どうも、日本の電機メーカーは、世界市場で敗退しつつあるようですな。 どの分野でも、シェアが10%を超える事がなくなったらしいです。 一企業の話ではなく、日本の電機メーカー全てを合わせた数字。 現在、世界の電気製品市場で覇を争っているのは、韓国、台湾、中国の三者で、日本企業は追われる立場どころか、並ばれた状態ですらなく、完全に追い抜かれている上に、追いつくどころか、追いかけて行く事も出来ないという惨憺たる状況に落ち込んでいます。
なぜ負けたか、原因は幾つか考えられます。
1 ≪学生の知能低下のあおりで、優秀な技術者を得られなくなった≫
≪ゆとり教育≫などという呑気な事にかまけていたせいもありますが、それとは別口で、徐々に国民全体の知能レベルが低下していた事も事実です。 そもそも、子供を育てる親がどんどん馬鹿になっているのです。 これには、恋愛結婚が主流になった事が関係していると思われます。 恋愛結婚となると、相手の外見が最も大きな関心点になり、頭の中身の方は二の次になります。 人によっては、「少々馬鹿な人の方が扱い易い」などと考える者もおり、馬鹿な人間が多く結婚するために、勢い馬鹿な子供が増えるというわけです。 最近の小さい子供を見ていると、顔立ちは明らかに昔の子供より整っていますが、「この子は賢そうだ」などという例をとんと見なくなりました。 具体的に言うと、奇声を上げて騒ぎまわる子供はいますが、こましゃくれた口を利く子供がいなくなりました。 頭が回らないので、言葉を使いこなせないのでしょう。 学校に上がる前から馬鹿なのです。
学校のカリキュラムはどんどん簡単になっているのに、塾通いが昔より盛んだというのも奇妙な話です。 塾に通っていても、尚且つ昔より簡単な勉強すら出来なくなっているとは驚きますな。 人格的にも欠陥のある子供が多く、学級崩壊の話など聞くにつけ、勉強以前のレベルである事が分かります。 今現在、中学・高校生の人は、こういう文を読むとムッとするでしょうが、いくらでもムッとして下さい。 自分の世代の馬鹿さ加減を実感するには、親が保存している昔の教科書を覗いてみるのが一番です。 おそらく二・三ページめくっただけで、あまりの難しさに背筋に冷たい物が走るでしょう。 ≪後世畏るべし≫という諺がありますが、円周率を≪3≫で計算するように教えられている世代を畏れるなどアホ臭いにも程があり、むしろ、≪後世嘲うべし≫というべきですな。 あはははは! ・・・・いや、笑い事ではないのですが。
入学して来る学生があまりにも馬鹿なので、大学で高校の勉強をやり直させているらしいですが、あれも奇妙な現象ですな。 じゃあ、何の為に入学試験やってるのよ? やり直すっていっても、本来三年かけて教えるものを、せいぜい数ヶ月で教え直せるわけがありません。 それでなくても、今の大学では一般教養の教授がザクザク首を切られて、基礎的な事を教える能力が落ちているというではありませんか。 当然の事ながら、そんな事で時間を浪費していたのでは、本来大学で習うべき事が習えなくなるので、卒業する学生のレベルは更に落ちます。 そんな連中を雇わなければならない日本企業は、さながら、ムンクの叫びでしょう。 日本企業には、大学の教育に頼らず、入社した後で一から教え直すという伝統がありますが、これも素材によりけりです。 世界の平均レベルより遥かに知能が劣る学生に一から教え直したとしても、世界のトップレベルの研究開発が出来るようになるとはとても思えません。 もうお手上げなんですな。
2 ≪外国人を雇うのが下手≫
国内で人材が確保できないなら、優秀な外国人を雇うという方法がありますが、日本企業はこれがド下手です。 日本人には、明治以来、猛烈な外国人蔑視意識が植え付けられていて、「外国人など、みんな馬鹿」と見下す風潮があります。 この差別意識は、物心付くなり親から直接刷り込まれるので、≪三つ子の魂百まで≫で大人になっても抜けません。 日本企業が雇っている外国人といえば、みな末端の肉体労働者で、「知能労働は日本人が担当する」という不文律があります。 これが致命的なのです。 馬鹿がどんどん増えている日本人だけを知能労働者として使っているのですから、世界レベルに追いつくはずがないではありませんか。
