捨てた漫画 ②
2月半ば捨てた漫画シリーズの、二回目です。
≪GO★シュート≫
週刊少年ジャンプで連載されていました。 全6巻。 初版は、1巻が、1980年1月、6巻が、1981年1月になっています。 一年間で、6冊出ているという事は、一回分のページ数が、ギャグ漫画よりも多かったのかも知れません。
サッカー漫画として始まったのですが、元々、スポ根ではなく、コミカル・パートが多かったのが、更に変質し、次第に、当時の流行だった、ラブコメになって行きました。 私は、サッカーには、全然、興味がない人間でして、そのラブコメ化したところが気に入って、買い集めたのです。 まあ、そういう年頃だったんですな。
≪3年奇面組・ハイスクール奇面組≫
これは、高校卒業の前後に、買い集めた物。 週刊少年ジャンプで連載。 3年奇面組の方は、全6巻、ハイスクール奇面組は、私が持っているのは、8巻までですが、もっと続いたはずです。 初版は、3年奇面組の1巻が、1981年8月、6巻が、1983年1月。 ハイスクール奇面組は、1巻が、1983年4月、8巻が、1984年12月。 ところが、私が持っている8巻は、19版で、1989年6月に発刊されており、するとつまり、私は、最も長くいた会社に就職した後まで、この作品のコミックスを買っていた事になります。 忘れていたなあ。
3年奇面組が、卒業で終わった後、まだ、作者に余力があったので、作品名を変え、主な登場人物たちを高校に進学させて、引き続き、連載されたのが、ハイスクール奇面組という形になります。 しかし、この作品が最も面白かったのは、やはり、3年の方で、ハイスクールになると、無理に伸ばしている感じが、段々、濃くなります。
アニメ化もされたのですが、私は見ていません。
≪残像・2001夜物語≫
星野之宣さんの漫画。 残像は、ヤングジャンプ・コミックスで、初版は、1982年3月。 2001夜物語は、双葉社のアクション・コミックスで、2巻が、1985年12月、3巻が、1986年10月。 1巻は、欲しいと思った時に、本屋で見つけられなくて、買っていないのですが、それ以前に、立ち読みで、読んだ記憶があります。
いずれも、宇宙SFでして、レベルは、大変、高いのですが、今となっては、人類が宇宙に進出するという設定そのものが、絵空事っぽくなってしまいました。 地球文明が宇宙に出る事があるとしても、それは、生身の人間ではなく、人工知能や機械でしょう。
≪うる星やつら≫
週刊少年サンデーで、連載されていました。 全34巻。 初版は、1巻が、1980年4月、34巻が、1987年4月になっています。 ちなみに、第一話がサンデー誌上に掲載されたのは、1978年の39号とあり、たぶん、夏の終わり頃ではないかと思います。 最初の頃は、断続的に掲載されていたようで、そのせいで、コミックス第1巻が出るまで、1年半もかかったのでしょう。
私が、この漫画の存在を知った時には、すでに、5巻まで出ていましたから、1981年、高校2年の頃ですな。 その頃、いろいろと悩みを抱えて、押し潰されそうになっていた私は、≪うる星やつら≫に耽溺する事で、現実逃避を図っていました。 6巻なんて、小口の色が変わるほど、毎日毎日、何度も何度も、読み返していましたねえ。
アイデアが枯渇しやすいナンセンス・ギャグ漫画で、9年間も連載が続いたというのが、まず驚きですが、最後まで、ギャグのクオリティーが落ちなかったというのが、もっと驚きです。 もっとも、私が爆笑していたのは、3巻くらいまでで、その後は、「笑う」から、「楽しむ」に、読み方が変わって行きましたけど。
