思います。 長生きさせるといっても、無限に生きるわけではないのですから。
他に、ニンジン、レタス、キャベツなど、野菜の切れ端も喜んで食べます。 やってはいけないような野菜もありますが、それは失念してしまったので、飼育書で調べてみて下さい。 ヨーグルトは、狂ったように飛びつきます。 いずれにせよ、あまりたくさんやると良くないので、デザート程度と考えて、ほんのちょっとやるのが宜しいです。
ペレットやミックスは、開け易い容器に入れておくとよいです。 私は、コーヒーのクリープのビンを使っていました。 細かい虫が湧くのを防止するため、菓子などに入っている、≪脱酸素剤≫の袋を、一つか二つ入れておきます。 エサを掬うには、洗剤に入っているプラスチック製の大きなスプーンが便利。 一回分は、あれに半分くらいでしょうか。 ペレットやミックスは、すぐに腐るものはないので、少々多めにやっても大丈夫です。 余った分は、ハムスターが自分で巣箱に運んで、保存してくれます。
毎日やらなければならない世話は、エサやりだけです。 旅行などで出かける時には、多めにやっておけば、二三日ならハムスターが勝手にやりくりしてくれます。 実に頼もしい。 犬に爪の垢でも煎じて飲ましてやりたい。 水は、給水ボトルを満タンにしておけば、一週間はもちます。
掃除は、週に一度だけやります。 これが苦手という人が多い。 特に一度噛まれたという人が、掃除が怖くなって、ハムスターを捨ててしまうケースがよくあります。 そんなに恐れなくても、安全に行なう方法がありますから、まあ、お聞きなさい。
まず、プラ・ケースを部屋の床に下ろし、横に新聞紙を敷きます。 巣箱と回し車を取り出して、新聞紙の隅に置きます。 ハムスター本人は、出さなくて宜しい。 ハムスターを手で追い払いつつ、パイン・チップを底面積の半分だけ取り出して、新聞紙に移します。 全部出してはいけません。 全部変えてしまうと、自分の匂いがなくなってしまって、ハムスターが泣くのです。 半分取り除いたら、残った半分を掻き寄せて、今取り除いて空になった方へ移動させます。 そして、新たに空になった部分に、新しいパイン・チップを補充します。 すなわち、週に一度、半分ずつ交換するわけです。
掃除というと、パイン・チップを全部捨てて、プラ・ケースを水洗いする光景を連想する人が多いと思いますが、そんな事はせんで宜しい。 それをやろうとするから、ハムスターを外に出さなければならず、ガブリとやられるのです。 パイン・チップ自体に殺菌作用があるので、半分ずつ交換していれば、細菌が増えるような事はありません。 プラ・ケースの壁が汚れたら、ティッシュを水で塗らして、ざっと拭き取るだけで充分です。 私に言わせれば、なぜ、毎週洗剤で洗わなければならないのか、その科学的根拠を聞いてみたいです。 まして、掃除が怖くてハムスターを捨てるなど、本末転倒もいい所です。 何の為に掃除しているのか分らないではありませんか。
新しいパイン・チップを補充する前に、回し車を戻します。 巣箱は天井蓋を開け、ハムスターが作ったティッシュの巣を捨ててしまいます。 ハムスター泣きますが、こればっかりは心を鬼にして捨てなければなりません。 ごっそり溜め込んであるミックスのエサも捨ててしまいます。 新しいティッシュを入れてやり、蓋を閉めて、プラケースに戻します。 最後に、給水ボトルの水を取り換えます。 これで完了。 ね、簡単でしょ。 古いチップは、新聞紙に包んで、燃えるゴミに出せばOK。 正味15分くらいです。
毎日のエサやりは1分で終わりますし、週に一度の掃除も15分しかかかりません。 つまり、週に22分しか世話の時間を取られないわけで、他にこんな簡単に飼えるペットはいやしません。 犬に爪の垢でも・・・・おっと、それはもう書きましたな、失敬失敬。