ところが、差別意識というのは凄まじいもので、現実に全然追いつかないにも拘らず、日本企業はこの方針を変えようとしません。 たとえば、現在、飛ぶ鳥落とす勢いの韓国企業などは、優秀な外国人技術者を、元の数倍の給料で引き抜くという事を普通にやっていますが、日本企業はそういう考え方を取り入れる事が出来ず、呆れた事に、「優秀といっても外国人だから、日本人より少ない給料でいいだろう」などと考えているのです。 もう、全然駄目だな、これは。
日本企業は中国で学生の青田買いをしていますが、彼らは入社して日本企業の実態が分かって来ると、さっさと辞めてしまいます。 現地人を重要部署につけないのも日本企業の特徴で、それが抜き難い差別意識から出ている事が、日本人社員の態度から分かるので、現地人社員は会社の為に努力するのが馬鹿馬鹿しくなってしまうのです。 ほとんどの日本人は知りませんが、外国に進出した日本企業が、現地の従業員から煙たがられている事は何十年も前から有名です。 制服や体操を強要したり、やたらと朝礼を開いて説教を垂れたり、日本でしか通用しないような社内規則を押し付けたり、他の国の企業ならありえないような束縛を従業員にかけるからです。 それでいて、給料が良いというわけでもなく、出世しても現場主任止まり。 日本以外の国の企業の場合、現地法人は現地人が社長まで行くのと比べると、天地の差です。 つまり、日本人というのは、外国人を利用したがるくせに、信用していないのです。 明らかに無能であっても、日本人社員の方を高いポストにつけます。 そんな事やってて、合理的人事を行なっている外国企業に勝てるわけないわな。
3 ≪その国で売れる製品の情報収集能力がない≫
日本人が情報収集が苦手なのは、旧日本軍時代からつとに有名ですが、日本企業の海外戦略を見ると、それが民族的欠陥である事がまざまざと分かります。 最近の典型的な例は、中国に於ける携帯電話市場です。 中国の携帯電話保有台数はダントツ世界一で、超巨大市場なのですが、日本企業のシェアは全部合わせても一桁にしかなりません。 なんでこんな事になったかというと、日本企業が中国市場をなめてかかり、日本で売れ残った製品を売ろうとしていたからです。 サムスンやノキア、それに中国の地元企業が最新機種をドシドシ投入している市場で、それでなくても後れている日本の携帯電話の、更に旧機種を売ろうとしていたのですから、そのマヌケ振りには呆れて物が言えません。
東南アジアやインドでは、かつて日本製品が市場を独占していましたが、今や韓国製品と中国製品に圧倒されて、風前の灯となりました。 ここでも、市場の動向を読めない事が命取りになりました。 日本企業は、「所得が低い地域だから安物の方が売れるだろう」と考えて低価格機種ばかり売っていたのですが、韓国企業は、「中間所得層が広まっているから、高級機種の方が売れる」と見て、すかさず投入し、その読みが当たって日本企業を圧倒してしまったのです。
電機メーカーだけでなく、自動車メーカーも同じような事をやっています。 トヨタは、80年代に中国政府から進出要請があったのを、時の社長が先が読めない人だったばかりに断ってしまい、要請を受け入れたフォルクスワーゲンに、中国市場をかっさらわれました。 80年代頃に、中国政府が直接、特定の外国企業に進出を要請するという事は、「儲けさせてやる」という事なのですが、トヨタはその意味が理解出来なかったのです。 最大のライバルがいない中国市場で、フォルクスワーゲンがどれだけ儲けたか分かりません。 大魚を逃した事が分かってから、真っ青になったトヨタは、次の社長から10年以上中国にお百度を踏んで、00年代になって漸く進出を果たしました。 まあ、そこまではマヌケながらも仕方ないとして、問題はその後です。 最初に投入した車種は、中国専用車でした。 これが笑っちゃうじゃありませんか。 カローラより小さい、リッターカー・クラスのセダンだったのです。 トヨタにしてみれば、「中国の為にわざわざ開発した車だ。 どうだ、ありがたいだろう」というつもりだったのでしょうが、その時、中国市場では、アウディやベンツの高級車が、作る端からドカドカ売れていたのです。 馬鹿ですねえ、高級車の方が利益率が数倍も高いのに、≪わざわざ≫チンケなリッター・カーを開発して持って行ったんですよ。 損得勘定が出来ないのか?