アニメ化されて、そちらも、5年間くらい放送していました。 そのお陰で、漫画原作を読んでいない人でも、作品世界は知っていたのですが、ギャグ漫画の宿命で、漫画連載とアニメ放送が終わると、凄まじい勢いで忘れられ始め、90年代には、もう、≪うる星やつら≫の話題なんて、一部のオタクを除き、誰の口の端にも上らなくなっていました。
漫画の方は、文句なしの、名作・傑作ですが、アニメの方は、監督の個人的好みが強過ぎて、お世辞にも、誉められるようなものではなかったです。 思うに、この作品の場合、漫画のファンと、アニメのファンが、あまり、重なっていなかったんじゃないですかねえ。 今となっては、調べようもありませんが。
完成度が高過ぎて、言わば、頂点を極めてしまい、この作品の後、他の漫画家が、ギャグ漫画を描きにくくなってしまったという面もあります。 アニメに於ける、≪エヴァンゲリオン≫のような役割を果たしてしまったわけです。 それくらい、≪うる星やつら≫には、読者を常に驚かせ、圧倒し、引っ張って行くだけの力があったんですな。
≪めぞん一刻≫
≪うる星やつら≫と、ほぼ同時期に、ビッグ・コミック・スピリッツに連載されていました。 全15巻ですが、私の蔵書は、2・8・14巻が欠けていて、12冊しかありません。 初版は、1巻が、1982年5月、15巻が、1987年7月になっています。
実写映画化や、アニメ化もされていますし、大人向けの話でしたから、作品としては、≪うる星やつら≫より、こちらの方が、多くの人に記憶されていると思います。 だけど、私は、それほど、面白いとは思っていませんでした。 ≪うる星やつら≫と原作者が同じだから、義理で買っていたようなところがありました。
名作だと認識している方々には申し訳ないのですが、もう、歳月も経っている事だし、思い切って、重箱の隅を突かせてもらいますと、いろいろと、おかしなところがあるのですよ。
まず、こんな、部屋数の少ない安アパートに、住み込みの管理人なんて置けません。 家賃がいくら取れるか計算してみれば、管理人の給料を賄えないのは、火を見るよりも明らかです。 これがもし、大家の家が、一刻館の隣か、すぐ近所にあり、響子さんが、そちらに住んでいて、何かあった時だけ、やって来るというのなら、まだ分かりますが、住み込みでは、一体、彼女の生活費がどこから出ているのか、首を傾げてしまうではありませんか。
次に、主な登場人物、つまり、五代、音無、三鷹の三人ですが、それが、三人とも、二股がけをしている事に気づくと、「もしや、倫理観が崩れた人達の話なのでは?」と、嫌~な感じがして来るのです。 特に、主人公の五代が、どういうつもりで、七尾こずえとの交際を続けているのか、気が知れない。 つきまとわれているだけと言うなら、デートに行ったりはしないと思います。 現実に、こういう、人と人の信頼関係を壊しかねない事やっている者が身近にいたら、良識がある人間は、距離を置くはずで、青春漫画の主人公には、全く相応しくないと思います。
最終的に、五代は、保父になるわけですが、それも、引っかかります。 五代君て、鍵盤楽器の演奏ができるんですかね? 子供と遊ぶのがうまいだけでは、保父にはなれないと思いますけど。 その、「子供と遊ぶのがうまい」という設定も、かなり押し詰まってから出て来るもので、後出しっぽいです。
とどめに、この作品が若者に与えた悪影響というのが、少なからず、あったと思うのですよ。 「自分も、東京へ出て、安アパートで、一人暮らしをすれば、こういう恋愛を経験できるに違いない」と、どれだけの中高生に錯覚させた事か。 で、やってみたら、孤独で、惨めで、貧乏臭くて、不潔で、ろーくでもない生活なんだわ。 若くて美人の管理人なんて、いるわけないんだわ。