ただ、ちょっと面倒な季節もあります。 ジャンガリアンは北国出身なので、日本の夏の暑さに耐えられません。 エアコンなど使うと、とんでもない出費になってしまいますから、ペット・ボトル・クーラーを作ってやります。 500㏄の角型のペット・ボトルに水を入れ、冷凍庫で凍らせます。 それをタオルに包み、プラ・ケースの外に壁にくっつけて置いてやるのです。 ハムスターは、その壁の内側にへばりついて眠ります。 これは、朝晩交換します。 夜は一本で充分もちます。 昼はかなり暑い日でも、二本あれば、夕方まで逃げ切れると思います。
冬の暖房は、特に必要ないです。 パイン・チップのように、燃えやすい物を使うので、電熱式の敷物やヒヨコ電球など、恐ろしくて使えません。 ハムスターは、そんなお金をかけて飼うペットではないのですよ。 寒そうだったら、巣箱のダンボールを三重にしてやるとか、そういうロー・プライスの工夫をしてやるのがよいでしょう。
病気ですが、死期が近づくと、体のあちこちに腫瘍が出来る事が多いらしいです。 私が飼っていた銅丸もそうでした。 しかし、動物病院に連れて行くのはやめた方がいいです。 ハムスター、特に、ジャンガリアンのように小さいタイプのものは、診てくれる医師がいません。 そもそも獣医が学校で教わる治療対象は、犬猫が中心で、あとは牛・豚・鶏といった家畜が占めており、小動物はオマケ程度の扱いなのです。 ネズミに至っては、ペットというより、実験動物という感覚で見ています。 そういう所へハムスターを持ち込んでも、覿面に迷惑そうな顔をして門前払いするか、治療法なんて知らないけど料金を取れるから治療するふりをするか、どちらかが関の山です。
ハムスター・サイトを見ていると、死んだ時の記録に、「具合が悪そうだったので、病院へ連れて行って、預かってもらう事にしました。 そしたら、その夜に息を引き取りました」という体験談が非常に多いです。 一見、飼い主の義務を果たしたかのように見えますが、これは全くの逆でして、病院へ連れて行ったから、死期が早まったのです。 人間でも分かる事ですが、もう立って歩く事も出来ないほど弱っている時に、無理やり移動させられたら、ますます弱るのは当然です。 その上、今まで暮らしてきた部屋とは全く違う場所で、全く違う臭いを嗅がされながら一晩おかれたら、死ぬなという方が無理でしょう。
何か勘違いをしている人が多いようですが、動物病院と人間の病院は、看護体制に大きな違いがあります。 動物病院は、危篤になったからといって、集中治療室があるわけではないですし、預けたからといって、医師も夜は寝てしまうのですから、つききっきりで看護してくれるわけではありません。 もちろん、ナース・コールも無いです。 もう死に掛けているペットを、動物病院に預けるという事が、拷問以外の何ものでもない事に、小指の爪の先ほどでもいいから思いを致すべきでしょう。 何が、「飼い主の義務ですから」だよ。 てめえの世間体を気にしてるだけだ。 最期の夜くらい一緒にいて、安らかに息を引き取らせてやればいいじゃないか。
ハムスターのペットとしての最大の欠点は、二年くらいしか生きられない事です。 死んだ時は、本当に嫌なものです。 ある日、巣箱から出てこなくなります。 二日くらい姿が見えなくて、「もしや」と思って巣箱の蓋を開けて見ると、ティッシュの巣の中で冷たくなっているのです。 もう、言葉も出ません。 そのショックたるや、家族が死んだ時と、ほとんど変わりがありません。
綺麗にした巣箱に死骸を入れ直し、残ったミックスのエサを一杯詰めて、巣箱ごと埋葬してやるんですが、一ヶ月くらいは毎日手を合わせに行かずにはいられません。 増やせないから、致し方ないとはいえ、子供を作らせてやれなかったのは、心から気の毒だと思います。 ただ、私の心を和ませる為だけに生きて、死んでいったんですな。 二匹目が死んだ時、それ以上、ハムスターの死に立ち会うのが耐えきれなくなり、もう飼うのをやめました。 今でも、押入れの奥にプラ・ケースは残っているので、飼おうと思えば、半日で立ち上げられますが、まだまだ、その気になりません。