これにも、外国人を見下してかかる日本人の差別意識が深く関係しています。「外国人はおしなべて無能で貧乏人」という驚くべき差別意識が、心の奥底にべったりこびりついていて、剥がすに剥がせないんですな。 こんな黴の生えた考え方を持っていて、国際競争に勝てるわけがないんですが、国民全体の意識構造にかかわる問題なので、解消は不可能と思われます。 日本企業のシェアは縮小する一方でしょう。 誰が、自分達を見下している国の企業が作った製品を買いたがるね?
4 ≪そもそも、日本企業は特別な存在ではなかった≫
高度成長期、バブル期など、日本企業が世界に躍進した時代が続いたので、日本人の意識の中に、「日本企業は特別優れている」という固定観念が形作られてしまったのですが、長い目で世界の産業史を見ると、日本企業の隆盛は実は一時的なものであった事が分かります。 イギリス、フランス、ドイツ、アメリカなどの国々も、それぞれ世界の産業の牽引役を務めた時期があり、日本だけが特別なわけではありません。 日本は80年代初頭にアメリカとドイツから牽引役を引き継いだわけですが、それは90年代初頭のバブル崩壊と共に終わりました。 日本の後を引き継いだのは、韓国と台湾です。 そして、90年代後半からは中国が加わり、今は韓台中の三地域で牽引役をやっています。 日本の時代は既に終わっているのです。 ところが、日本人の大部分は、過去の栄光が忘れられず、日本企業の絶対的な優位を疑う事が出来ません。 様変わりした世界の産業勢力図が読めないのです。 憐れといえば憐れ。 滑稽といえば滑稽ですな。
たとえば、今売れている唯一の家電、液晶テレビですが、本体の液晶パネルを作っているのはほとんど韓国と台湾です。 そういう事を知らんでしょう? シャープが世界一だと思っているでしょ? 単にシェアが少ないだけでなく、泣く子も黙る≪液晶のシャープ≫が、液晶パネルのかなりの割合を外国企業から買っているなんて、想像もつかないでしょ? ノート・パソコンは東芝がトップだと思ってるでしょ? お気の毒ですが、日本企業が売っているノート・パソコンは、ほとんど台湾、中国企業が作った製品に日本ブランドをくっつけた物です。 自分のパソコン、バラしてみなされ。 日本製の部品を探すのに苦労するから。 というか、ほとんど無いと思います。 周辺機器を売っている日本企業を、メーカーだと思ってませんか? あれ、外国企業から仕入れて、自社ブランドで売っているだけですぜ。 周辺機器の企業には、ネット時代になるまで、名前も知らなかったような会社が多いですが、そんな会社がいきなり最新製品なんて開発出来るわけがないじゃありませんか。 外から買ってるんですよ、みんな。
こういう事が分かっていればいいんです。 ところが、一般的な日本人も、日本企業の関係者も、分かっていないんです。 分かっていれば、焦って追いかけようという意識が働くはずなんですが、その気配が全くといっていいほど感じられません。 ふんぞり返っていても、「最終的には勝てる」と思い込んでいます。 処置なし・・・。 恐らく、遠くない将来、潰れる電機メーカーが出てくると思いますが、電機メーカーは社員数が多いですから、倒産が相継げば、社会に与える影響も甚大になります。 勢いのある外国企業が買収してくれればいいんですが、前述した通り、日本企業の気風は嫌われていますから、そうそう買い手がつきますまい。 あなたが外国企業の社長だったとしたら、倒産したくせに、こちらを見下している会社を買おうと思いますか?
社会の授業で習ったとおり、日本という国は加工貿易で富を得ています。 外国で日本製品が売れなくなったら、富の流入が止まるわけです。 後は流出するばかりで、日本社会はどんどん痩せ衰えて行きます。 分かってるのかね? この危機的状況が。 外貨準備が無くなったら、凶作の時に、外国から米を買う事も出来なくなるんですぜ。