都会への憧れを誘う作品は、映画、ドラマ、音楽、小説、他の青年漫画と、いくらでもあったわけで、≪めぞん一刻≫だけに罪があるわけではありませんが、≪うる星やつら≫のファンが、こちらも読んでいたという事情があり、中高生に与えた影響は、他の作品より、桁違いに大きかったと思うのです。 もっと早く、大人になっていれば、この作品のフィクション度が、どの程度なのか、判断できたと思うのですが、中高生ではなあ・・・。 お気の毒な事です。
中には、無理に異性を見つけようとして、いかがわしい世界に嵌まり込み、身を持ち崩してしまった人もいるでしょうが、「≪めぞん一刻≫のせいだ」とは言えないのが、つらいところですな。 漫画に影響されて、人生を過ったなんて、誰も、同情してくれないものね。 ただの恥ですわ。
なんで、こんなに辛口の批評になるのかというと、完成度が極めて高い、≪うる星やつら≫と並行して読んでいたから、≪めぞん一刻≫の方の粗が目立ってしまったのだと思います。 ちなみに、ここに書いたような感想は、私が、20代半ばくらいまでに考えた事で、その後、すっかり忘れていたのを、思い出しながら、文章にした次第です。 今は、どちらの作品にも、愛憎いずれの感情もありません。
だから、読み返しもせずに、捨てられたわけです。 ≪めぞん一刻≫の方はともかく、あれほど夢中になった≪うる星やつら≫を、何の感傷もなしに捨てられる日が来ようとは、夢にも思いませんでした。 人の心とは、こんなにも甚だしく、うつろうものなんですなあ。
≪らんま1/2≫
≪うる星やつら≫が終わった後、週刊少年サンデーで連載された作品。 初版は、1巻が、1988年4月、4巻が、1988年9月。 えっ? 5ヵ月で、4冊出てるんですか? それは早い。 コミックスは、もっと出ているはずですが、私が買ったのは、4巻までです。 ギャグ漫画というより、アクション主体だったので、それ以上は、ついていけなかったのです。
水を被ると主人公の性別が変わるという設定なのですが、体の性が変わるだけで、精神は元の性のままなので、性倒錯ものとは少し違っていました。 いやいや、こんな説明は不要で、アニメ化されましたし、割と近年に、実写ドラマにもなったから、知っている人は、むしろ、≪うる星やつら≫より多いかも知れませんな。
ほとんど、思い入れがないので、いい作品とも悪い作品とも、思っていません。 それでも、4冊買ったのは、やはり、≪うる星やつら≫で、お世話になった、義理だったと思います。
≪るーみっく わーるど≫
高橋留美子さんの、読みきり作品を収録したもの。 初版は、1巻が、1984年5月、2巻が、1984年8月。 収録作品は、
1 【炎トリッパー】【闇をかけるまなざし】【笑う標的】【忘れて眠れ】
2 【戦国生徒会】【勝手なやつら】【ザ・超女】【黄金の貧乏神】【怪猫・明】【腹はらホール】【笑え!ペルプマン】【われら顔面仲間】
3巻以降が、出たかどうか、不詳。 初期の作品は、アクが強くて、読者を選ぶものが多いです。 シリアスな話になると、過度に暗くなってしまうのは、高橋留美子さんの特徴で、読後感が良い作品の方が珍しかったです。 私は、暗い話が嫌いでして、このシリーズも、たぶんに、義理で買った口です。 もちろん、明るい話は、面白かったですけど。
≪ダストスパート!!≫
≪うる星やつら≫より前だと思うのですが、何かの雑誌で、連載されていたと思われる作品。 出版社は、「スタジオ・シップ」で、「ポケットコミックス 76」とあり、初版は、1980年7月です。 ≪うる星やつら≫の1巻の初版より後ですが、≪うる星やつら≫が売れ始めたので、追いかける格好で、出したのでは?