というわけで、牛に因んだ話題を書こうかと思ったんですが、身近に牛がいるわけではなく、ちょっと縁が遠いので、まだ2008年中の事でもあるし、ネズミの方の話を書きましょう。 終わる寸前になって、ネズミに興味が湧く人もいないと思いますが、どうせ、牛だって、すぐ忘れられるんだから、まあ、いいでしょ。
私にとって、ネズミというと、一番に思い起こすのが、ハムスターです。 2002年の6月から、2006年の3月まで、約四年間、二匹のジャンガリアン・ハムスターを飼っていました。 両方オスでした。 同時に飼っていたわけではなくて、最初の一匹は1年7ヶ月で死に、その後に飼った二匹目が約2年で死んだという流れです。 一匹目は、パール・ホワイトという種類で、名前は、≪金太≫。 二匹目はノーマルで、名前は、≪銅丸≫と言いました。
この二匹の思い出について書くと、えらく長くなる上に、個人的な事なので、びしょびしょ叙情的になってしまい、人様に読んでいただく文章として、あまり宜しくありません。 そこで、ハムスターの飼い方について、簡単に書こうと思います。 なんで、簡単に書けるかというと、飼い方自体が簡単だからです。 「生き物を飼うのに、簡単という事はないだろう」と思われるかもしれませんが、犬や猫などと比較して見たら、ハムスターの飼育にかかる手間は、百分の一くらいしかありません。
まず、入れ物ですが、幅30センチ、奥行き20センチ、高さ25センチくらいの、プラ・ケースがよいです。 ホームセンターに行けば、昆虫飼育用の物がどっさり売っています。 値段は千円くらい。 ハムスター用として、鳥籠の背を低くしたような金属格子の籠も売っていますが、あのタイプは、格子の間から床材が飛散するので、あまり勧められません。 プラ・ケースには蓋もついていますが、蓋は使いません。
次に床材。 ホームセンターで、≪パイン・チップ≫という、松の幹や枝を細かいチップにした物が売られています。 かなり大きな袋でも500円くらい。 ギヂギチに固めた状態で詰まっていますから、少しずつもぎとって、プラ・ケースの中でほぐします。 底面全体に、厚さ2センチくらい敷き詰めます。 一袋買ってくれば、相当長持ちします。
次、回し車。 ハムスターは、自然状態では、一晩に何十キロも走り回る習性があるので、回し車は必需品となります。 500円くらいからありますが、できれば少し奮発して、回転のスムースな物を買った方がいいです。 軸が磨り減ったりして回りが悪くなると、ハムスターが乗りたがらなくなってしまうのです。 走りたいのに走れないのは、実に気の毒。 回し車のスタンドは、プラ・ケースの底面に直接置きます。 その上から、パイン・チップをかけてしまうわけです。 回し車がガタガタ振動して、動いてしまう場合、スタンドの下に、スタンドの底面積より大きなダンボールを貼れば、動かなくなります。
給水ボトルも必需品です。 鳥の水入れのようなものでも代用が利きますが、ハムスターの場合、水の中に落下して、バシャバシャにされる危険性があり、あまり勧められません。 給水ボトルはプラ・ケースの壁に、マジック・テープでとめるもので、下に飲み口がついていて、ハムスターが勝手に水を飲んでくれるという優れもの。 ジャンガリアンなら、小さい物で充分で、400円くらいで売ってます。