エスパー物のギャグ漫画です。 割と、ベタな話ですが、私には、面白かったです。 これも、捨てたわけですが、もしかしたら、高橋留美子さんのコアなファンで、まだ読んだ事がなくて、喉から手が出るほど、欲しいと思っている人がいたかもしれませんなあ。 出回った数が少ないから、今では、なかなか、手に入らないでしょう。
≪サンデー まんがカレッジ≫
初版は、1982年4月。 当時、サンデーで連載を持っていた漫画家の面々が、漫画の描き方について、アドバイスをするという内容の本です。 こんな本、なんで買ったんだろう? 漫画家になる気なんて、微塵もなかったのに。 たぶん、表紙が、高橋留美子さんの絵だったから、坊主好きなら、袈裟まで欲しいで、とりあえず、買っといたんでしょうなあ。 一通り、目を通しましたが、それっきりでした。
今回は、ここまでです。 あと、2回、あります。
≪GO★シュート≫
週刊少年ジャンプで連載されていました。 全6巻。 初版は、1巻が、1980年1月、6巻が、1981年1月になっています。 一年間で、6冊出ているという事は、一回分のページ数が、ギャグ漫画よりも多かったのかも知れません。
サッカー漫画として始まったのですが、元々、スポ根ではなく、コミカル・パートが多かったのが、更に変質し、次第に、当時の流行だった、ラブコメになって行きました。 私は、サッカーには、全然、興味がない人間でして、そのラブコメ化したところが気に入って、買い集めたのです。 まあ、そういう年頃だったんですな。
≪3年奇面組・ハイスクール奇面組≫
これは、高校卒業の前後に、買い集めた物。 週刊少年ジャンプで連載。 3年奇面組の方は、全6巻、ハイスクール奇面組は、私が持っているのは、8巻までですが、もっと続いたはずです。 初版は、3年奇面組の1巻が、1981年8月、6巻が、1983年1月。 ハイスクール奇面組は、1巻が、1983年4月、8巻が、1984年12月。 ところが、私が持っている8巻は、19版で、1989年6月に発刊されており、するとつまり、私は、最も長くいた会社に就職した後まで、この作品のコミックスを買っていた事になります。 忘れていたなあ。
3年奇面組が、卒業で終わった後、まだ、作者に余力があったので、作品名を変え、主な登場人物たちを高校に進学させて、引き続き、連載されたのが、ハイスクール奇面組という形になります。 しかし、この作品が最も面白かったのは、やはり、3年の方で、ハイスクールになると、無理に伸ばしている感じが、段々、濃くなります。
アニメ化もされたのですが、私は見ていません。
≪残像・2001夜物語≫
星野之宣さんの漫画。 残像は、ヤングジャンプ・コミックスで、初版は、1982年3月。 2001夜物語は、双葉社のアクション・コミックスで、2巻が、1985年12月、3巻が、1986年10月。 1巻は、欲しいと思った時に、本屋で見つけられなくて、買っていないのですが、それ以前に、立ち読みで、読んだ記憶があります。
いずれも、宇宙SFでして、レベルは、大変、高いのですが、今となっては、人類が宇宙に進出するという設定そのものが、絵空事っぽくなってしまいました。 地球文明が宇宙に出る事があるとしても、それは、生身の人間ではなく、人工知能や機械でしょう。
≪うる星やつら≫
週刊少年サンデーで、連載されていました。 全34巻。 初版は、1巻が、1980年4月、34巻が、1987年4月になっています。 ちなみに、第一話がサンデー誌上に掲載されたのは、1978年の39号とあり、たぶん、夏の終わり頃ではないかと思います。 最初の頃は、断続的に掲載されていたようで、そのせいで、コミックス第1巻が出るまで、1年半もかかったのでしょう。
私が、この漫画の存在を知った時には、すでに、5巻まで出ていましたから、1981年、高校2年の頃ですな。 その頃、いろいろと悩みを抱えて、押し潰されそうになっていた私は、≪うる星やつら≫に耽溺する事で、現実逃避を図っていました。 6巻なんて、小口の色が変わるほど、毎日毎日、何度も何度も、読み返していましたねえ。
アイデアが枯渇しやすいナンセンス・ギャグ漫画で、9年間も連載が続いたというのが、まず驚きですが、最後まで、ギャグのクオリティーが落ちなかったというのが、もっと驚きです。 もっとも、私が爆笑していたのは、3巻くらいまでで、その後は、「笑う」から、「楽しむ」に、読み方が変わって行きましたけど。
アニメ化されて、そちらも、5年間くらい放送していました。 そのお陰で、漫画原作を読んでいない人でも、作品世界は知っていたのですが、ギャグ漫画の宿命で、漫画連載とアニメ放送が終わると、凄まじい勢いで忘れられ始め、90年代には、もう、≪うる星やつら≫の話題なんて、一部のオタクを除き、誰の口の端にも上らなくなっていました。
漫画の方は、文句なしの、名作・傑作ですが、アニメの方は、監督の個人的好みが強過ぎて、お世辞にも、誉められるようなものではなかったです。 思うに、この作品の場合、漫画のファンと、アニメのファンが、あまり、重なっていなかったんじゃないですかねえ。 今となっては、調べようもありませんが。
完成度が高過ぎて、言わば、頂点を極めてしまい、この作品の後、他の漫画家が、ギャグ漫画を描きにくくなってしまったという面もあります。 アニメに於ける、≪エヴァンゲリオン≫のような役割を果たしてしまったわけです。 それくらい、≪うる星やつら≫には、読者を常に驚かせ、圧倒し、引っ張って行くだけの力があったんですな。
≪めぞん一刻≫
≪うる星やつら≫と、ほぼ同時期に、ビッグ・コミック・スピリッツに連載されていました。 全15巻ですが、私の蔵書は、2・8・14巻が欠けていて、12冊しかありません。 初版は、1巻が、1982年5月、15巻が、1987年7月になっています。
実写映画化や、アニメ化もされていますし、大人向けの話でしたから、作品としては、≪うる星やつら≫より、こちらの方が、多くの人に記憶されていると思います。 だけど、私は、それほど、面白いとは思っていませんでした。 ≪うる星やつら≫と原作者が同じだから、義理で買っていたようなところがありました。
名作だと認識している方々には申し訳ないのですが、もう、歳月も経っている事だし、思い切って、重箱の隅を突かせてもらいますと、いろいろと、おかしなところがあるのですよ。
まず、こんな、部屋数の少ない安アパートに、住み込みの管理人なんて置けません。 家賃がいくら取れるか計算してみれば、管理人の給料を賄えないのは、火を見るよりも明らかです。 これがもし、大家の家が、一刻館の隣か、すぐ近所にあり、響子さんが、そちらに住んでいて、何かあった時だけ、やって来るというのなら、まだ分かりますが、住み込みでは、一体、彼女の生活費がどこから出ているのか、首を傾げてしまうではありませんか。
次に、主な登場人物、つまり、五代、音無、三鷹の三人ですが、それが、三人とも、二股がけをしている事に気づくと、「もしや、倫理観が崩れた人達の話なのでは?」と、嫌~な感じがして来るのです。 特に、主人公の五代が、どういうつもりで、七尾こずえとの交際を続けているのか、気が知れない。 つきまとわれているだけと言うなら、デートに行ったりはしないと思います。 現実に、こういう、人と人の信頼関係を壊しかねない事やっている者が身近にいたら、良識がある人間は、距離を置くはずで、青春漫画の主人公には、全く相応しくないと思います。
最終的に、五代は、保父になるわけですが、それも、引っかかります。 五代君て、鍵盤楽器の演奏ができるんですかね? 子供と遊ぶのがうまいだけでは、保父にはなれないと思いますけど。 その、「子供と遊ぶのがうまい」という設定も、かなり押し詰まってから出て来るもので、後出しっぽいです。
とどめに、この作品が若者に与えた悪影響というのが、少なからず、あったと思うのですよ。 「自分も、東京へ出て、安アパートで、一人暮らしをすれば、こういう恋愛を経験できるに違いない」と、どれだけの中高生に錯覚させた事か。 で、やってみたら、孤独で、惨めで、貧乏臭くて、不潔で、ろーくでもない生活なんだわ。 若くて美人の管理人なんて、いるわけないんだわ。
都会への憧れを誘う作品は、映画、ドラマ、音楽、小説、他の青年漫画と、いくらでもあったわけで、≪めぞん一刻≫だけに罪があるわけではありませんが、≪うる星やつら≫のファンが、こちらも読んでいたという事情があり、中高生に与えた影響は、他の作品より、桁違いに大きかったと思うのです。 もっと早く、大人になっていれば、この作品のフィクション度が、どの程度なのか、判断できたと思うのですが、中高生ではなあ・・・。 お気の毒な事です。