も一つ、巣箱が要ります。 巣と言っても、寝床ですな。 プラスチック製の物が売っていますが、保温性が良くないので、ダンボールを工作して、自分で作った方がよいです。 一辺12センチくらいの直方体を作ります。 天井は蓋を被せるように作ります。 湯飲み茶碗が入っているダンボールの箱を連想していただければ話が早い。 そして、壁の一面の下の方に、ハムスターが出入りする穴を開けます。 丸くしなくても、正方形で充分。 なぜ、天井に蓋をつけるかというと、掃除する時に必要だからです。 できれば、ダンボールは二重にしておいた方が、防寒性能が上がります。 箱が出来たら、中に、ティッシュ・ペーパーを五・六枚入れて蓋をします。 後は、ハムスターが勝手にティッシュを細かくちぎって、巣を作りますから、任せておけば宜しい。
エサですが、ペレット・タイプとミックス・タイプが売っています。 ペレットは合成飼料で、本来はそれだけで完全食品なのですが、同じエサばかりだと、ハムスターも飽きますから、週に二回くらい、ミックスをやります。 ミックスというのは、穀物の実を各種混ぜた物。 当然、ミックスの方を好んで食べますが、長生きさせる為には、ペレットを主にした方がいいらしいのです。
プラ・ケースの置き場所は、人間が立った時に、横から見れるくらいの高い所がよいです。 小さい子供や犬が家の中にいる場合、引っ繰り返されたらまずいからです。 犬がハムスターをいじったら、殺す気がなくても力が強すぎて死んでしまいますから、要注意ですな。 子供も油断ならない。 特別残虐な性格でなくても、オモチャ扱いして、握りつぶすくらい平気でやりますから、ハムスターと二人きりにしない方が無難でしょう。 ちなみに、猫を飼っている家の場合、ハムスターは飼えませんから、念の為。 まあ、天敵だから、当然といえば当然ですが。
とまあ、準備はこんな所ですかね。 巣箱以外のアイテムはすべて、ホームセンターで売っています。 ペット・ショップに行かなければ買えないという品は無いですから、お気楽ですな。 ここまで揃えたら、ペット・ショップへ、ご本尊のハムスターを買いに行きます。 ハムスターも、ホームセンターで売っている場合があります。 値段は店によって五倍くらいの開きがあり、びっくりさせられますが、みんな生まれて間もないですから、どこで買っても健康状態に大差はありません。 安いから早く死ぬという事はないですし、高いから長生きするという事もありません。
買うのは、一匹にします。 同性が二匹いると、必ずケンカをするらしいです。 殺すところまでは行かないけれど、大怪我は避けられないそうです。 ジャンガリアン・ハムスターは、外見がとても愛らしくて、妖精のように見えますが、所詮は本能にのみ従って生きる動物なのであり、縄張りを守る習性を消せるわけはないんですな。
一方、異性でペアにすると、ケンカはしませんが、すぐに子供だらけになり、世話がしきれなくなります。 ペットの世話は、お金で解決するものではなく、時間と手間を確実に取られますから、自分で自分の首を絞める結果になります。 ペット・サイトなど読むと、その種の世話地獄に堕ちてしまった人が無数に蠢いています。 とにかく、悪い事は言わないから、増やすのはやめておきなされ。 友達がたくさんいる人の場合、生まれた子供を里子に出してしまうという手がありますが、それとて、何度も繰り返せるわけではありません。
普段の世話ですが、エサは一日一回、夕方頃にやります。 ハムスターは夜行性だから、起きだした頃に食事をするんですな。 朝やっても、寝てるっちゅーのよ。 前述したように、普段はペレットをやり、週に二回だけ、ミックスをやります。 ミックスの回数は、もっと少なくてもいいのですが、飼っている内に、ミックスを欲しがる様子がいじらしくなって、どうしても回数が増えます。 もう寿命が長くないという頃合になったら、ミックスの方を主にしてもいいと思います。 長生きさせるといっても、無限に生きるわけではないのですから。