中には、無理に異性を見つけようとして、いかがわしい世界に嵌まり込み、身を持ち崩してしまった人もいるでしょうが、「≪めぞん一刻≫のせいだ」とは言えないのが、つらいところですな。 漫画に影響されて、人生を過ったなんて、誰も、同情してくれないものね。 ただの恥ですわ。
なんで、こんなに辛口の批評になるのかというと、完成度が極めて高い、≪うる星やつら≫と並行して読んでいたから、≪めぞん一刻≫の方の粗が目立ってしまったのだと思います。 ちなみに、ここに書いたような感想は、私が、20代半ばくらいまでに考えた事で、その後、すっかり忘れていたのを、思い出しながら、文章にした次第です。 今は、どちらの作品にも、愛憎いずれの感情もありません。
だから、読み返しもせずに、捨てられたわけです。 ≪めぞん一刻≫の方はともかく、あれほど夢中になった≪うる星やつら≫を、何の感傷もなしに捨てられる日が来ようとは、夢にも思いませんでした。 人の心とは、こんなにも甚だしく、うつろうものなんですなあ。
≪らんま1/2≫
≪うる星やつら≫が終わった後、週刊少年サンデーで連載された作品。 初版は、1巻が、1988年4月、4巻が、1988年9月。 えっ? 5ヵ月で、4冊出てるんですか? それは早い。 コミックスは、もっと出ているはずですが、私が買ったのは、4巻までです。 ギャグ漫画というより、アクション主体だったので、それ以上は、ついていけなかったのです。
水を被ると主人公の性別が変わるという設定なのですが、体の性が変わるだけで、精神は元の性のままなので、性倒錯ものとは少し違っていました。 いやいや、こんな説明は不要で、アニメ化されましたし、割と近年に、実写ドラマにもなったから、知っている人は、むしろ、≪うる星やつら≫より多いかも知れませんな。
ほとんど、思い入れがないので、いい作品とも悪い作品とも、思っていません。 それでも、4冊買ったのは、やはり、≪うる星やつら≫で、お世話になった、義理だったと思います。
≪るーみっく わーるど≫
高橋留美子さんの、読みきり作品を収録したもの。 初版は、1巻が、1984年5月、2巻が、1984年8月。 収録作品は、
1 【炎トリッパー】【闇をかけるまなざし】【笑う標的】【忘れて眠れ】
2 【戦国生徒会】【勝手なやつら】【ザ・超女】【黄金の貧乏神】【怪猫・明】【腹はらホール】【笑え!ペルプマン】【われら顔面仲間】
3巻以降が、出たかどうか、不詳。 初期の作品は、アクが強くて、読者を選ぶものが多いです。 シリアスな話になると、過度に暗くなってしまうのは、高橋留美子さんの特徴で、読後感が良い作品の方が珍しかったです。 私は、暗い話が嫌いでして、このシリーズも、たぶんに、義理で買った口です。 もちろん、明るい話は、面白かったですけど。
≪ダストスパート!!≫
≪うる星やつら≫より前だと思うのですが、何かの雑誌で、連載されていたと思われる作品。 出版社は、「スタジオ・シップ」で、「ポケットコミックス 76」とあり、初版は、1980年7月です。 ≪うる星やつら≫の1巻の初版より後ですが、≪うる星やつら≫が売れ始めたので、追いかける格好で、出したのでは?
エスパー物のギャグ漫画です。 割と、ベタな話ですが、私には、面白かったです。 これも、捨てたわけですが、もしかしたら、高橋留美子さんのコアなファンで、まだ読んだ事がなくて、喉から手が出るほど、欲しいと思っている人がいたかもしれませんなあ。 出回った数が少ないから、今では、なかなか、手に入らないでしょう。
≪サンデー まんがカレッジ≫
初版は、1982年4月。 当時、サンデーで連載を持っていた漫画家の面々が、漫画の描き方について、アドバイスをするという内容の本です。 こんな本、なんで買ったんだろう? 漫画家になる気なんて、微塵もなかったのに。 たぶん、表紙が、高橋留美子さんの絵だったから、坊主好きなら、袈裟まで欲しいで、とりあえず、買っといたんでしょうなあ。 一通り、目を通しましたが、それっきりでした。
今回は、ここまでです。 あと、2回、あります。