他に、ニンジン、レタス、キャベツなど、野菜の切れ端も喜んで食べます。 やってはいけないような野菜もありますが、それは失念してしまったので、飼育書で調べてみて下さい。 ヨーグルトは、狂ったように飛びつきます。 いずれにせよ、あまりたくさんやると良くないので、デザート程度と考えて、ほんのちょっとやるのが宜しいです。
ペレットやミックスは、開け易い容器に入れておくとよいです。 私は、コーヒーのクリープのビンを使っていました。 細かい虫が湧くのを防止するため、菓子などに入っている、≪脱酸素剤≫の袋を、一つか二つ入れておきます。 エサを掬うには、洗剤に入っているプラスチック製の大きなスプーンが便利。 一回分は、あれに半分くらいでしょうか。 ペレットやミックスは、すぐに腐るものはないので、少々多めにやっても大丈夫です。 余った分は、ハムスターが自分で巣箱に運んで、保存してくれます。
毎日やらなければならない世話は、エサやりだけです。 旅行などで出かける時には、多めにやっておけば、二三日ならハムスターが勝手にやりくりしてくれます。 実に頼もしい。 犬に爪の垢でも煎じて飲ましてやりたい。 水は、給水ボトルを満タンにしておけば、一週間はもちます。
掃除は、週に一度だけやります。 これが苦手という人が多い。 特に一度噛まれたという人が、掃除が怖くなって、ハムスターを捨ててしまうケースがよくあります。 そんなに恐れなくても、安全に行なう方法がありますから、まあ、お聞きなさい。
まず、プラ・ケースを部屋の床に下ろし、横に新聞紙を敷きます。 巣箱と回し車を取り出して、新聞紙の隅に置きます。 ハムスター本人は、出さなくて宜しい。 ハムスターを手で追い払いつつ、パイン・チップを底面積の半分だけ取り出して、新聞紙に移します。 全部出してはいけません。 全部変えてしまうと、自分の匂いがなくなってしまって、ハムスターが泣くのです。 半分取り除いたら、残った半分を掻き寄せて、今取り除いて空になった方へ移動させます。 そして、新たに空になった部分に、新しいパイン・チップを補充します。 すなわち、週に一度、半分ずつ交換するわけです。
掃除というと、パイン・チップを全部捨てて、プラ・ケースを水洗いする光景を連想する人が多いと思いますが、そんな事はせんで宜しい。 それをやろうとするから、ハムスターを外に出さなければならず、ガブリとやられるのです。 パイン・チップ自体に殺菌作用があるので、半分ずつ交換していれば、細菌が増えるような事はありません。 プラ・ケースの壁が汚れたら、ティッシュを水で塗らして、ざっと拭き取るだけで充分です。 私に言わせれば、なぜ、毎週洗剤で洗わなければならないのか、その科学的根拠を聞いてみたいです。 まして、掃除が怖くてハムスターを捨てるなど、本末転倒もいい所です。 何の為に掃除しているのか分らないではありませんか。
新しいパイン・チップを補充する前に、回し車を戻します。 巣箱は天井蓋を開け、ハムスターが作ったティッシュの巣を捨ててしまいます。 ハムスター泣きますが、こればっかりは心を鬼にして捨てなければなりません。 ごっそり溜め込んであるミックスのエサも捨ててしまいます。 新しいティッシュを入れてやり、蓋を閉めて、プラケースに戻します。 最後に、給水ボトルの水を取り換えます。 これで完了。 ね、簡単でしょ。 古いチップは、新聞紙に包んで、燃えるゴミに出せばOK。 正味15分くらいです。
毎日のエサやりは1分で終わりますし、週に一度の掃除も15分しかかかりません。 つまり、週に22分しか世話の時間を取られないわけで、他にこんな簡単に飼えるペットはいやしません。 犬に爪の垢でも・・・・おっと、それはもう書きましたな、失敬失敬。
ただ、ちょっと面倒な季節もあります。 ジャンガリアンは北国出身なので、日本の夏の暑さに耐えられません。 エアコンなど使うと、とんでもない出費になってしまいますから、ペット・ボトル・クーラーを作ってやります。 500㏄の角型のペット・ボトルに水を入れ、冷凍庫で凍らせます。 それをタオルに包み、プラ・ケースの外に壁にくっつけて置いてやるのです。 ハムスターは、その壁の内側にへばりついて眠ります。 これは、朝晩交換します。 夜は一本で充分もちます。 昼はかなり暑い日でも、二本あれば、夕方まで逃げ切れると思います。
冬の暖房は、特に必要ないです。 パイン・チップのように、燃えやすい物を使うので、電熱式の敷物やヒヨコ電球など、恐ろしくて使えません。 ハムスターは、そんなお金をかけて飼うペットではないのですよ。 寒そうだったら、巣箱のダンボールを三重にしてやるとか、そういうロー・プライスの工夫をしてやるのがよいでしょう。
病気ですが、死期が近づくと、体のあちこちに腫瘍が出来る事が多いらしいです。 私が飼っていた銅丸もそうでした。 しかし、動物病院に連れて行くのはやめた方がいいです。 ハムスター、特に、ジャンガリアンのように小さいタイプのものは、診てくれる医師がいません。 そもそも獣医が学校で教わる治療対象は、犬猫が中心で、あとは牛・豚・鶏といった家畜が占めており、小動物はオマケ程度の扱いなのです。 ネズミに至っては、ペットというより、実験動物という感覚で見ています。 そういう所へハムスターを持ち込んでも、覿面に迷惑そうな顔をして門前払いするか、治療法なんて知らないけど料金を取れるから治療するふりをするか、どちらかが関の山です。
ハムスター・サイトを見ていると、死んだ時の記録に、「具合が悪そうだったので、病院へ連れて行って、預かってもらう事にしました。 そしたら、その夜に息を引き取りました」という体験談が非常に多いです。 一見、飼い主の義務を果たしたかのように見えますが、これは全くの逆でして、病院へ連れて行ったから、死期が早まったのです。 人間でも分かる事ですが、もう立って歩く事も出来ないほど弱っている時に、無理やり移動させられたら、ますます弱るのは当然です。 その上、今まで暮らしてきた部屋とは全く違う場所で、全く違う臭いを嗅がされながら一晩おかれたら、死ぬなという方が無理でしょう。
何か勘違いをしている人が多いようですが、動物病院と人間の病院は、看護体制に大きな違いがあります。 動物病院は、危篤になったからといって、集中治療室があるわけではないですし、預けたからといって、医師も夜は寝てしまうのですから、つききっきりで看護してくれるわけではありません。 もちろん、ナース・コールも無いです。 もう死に掛けているペットを、動物病院に預けるという事が、拷問以外の何ものでもない事に、小指の爪の先ほどでもいいから思いを致すべきでしょう。 何が、「飼い主の義務ですから」だよ。 てめえの世間体を気にしてるだけだ。 最期の夜くらい一緒にいて、安らかに息を引き取らせてやればいいじゃないか。
ハムスターのペットとしての最大の欠点は、二年くらいしか生きられない事です。 死んだ時は、本当に嫌なものです。 ある日、巣箱から出てこなくなります。 二日くらい姿が見えなくて、「もしや」と思って巣箱の蓋を開けて見ると、ティッシュの巣の中で冷たくなっているのです。 もう、言葉も出ません。 そのショックたるや、家族が死んだ時と、ほとんど変わりがありません。
綺麗にした巣箱に死骸を入れ直し、残ったミックスのエサを一杯詰めて、巣箱ごと埋葬してやるんですが、一ヶ月くらいは毎日手を合わせに行かずにはいられません。 増やせないから、致し方ないとはいえ、子供を作らせてやれなかったのは、心から気の毒だと思います。 ただ、私の心を和ませる為だけに生きて、死んでいったんですな。 二匹目が死んだ時、それ以上、ハムスターの死に立ち会うのが耐えきれなくなり、もう飼うのをやめました。 今でも、押入れの奥にプラ・ケースは残っているので、飼おうと思えば、半日で立ち上げられますが、まだまだ、その気になりません。